第8話 3〜歩進んで〜絡まれる
昨夜は、色々とヤバかった。
アリスが完全にイっちゃってる目で僕のベッドに向かって奇襲を仕掛けて来た。
マウント取ろうと確実に、戦闘時より高い動きを見せて来たよ。
朝、起こしに来たユリアがドン引きしてたよ。
だって夜間中、襲われないように逃げ続けて部屋の中荒れまくりだったし。
結局、一睡も出来てないし。結界張ったから音や振動は伝わらなかったみたいで良かった。
朝食を取った後、僕らは宮殿を直して宿を取る為、出ることを伝えた。もちろん、迷惑だと思って。
「わたくしとしては複雑な想いなのですが、あの現状を見てしまっては止めることはできません。すみません」
「気持ち的に間借りしてるのに行為は出来ませんからね。こちらこそ申し訳ありません」
「別にいいじゃない。それに寝てないんだから今夜が本当の初夜よ。あうっ」
僕はそんなアリスの頭に手刀を落とした。
「まだ聖国を見てから出発するので、また出発前に挨拶に来ます」
「そうですか、わかりました。あ、リト様、最後にひとつよろしいですか?」
「答えれる範囲なら」
「もし、魔王討伐の旅に出なければならなくなったらどうしますか?」
「言ってる意味がわからないですね。行きたくなければ行かなきゃいいじゃ無いですか」
何だろ、この人もアリスに近いものをかんじるぞ?
「それに魔王を倒すことなんて出来ないですし、何故討伐しなければならないのですか?会ったことも無いくせに」
「す、すいません。この大陸では魔王は悪だと言われていますので」
なんかイラッとして来た。
「ちょっと!魔王のこと知らないくせに怒りを買うようなことするなら滅ぼされることになるわよ」
「も、申し訳ありません」
「まぁ〜もし、魔王と戦うことになって状況次第では、俺たちも敵に回すと思った方がいいですね。次期魔王は俺の親友ですし、現魔王もお世話になった人ですし。それでは、行きますね、さようなら」
それだけ言うと僕とアリスは、後ろを振り返らず門へ歩き出した。
「ちょっと、本気で怒ったでしょ?ゾクっとしたわよ」
「聖女様の家系なのに知らないからイラっとした」
「あんなでもいちよ、私の親戚なのよ?」
・・・・・・・・・
「えっ?」
「えっ?気付かなかったの?」
「全然」
アリスが呆れたとばかりにため息をつき、門を出る。
「おい、お前。そこの女」
いきなり、呼び止められた。
「私のことかしら?」
「そうだ。強そうな雰囲気でいい女だな。俺の女になれ。俺は魔王を倒すゆ・・・」
ドゴーーーーンッ
「人の嫁に何言ってんだ、ゴラッ。ブッ飛ばすぞ」
さっきのユリアとの話でイライラしてる時に無失敬な絡まれ方したから捻りを入れた左ストレートをかましてしまった。
手応え的に鼻の骨と前歯砕いたかな?
アリス、そんなだらしない顔でクネクネしながら「人の嫁♡えへへ、人妻はぅ〜♡」って呟かないの。
「貴様、何をする!この方を誰だと思っている!?」
気付かなかったけど男の他に女が2人いた。
剣士のような女が突っかかって来る。めんどっ。
「あぁ〜ん?知るかボケ。こっちは、新婚だぞ?無粋なことをするやつなんか殴られても文句言えねぇ〜ぞ?こんなやつに魔王が負けるわけねぇ」
「き、貴様ぁ〜〜〜!!」
「本来なら足に紐を括り付けて引き摺り回した後、金玉を潰すところだぞ?そうだ、これからこんな盗賊まがいなことしねぇ〜ように潰しとこう、うんそうしよう!!」
こういう輩は、人妻とか関係なく犯すから使い物にならないように潰しとかなきゃ。
僕は、イライラしたまま男に近付いて股間に足をかけ・・・・・・
「女を口説くならもっと紳士に接しなきゃダメだろ?それに俺は今、イライラしてんだ。そんな時に人の嫁を口説くんじゃねぇ」
「ぎぃやぁぁぁぁ〜〜〜〜」
一思いに踏み抜いた。
「り、リト?向こうでは、治ったかも知れないけど、ここだと治らないかも知れないわよ?欠損部位扱いだからね?」
アリスがドン引きしてる、解せぬ。
「学園のとき、僕らはおいたするやつに結構、してたと思うけど?」
「治癒師の腕がいいからね、うちの国は」
「それより、宿を探しに行こう。おい、お前、これに懲りたらもう二度とするなよ!あと剣士の女!「ひぃ!ごめんなさいごめんなさい」そいつの女ならもう少し教育しとけよ。恥かくのはお前らだぞ」
「はひぃ、き、気を付けます」
怯え過ぎだろ、剣士。
そんなに恐ろしい光景だったか?
学園じゃ〜、襲って来るやつを片っ端から潰してたのになぁ〜。
いかん。眠過ぎて沸点が低い。
早いところ宿とって寝よう。
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