第10話 ギルドでテンプレ・・・がない

「ということで!宿を探して街を見て回ろう」


僕は、高らかに宣言した。

正直、眠気はあるけど街を見て回ってゆっくり休むのがいいだろうと判断した。


「それはデートってこと!?」

「まぁ〜そうだね。あっちだと2人きりのデートってしたことなかったしね」


僕の言うことにアリスがニマニマしながらふふっと笑う。


「ならまずは、冒険者ギルドに行かなきゃね!きっといい宿を紹介してくれるはずだわ」

「へぇ〜ギルドってそんなことも教えてくれるのか」


僕がふむふむと感心してると何故かジト目で見て来るアリス。


「あれだけ授業サボって冒険してたのに知らないの?」

「そ、そうだけど?だって僕らほぼ野宿で突っ走ってたからさ」


冷や汗をかきながらそう答えた。

実際、仮眠とる以外、ほぼ動きっぱなしだったし、ブッチャのおかげで移動しながら飯は食べれていた。


「ま、まぁ〜取り敢えず、ギルドに行こうか!」

「じ〜〜ッ、まぁ〜いいわ。早いところ宿を押さえて夜に備えないとだわ」



アリスに引っ張られギルドに着いた。

入る前に絡まれると面倒だなぁ〜と思う。


どうせなら威圧感でも出してみようかな!


ドアを開き中に入る。

ざわざわしてたギルド内が一瞬にして静かになる。

僕たちは、真っ直ぐカウンターへ歩く。


「い、いらっしゃいましぇ。本日は、どのような御用件でしょうか?」

「僕たちは、Dランク冒険者。この街に来たばかりで宿を探してるんだけどオススメの宿はあるかい?予算は度外視でいいから」

「は、はひぃ!でしたら商業地区にある『アフロディーテ』という宿がいいと思いますです」


なんだろう?この受付の人、めっちゃビビってる。

周りの人たちもちらちらこっち見てるけど振り返るとすぐに顔そらすし、感じ悪いなぁ〜。


「ありがとう。じゃ〜そっちに行ってみるよ」

「はいぃぃ!ありがとうございました」


受付の人が勢いよく頭を下げた。


「それじゃ〜アリス行くよ」

「ええ、わかったわ」


そうして僕らは宿へ向かった。





リトとアリスが出て行った後のギルドでは・・・


「さっきのやつ、ヤバかったな。なんだ?あの威圧感。上位のドラゴンが人化して街に降りて来たのか?」

「いやでもDランクって言ってたしドラゴンじゃないだろ」

「勇者をこの前見かけたが、比じゃねえな。むしろ勇者より強いだろ」

「そう言えば、さっき神殿で治療してもらいに行ったが勇者の野郎、誰かにボコボコにされて逸物潰されて聖女に治療拒否されたらしいぜ」

「おい、それマジかよ!?」

「聞いた話では勇者に夜の聖剣なんて要らないだろって言って潰されたらしいぞ」

「ははは〜いい気味だな、勇者(笑)」

「聖女に迫った神罰だろ〜」



こうして勇者(笑)の噂話は広まっていった。

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