『彼』が隠した真実

「ゆうくん!もう大丈夫なの?」


あかねが駆け寄ってくる。

後ろの奴は、あかねの知り合いか何かだろうか。年齢は俺よりも少し上だろう。しっかりとした印象を受ける。


「ああ、大丈ーー」


また意識が遠ざかりかけた。

が、堪えた。

お前の思い通りになるものか。


不思議と頭が回った。

記憶をたどった。


「大丈夫だ」

「良かったぁ……。あ、こちらゆうくんに会わせたい人なんだけどね」


もういい。わかった。わかってしまった。


今までのことがフラッシュバックする。

よく考えれば、答えはすぐそこにあった。


あの時、父が言った『後のことを頼む』は、俺に言った言葉ではない。


「はじめまして、ゆうくん」


『水いらずだったか、悪いな』

あの時、店員が言った言葉は、恋人や友人に使う言葉ではない。


「僕は、君のお姉さんと婚約している者だ」


あかねは、母の連れ子。

つまり、俺の義理の姉だ。


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