第6話 もう帰りたい・・・

部屋に辿り着き、暫く放心状態になっていた僕。

それを横で不安そうにでも顔を赤くしてと複雑な顔をしたアリス。


「あの〜、そろそろいいですか?」


空気に耐えられなくなったユリアが話を切り出した。


「あ、ごめんなさい。なんですか?」

「いえ、リト様は、何か重要な職業にのですか?もしかして勇者様?」

「選ばれたというか〜何というか〜。勇者ではないです。はい。はぁ〜、ユキヒコくんに相談したい」


こんなときユキヒコくんならなんて言うだろうな?聞くまでもないなぁ〜、絶対、「大変美味しゅうございました」って小説のネタにするだろうなぁ〜。

はぁ〜〜〜、報告したくないや。


そんなことを考えていたらアリスが唐突に、


「ユリアさん、婚姻の成立ってどうすればなるんですか?」

「え、ええ、えっと〜教会で神の御前にて神官の立ち会いの元、誓いを立て神が了承すれば晴れて婚姻成立です。成立したかどうかはステータスカードで分かります」

「なるほど。ねぇ、リト、私は貴方のことを死ぬまで隣で支え続けます。だから今日から私たち夫婦だよね?いいよね?ねぇ、つべこべ言わずにいいとだけ言いなさい!!」

「えっ、あっ、い、いいよ?」


いきなりアリスからの鬼気迫る勢いで言われ思わずしてしまう。

するとアリスは『ステータスオープン』と呟く。

アリスもユキヒコくんからケース貰ってたんだなんて考えていると満面の笑みでアリスは抱き着いてきた。


「うふふ、これからよろしくね♪♡」

「「はい!?」」


アリスの言い方に僕とユリアの声が重なった。


「あのぉ〜、どういうことなんでしょう?アリス様説明をお願いしてもよろしいですか?」

「説明も何も、しただけよ?」


ユリアは今の説明で納得していなかった。

だけど僕は、何故いきなり?と疑問に思ったんだけどまさかと・・・


「改めて自己紹介しますね。私はアリス・。リト・スカーレットの妻です」


ずっと満面の笑みの理由が納得して疑問が完全に解消された。

たぶん、ユキヒコくんの名前が聞こえて何か勘づいてのこの行動だろう。

末恐ろしいというかなんというか。

今日は、嵌められてばっかりだなぁ〜。

いずれ、こうなるとは思っていたけどまさかこのタイミングでかぁ〜。はぁ〜。


未だに理解の追い付いていないユリアさんに僕から説明する。


「えっとですねぇ〜、この場所は教会の一室ですね?そして貴女は、神官。ここまではいいですね?」

「え、ええ、当たり前のことですが・・・」

「そして、アリスは僕の前で死ぬまで隣で支え続けると誓いを立て、が了承した。僕のステータスカードをどうぞ、気にせず見て下さい」


そう言って僕は、ユリアにステータスカードを差し出す。

受け取ったユリアは内容を見て絶句。

そして、椅子から立ち上がり僕の前で祈りのポーズをとった。


「も、申し訳あ「ちょっとストップ、畏まらなくていいから椅子に座って。堅苦しいの嫌だからね?普通にしてね」は、はい。わかりました」


なんとか椅子に座ってもらえた。


「それで全ての儀式が終わったし、アリスのおかげで気が抜けたからそろそろ宿を取りに行きたいんだけど」

「それはなりません!!この国に滞在する間は、こちらの教会で部屋をご用意させて頂きます!!」

「あ、寝室は一部屋でいいからね?私たちもう夫婦だし、それに初夜だし〜はぅ〜♡」


僕は乾いた笑みを浮かべ、もう考えることを放棄するのであった。




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