第1章 プロローグ 肌寒き雪国の童話
昔々あるところに雪と氷に閉ざされた王国がありました。そこの中央には氷で覆われた大変美しいお城がありました。城の中には、それはもう美しい女王がいらっしゃいました。
ー鏡よ鏡、この世界で一番美しい物は誰?
氷で閉ざされた肌寒い城の中に女の声が響きました。傍らに控える鏡はすぐに答えました。
ーそれは勿論、麗しの女王様であります。
よほど手入れをされていないのでしょうボロボロの鏡の答えを聞き、女は満足そうに頷きました。が、すぐに怪訝な顔に変わります。
ー嘘つき。そこに映っている娘は誰なの?
ー女王様、それはただの行き倒れであります。
ー関係ないわ。その者を殺して。そして彼女の臓物を私に献上しなさい。私より美しい者など必要ないわ。
ー御意に。
重々しく鏡が呟きます。先ほどとはうって変わって無表情で残酷で冷酷な顔。それを毎日眺めている鏡は理解しています。女王は全ての旅人を殺すまで止まることはないだろう、と。それでも自分は彼女に従う他ないのだろうと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます