第9話 生理的に無理です。(聖女side)
「・・・・・・はぁ〜」
2人を見送ったユリアは、リトの最後に見せた殺気に気圧され全く生きた心地がせず、その場にヘタレ込んだ。
優しい人だと思っていたのにすごく怖かったぁ〜〜〜。
神の怒りに触れてしまったのかなぁ。
でもアリスちゃんに久しぶりに会えて嬉しかった。あれだけ怒らせてしまったから出発前に挨拶は来ないだろうな。
ユリアは、自分の犯した失敗を大いに悔やんだ。
ユリアは、立ち上がり神殿に戻ろうとした時、肩を組んだ3人組が急いで神殿にかけて来るのが見えた。
「どうされましたか?」
「おぉ!これは聖女殿。モブル様が門のところで男と揉めてしまい、怪我を負わされたのです」
「(こくこく)」
剣士の女は早口で伝え、小柄でローブを着た少女は頷いた。
担がれて来た男は、鼻が陥没し前歯がない状態だった。
「まぁ、それは大変です。治療しますので急いで神殿にお入り下さい」
神殿に入り、個室にで男の治療をする。
「鼻の骨折と口の治療は完了しましたが、他に怪我した箇所はありますか?」
「えっと〜すごく言い難いのですが、股間も・・・・・・なのです」
「は、はい?」
「だから股間も潰されています」
話していると男が意識を取り戻した。
「うぅ〜・・・痛い、いたいいたいいたいっ!!」
「モブル様、起きられましたか。今、神殿にて治療をしております」
「し、神殿?なら早く治療をしてくれ」
男は、捲し立ててズボンを一気に脱いだ。
「ひぃっ」
ユリアは、青い顔をして震え出した。
治療する為に、アレに手をかざさなきゃダメなの?いくら治療行為でもしたくないわッ。
「む・・・です」
「えっ、何とおおっしゃいましたか?」
「生理的に無理です!!いくら治療だと言っても好きでもない男、特に勇者様のようにデリカシーのない人の治療はしたくありません〜〜〜」
「なっ!?」
そう叫びながらユリアは部屋から逃げ出した。
数分後・・・・・・
ベテランの男の神官がやって来た。
「聖女様から聞いて参りました。わたくしめが診察させて頂きます」
神官は手際良く診察に入ると思われたが、
怪我を見た瞬間
「こ、これは・・・・・・」
「し、神官殿、どうしたのでしょう?」
剣士は、ゴクリと唾を飲み込み聞いた。
「誠に申し上げ難いのですが、欠損しておりまして我らの回復魔法では治りませぬ」
「そんな〜」
「ですが、欠損を回復するエリクサーであれば治ると思われます。しかしながらエリクサーは作ることは不可能でダンジョンでたまにドロップするぐらいしか入手は出来ませぬぞ」
男は、この世の終わりのような顔をする。
実質、この男にとってこの世の終わりなんだけど。
「あのヤロー、探し出してぶっ殺してやる」
男は、聖剣を取り戻す為の旅が始まった。
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