現代日本の片隅を、軽妙な洋画みたいにポップなノリで描いた短編です。
物語は、三人組の大人女子が売れない俳優らしき駄目男と出会うことから始まります。彼女たちは少し危険な世界に属しているその男の世話をやくことで非日常を楽しみ、深みにはまっていきます。
「犯罪」と呼ばれる不思議な男と、結局は普通に生きることになる女子三人が共に一瞬だけ過ごす時間ははかないものですが、最後の現実的な結末にはちょっとした可笑しさもあって面白いです。
ボロボロのコートを着てシェイクスピアを諳んじる長身の男に惹かれる方に、特におすすめしたい作品です。