第4話 出発!新天地へ!

朝食を取った後、プレゼントで貰ったポーチ型インベントリに準備した荷物を詰め、余裕があるからと追加で物を詰めた。


特に、ブッチャとユキヒコくんが開発した調味料と食料を。


そして、両親とユキヒコくんの4人で城へ向かった。

向かう途中で街の人から餞別でもらったことはご愛嬌。


城に着くと多くの人が見送りに来ててリトは、唖然とした。


「リト、びっくりしただろ?みんなお前を見送りに来たんだぜ」


そう声をかけて来たのは、親友の1人であるゴウケツ。その隣には、キャリーカーを引っ張って来るブッチャ。


「リトぐん、こでおでからの餞別だ。全部持って行ってけれ」

「ブッチャ、ありがとう。こんなに多くの弁当を。大事に食うよ」

「それ、俺も手伝ったんだけどな」

「ゴウケツもありがとう」


そう言ってゴウケツとブッチャは笑っていた。


僕ってこんなにも良い親友たちを持って幸せだなぁ〜。


次々に現れる人たちに挨拶を交わした。

だが、いつもならいの一番に突撃してくる人物がいつまで経っても現れない。

そして城に入り、会議室に向かった。


会議室に入るとすでに四王とドワーフの親方、教会の人がいた。


「リト・スカーレット。只今、参上致しました。遅くなり申し訳ありません」

「よい。まずは、紹介しよう。こちらがお主をアクア聖国に連れて行ってくれるジャクソン司祭だ」

「初めまして。ジャクソンです。リト殿のお世話係を任命されました。会える日を楽しみにしていました」


朗らかな表情で挨拶をするジャクソン司祭。


「リト・スカーレットです。若輩者ですがよろしくお願いします」

「それでリトよ。我らからの細やかなプレゼントを用意した。親方お願いします」

「待ってました。リト坊久しぶりだな。坊主が国の代表として隣の大陸に行くってんでワシらが全種族で知恵を出し合って作り上げた最高傑作だ。持っていけ」


そう言って渡されたのは、一振りの刀と双剣、採取用のナイフにローブだった。

ひとつずつ丁寧に観察していると親方から武器の性能を説明してもらった。


「性能を説明しよう。全部に自動修復及び破壊不能を付与してある。以上。あとは自分で好きに付与しな、得意だろ?」


思わず驚いた顔をしてしまった。

そして気付いてしまった、その素材にも。

そしてニヤリと笑う親方。


「ありがとうございます。こんな素晴らしい物を頂いて身の引き締まる思いです」

「かっかっかっ、坊主はやっぱりいい目をしてやがる。武器に振り回されずにキチンと使えるようになれよ」


「はい。人王陛下、魔王陛下、獣王陛下、亜王陛下、こんなにも素晴らしい物を贈ってくださりありがとうございます。今一度、腹を括り覚悟しました」

「うむ。いい目だ。大変だろうけど


なんか含みのある言い方をするな、人王は。


「さすがゴウケツを張っ倒すだけはあるぜ。自分を見失わず信念を持って突き進めよ」


あぁ〜、ゴウケツのお父さんだな。

やっぱり似てるなぁ〜。


「獣王として、当然のことをしたまでた。それと冒険者ギルド本部のグランドマスターとして指名依頼をさせてもらうよ。各国の冒険者ギルドを周り、不正を正してくれ。冒険者タグは本部登録した者は特別製だからな!本部の代理者としてある程度の権限を与える。頼むぞ、リト」


なんか大層な依頼された。ついでってことでいいのかな?


「リトくん、君は素晴らしい才能があります。私からもお願いがあります。きっと精霊たちとたくさん触れ合う機会があると思いますのでもし、大精霊の誰でもいいので出会えたら精霊王にこれを渡すようにお願いしてください。君の旅に精霊の加護がありますように」


亜王からは綺麗な水晶玉を渡された。

これを精霊王に渡すのね。


四王からの激励を受け、礼をする。

素早く装備を装着する。

刀はまだ練習中なのでインベントリに入れる。


「では転移門より移動するがよい」


人王の許可を得て使える転移門。

新天地に向け出発する。


最後に会いたかった愛しの人は、結局、





現れなかった。





あいつ、どうしたんだ?

いつもなら真っ先に飛んで来てツンツンして私も連れて行けとか言いそうなのに。

数年後に帰って来るけどやっぱり、会いたかったな。


「リト殿、準備はいいですか?これより、門を潜ってアクア聖国に行きます」

「あ、はい、大丈夫です」


城の地下にある転移門。

空間が歪んで開いている。

ジャクソンは、躊躇なくその門を潜って行った。そして、リトはそれに続いた。


うわぁ、これが転移か。


リトは、そんなことを考えながら門を潜った。


ここから新天地。ひとりでなんでもしなくちゃいけないなと気を引き締めた。


そして、、、、









「遅い!!いつまで待たせるのよ」


仁王立ちで腕を組んで不敵な笑みを浮かべるいるはずのない少女がそこにいた。

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