第26話 ご褒美の日
学園祭も終わり元の日常に戻った感じがする今日はアズマに定食を作ってもらう日。
いつものように調理室を借りて、気がついたらいつものメンバーが勢揃い。
せっかく全員がいるのに定食だけというのも少し寂しいような? でもこれは私が定食を食べたいと思って借りたから変更するのも……。
……あと、今日は、アズマには私だけに料理を作ってほしい気分。だってご褒美だし、その為に頑張ったし。
……。
いや、何かこれだと私すごい子供っぽい嫌な奴になってる!
やっぱり皆で何か作って皆で食べよう! 独り占めよくない!
「あ、あの、今日はそれぞれで作ってみませんか?」
そう決めたらコルセイユさんがそんな事を言い出した。
もしかして心の中読まれた?
と、思ったらコルセイユさんとバッチリ目が合って微笑まれた。
読まれたというか考えている事が顔に出ていた? 最近コルセイユさんはビオロ様に似てきたような気がする。
「それぞれ、ですか。ですが僕は料理をした事がないのでどうすれば……」
「それでしたら私と一緒に作りませんか? アズマさん程ではありませんが私も料理は出来ますし、簡単なものでしたら教える事も出来ます」
「……そうですね、これもいい経験になりそうです。よろしくお願いします、コルセイユ」
「はいっ」
「じゃあ俺は邪魔したくねえしフィンクと組むか。料理は出来るのか?」
「うん、任せて! 何作ろっか。簡単のならカルトッフェルザラート? ちょっと手間はかかるけど美味しさならカルトッフェルクヌーデルやマウルタッシェンもおすすめ!」
「……。俺でも分かる言葉の料理で頼む」
「ジャーマンポテト」
「よし」
何だか順序よく綺麗に組み合わせが出来ていってる。
残るは私とアズマだけ。残りというか、私達は最初から約束していたから正しくは一番ともいえる。
「その、アズマ……だ、だし巻き卵、作ってくれるのでしょう……?」
あれ、何か急に恥ずかしくなってきた……。お願いした時は何ともなかったのに!
赤くなった顔を隠す為に俯きながらアズマの袖を軽く引っ張って急かした。
「アズマ……?」
「あっ、そ、そうでしたね! ……あの、エグレット様もだし巻き卵、作ってみませんか? その……俺に、つ、作ってほしい、のです、が……」
「……私が? アズマに?」
「勿論作り方は教えます! ダメ、でしょうか……」
「……私はそんなに料理上手じゃないし、アズマの方が手早く綺麗に美味しく作れるでしょ」
「…………」
「だから、その……綺麗に巻けないかもしれないし、もしかしたらぐちゃぐちゃになるかもしれないけど……それでもいい? 初めてだから上手に出来る自信がなくて…… あっ、勿論綺麗になるよう頑張るから!」
「……! はい!!」
アズマに食べてもらう為に作っただし巻き卵は今まで作った中で一番綺麗に出来た。オムライス、ドリアときてようやくアズマに美味しそうな見た目の料理を作れた気がする。
あの後皆の分のだし巻き卵もアズマと一緒に作ったらビオロ様とコルセイユさん、エイロン様とフィンク様も皆の分のクロックムッシュとジャーマンポテトを作ってくれていて、ちょっとした食事会みたいになってとても楽しい時間を過ごせた。
頑張ってよかった。
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