第3話 サプライズプレゼント

あのときは、本当に焦ったなぁ。


(「あんた、12のとき教会で受けたステータスチェック覚えてる?」)



あの日、旅に出なければいけない理由を説明された。

簡単に言うと、この世界の全て、善も悪も全て見て感じて世界は綺麗なものじゃないことを知れと言う。


正直、忘れてたよ。

当時は、自分のステータスが意味わからなかったし。



リトは、ゆっくりベッドから起き上がると教会で配布されたステータスカードに魔力を流した。


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リト・スカーレット

人族

適性職業:ー

称号:【神の子】【創造する者】【魔眼使い】【七つの大罪】

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あれ?称号増えてるし。。。

【神の子】だけだったのに。



久しぶりにステータスで称号をチェックしたら変な称号が増えていた。

リトは、片手で顔を覆い天を仰いだ。


考えても仕方ない、今日からもう隣の大陸に移動することになるし、向こうで成人の儀をしてそれが終われば冒険者としての旅立ちだ。


「さぁ、朝飯食って城に向かいますかね」


独り言を呟いてリトは、1階へ降りた。


「父さん、母さん、おはよう」

「おう、リト。おはよう」

「リトちゃん、おはよう」

「おはよう、いつもより遅いな。勝者の余裕か?」


驚いた。両親以外に会うのは城に着いてからと思っていただけに。


「ユキヒコくん、おはよう。びっくりした。どうしたの?」


そういうとユキヒコは、いたずらが成功した子どものようにニヤリと笑って机の上にある物を指で叩いた。


「リトにこいつを持って来たんだ。サプライズプレゼント。さっき全部完成して持って来た」


プレゼントに視線を向けた。

ウエストポーチ、本、羽根ペン、ステータスカードサイズの物の4つ


「これらを僕に?」

「あぁ、ひとつずつ説明しよう。まずウエストポーチ。これは前々から話してたインベントリだ。持ち主の魔力量次第で容量が変わってしかも時間停止付きだ」

「とうとう出来たんだ」

「お陰様でな。そんでこの本と羽根ペンは、俺とのやり取りが出来る魔導書とペンだ。ペンが鍵になっていて魔力を通しながら魔導書に書き込むと俺の持っている受信機に送信される仕組みだ。ちなみに俺が描いた漫画や小説もその本で読むことが出来るし、持っているだけで魔法の媒体としても使えて威力も上がる優れものだ、それは世界に一つしかないぞ」


本気で驚いた。ユキヒコくんが本気で僕の為に作ってくれた贈り物。涙が出そう。


「それで最後がこれ。ステータスカード入れだ」

「ステータスカード入れ?」

「そう、これは教会と共同で作って売り出す予定の物。やってみた方が早い。これにステータスカードを入れて魔力を流すだけ。その後、『ステータスオープン』『チャット機能オン』『インベントリリスト確認』と言ってみてくれ」

「えっと〜、『ステータスオープン』」


そう言うと窓が出て来てさっきまで見ていたステータスが表示される。

開いた方が塞がらない。


「なんて間抜けな顔してんだよ?」

「だってすごすぎるんだもん」

「まぁ〜そうだろうな。じゃ〜次だ」

「あぁ〜、『チャット機能オン』」


今度は、同じように窓が出て来たけど表示されたものが違った。

両親とユキヒコくん、ゴウケツとブッチャ、それと何故かアリスの名前が表示された。


「ははは、凄いだろ、それ。窓に表示された人の名前に触れると手紙のやり取りが出来る優れものだ。試しに俺の名前に触れてなんか送ってみろ。文字の羅列が出て来たらそれに触れて文章を作る。文字を消したいときはバツに触れるだけだ。送信は、昔教えた紙飛行機の絵に触れ」


取り敢えず、何か送らなきゃ。

『プレゼントありがとう』


「おっ、来たな。俺も送り返してと」


ピコン。『メッセージが届きました』

どうやら他人には見えないようだ。


か、画期的過ぎる。これを使えばすぐにやり取りが出来る。

けどなのか?こんな物をこの大陸はまだしも、情勢の悪いと言われる隣の大陸に売り出しても。


「難しい顔すんなって。リトが考えてることは俺にも容易に思い付く。リトが帰ってくるまではこの大陸の人にしか

「えっ?」

「もちろん、隣に出すときは売りつけるけどな」


リトは、考えていたことを読まれてドキッとした。


「あと一つの『インベントリリスト確認』は説明いらないな?」

「うん、大丈夫だよ。こんなにも素晴らしい物を僕のためにありがとうね、ユキヒコくん」

「気にするな。言わばこれは、試験なようなものだ」

照れながらユキヒコはそう言った。


「心置きなく旅に出れるよ」


「さぁ、プレゼントが嬉しいのはわかるけど朝食にしましょう」

「そうだね、食べようか」

「ユキヒコ、お前も遠慮せず食っていけ」

「おじさん、おばさん、ありがとう。いただきます」


旅立ちの朝から嬉しいことだらけでリトは、気持ちにゆとりを持つことが出来た。


この後に一波乱あることも知らずに。

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