第2話

下校することになった。

実はたまに先輩とは帰ることがあった。

委員会で一緒になり、仲良くなった。お互い同じオタク趣味があり、たまに一緒に下校していたのだ。


「いや~、先輩が彼女っていうのは幸せだ!」

「ふぇ!?あ、え、そ、そっか。ありがと///」

「…………」

「……」


凄い落ち込み様だ。

相手が後輩というのが尚更そうさせるのだろう。


「さっきの人たちは、先輩の友人ですか?」

「…と、友達です」


はい、友達ではありませんね。

さて彼女に少し踏み入ってみる。


「先輩、今日俺んち来ませんか?いつものようにいっぱい話したので」


断じて下心などはない!

な、ないからな!!!!


「え、あ、うん。いいよ」


彼女の見た目は、メガネをかけた黒髪で、あまりぱっとしない印象を受けるだろう。

だが俺にはわかる。彼女は二次元に近い存在だという事を!


メガネを取ったら超絶美人だった。

このフレーズは彼女に当てはまるだろう。

いや、彼女のためのフレーズだろう!

―――――

――――

―――

――



家に着いた。

今日は俺しかいないボッチ生活を送るつもりだったが、急にできた彼女(偽)のため、その人と来た。


「入って、どうぞ」

「お、お邪魔しまーす」

「じゃあ、お茶用意してきますね?」

「あ、うん」


さて、ここで疑問が浮かび上がる。

なぜ、俺が選ばれたのかだ。

外見的にキモイから?いや、いままでそんなことは、この高校に入ってから一度も言われてない。


「あ、そこのソファーにでも座っててください」

「あ、うん。ありがと、シュン君」


うぅううううんんんんん!

きゃわいいい!!!!

あ、ちなみにシュンというのは俺の名前だ。

はっはっは!俺は今、この美人さんの彼氏なのだ!!

まぁ、偽の彼女ですが……泣

俺は彼女にコップを渡し、彼女の隣に座る。


ひぇええ!!

緊張するよ。いままであこがれてた先輩が家に、しかも隣に座っている!

俺はポケットにあるスマホを少し操作した後に話出した。


「…………先輩」

「……なに?」

「……主犯格は誰ですか?」

「!?」


俺は先輩を睨みつけながらそう言った。

彼女はびっくりした様子でいる。

そりゃそうか、さっきまでバレてないふりをし続けていたからだ。

確かに俺は彼女のことが好きだ。だからこそこの恋人関係を壊してでも、彼女を救いたい。


「……さっき、腕を肩にかけてた子」

「俺をえらんだ理由は?」

「わ、私のこ、後輩だがら……ゔぅぅぅ、ごめんね」


あぁ、こんなかわいい人をなぜ、虐めたりしたのだろうか。

俺は隣で泣きじゃくる彼女を、優しく抱きしめた。


「泣いていいんですよ先輩。よく頑張りました」


俺はそう言いながら、彼女の頭を優しくなでた。

小学生のころ、俺もいじめを受けていた。

そんな中、決死の覚悟で先生に相談した時に言われた言葉だ。


「ごめんね、じゅんぐゔん!わだじ、わだじ、何もでぎながっだ!!」

「つらかったね、大丈夫大丈夫。俺は先輩を絶対に裏切ったりしませんよ」


俺はよしよしといいながら、彼女のぎゅっと強く抱きしめた。

すると、彼女の腕が俺の腰に周ってくる。

(うわぁ、先輩のむ、胸がぁああ!)


「わたじ、ヒッ、い、虐められてて、怖くて、何もでぎなぐで」

「…………」

「でも、シュン君だけは、私と仲良くしてぐれで……わだじ……」


俺は手を離し、彼女の眼鏡を取り、前髪を手であげる。

ほ~ら、美人な顔が登場だ。

自分の手で彼女の涙を拭いてあげる。


「先輩、よかったら虐めのこと、話してくれませんか?」

「…………うん」


そこから彼女の虐めの話を聞いた。

聞いてて心が締め付けられた。まるで過去の俺のようだった。

理不尽な悪口などの言葉の暴力。

流石に女子だったためか、暴力は無かったらしいが、それでも彼女にとっては最悪な日々の連続だったらしい。


「落ち着いてきましたか?」

「……うん。ありがと。シュン君は優しいね」


ズキュウウウウウウン♡

メーデーメーデー!

俺の心臓がオーバーヒートしています!

胸を押さえ俺は悶絶する。


「だ、大丈夫?」

「大丈夫だ、問題ない✧」

「それ大丈夫じゃないやつ。フフッ///」

「よかった、笑ってくれた」

「へ?」


あ、やべ。

ついうっかり、口に出してしまった。

俺はそこである提案を出した。


「先輩、コンタクトってあります?」

「え、うん。一応あるよ?」

「では、今すぐ床屋さんに行きましょう!」

「へ!?」

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