第2話 懺悔

この感情は何だろう?

悔しい、悲しい、自分が悪いの?

でも、どうしようもなかった。

どうしたらいい?

謝って許してもらえる?

もう、口もきいてくれないかも。

こんなに、切なく、後悔する事があるんだ。

だけど、過去には戻れない。

どうか、どうか、僕を許して欲しい。

ごめんなさい。



 「直哉、今日どうするよ。」

 「えっ、俺はいいよ。」

 「何言ってんだよ。お前、この前もそういったじゃん。そろそろ身を固めなさいよ。」

 「だから、いいって、今はそれにヤバいだろう。」

 「はぁー、関係ないよ、俺ら若いもんは死なねーし。」

 「それがダメなんだろ。」

 「マジめかよ。コロナ怖くて、女子と知り合えると思ってるのか。」

 「あのねー、今、会社でも止められてんの。なったらクビだぜ。」

 「分かんないって!だってよ、今回の合コン、俺の営業先の受付嬢だぜ。言っとくが、美人だ。マジ、美人だ。これ断ったら、男じゃない。」

 営業マンの高崎亮太は、うちの会社で、セールストップだ。怒涛のごとくたたみかけられ、断れない雰囲気になってきた。

 自分とて、二十代後半になってきたのだ。結婚を考えていないわけではない。ただ、会社からの自粛要請と煩わしさで、断りたいと思っていたのだが、無理っぽい。

 高崎も、少しチャラいが根は良い奴だ。

 「分かったよ。ただ8時で飲み屋は閉まるだろう。そんなに時間が取れないのに、大丈夫かよ。」

 「だから、ここでは無理だろ。県外に行くんだよ。」

 「それこそダメだろ。」

 緊急事態宣言期間は、無用な外出はご法度だ。勿論、県外をまたぐなど、会社の部長が知ったら叱責ものだ。

 「だから、車で行くんだよ。お泊まり合コンをしようって話。よって、ホテル代がいるからな。宜しく!」

 既に、決定事項のように言われた。

 こうなると、何を言っても聞いてくれそうにない。

 「何で俺なんだよ。」

 最後の抵抗よろしく、聞いてみた。

 「あそこの受付嬢はお前も知ってるだろう。俺の代わりに行ったことがあるからさ。お前だったら、いいって言うんだ。直哉、なんかしたのか?」

 そう言えば一度、高崎の代わりに資料を持っていったことがある。ただ、特別な事をした覚えはないはずだが。

 受付嬢の顔を思い出そうとするも、ボンヤリとしか思い出せない。

 「とにかく、2対2で行くからな。宜しく。」

 言い終わると、爽やかな笑顔を残して去って行った。

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