第2話学食での出来事
昼休みに入り、学食の列に並んでいると先頭近くに並んでいる一人の女子がふと振り向き、隣にいる友達と一言二言交わす。
友達は興味がないようで、真顔だ。
「おーい、弘貴ぃ~。一緒にどうー?」
彼女は大きく手を振りながら、大声で名前を叫ぶ。
恥ずかしい。
列に並んでいる奴らが一斉に見てくる。周りの視線にたえられず、俯く俺。
10分後に唐揚げ定食を頼み、支払いを終え、3分もせず唐揚げ定食が出てくる。トレーを持ちながら、名前を叫んできた女子が座る席から離れている席の椅子に腰をおろす。
「いただきます」
と言い、合掌する。
唐揚げを口に運んでいる途中で、正面の椅子に腰をおろしながら、きつく尖った言葉を投げてくる女子。
宮倉鈴音と同じ陸上競技部に所属している。距離の縮め方が変わっている女子、あくまで俺からみた感じ方だ。カーディガンを腰にまいているリア充よりの後輩。宮倉もウザいのだが、比べるまでもないほど圧倒的にウザい。
「弘貴ってば、何で無視すんの?だから友達が居ないんだよ。冷たい、非情な弘貴、冷酷な弘貴──」
終わりそうにない言葉の暴力に胸を痛めながら、水を流し込む。
「よくもまあ......付き合ってないのに、名前を呼び捨てはおかしいだろ。一応、先輩なんだけど。宮倉でさえ、先輩をつけてるぞ。名前を叫ぶのはやめてくんない」
頭の後ろで手を組み、
「いいじゃん、別にぃ~。呼び捨ての何が悪いの?」
笑顔を浮かべ、そう言う。
開き直りやがって、こいつ。
小羽澤先輩には、敬語のくせに。
「用件は何だよ、水倉茜音」
「スズに渡す誕プレが思い付かなくて、付き合ってほしいのっ」
「ずけずけ聞いてこいって、俺にするような感じで」
「花宿先輩と態度変わりすぎでしょ、弘貴」
「そう言うなら、距離の縮め方を見直してこいよ」
「はぁー。日曜日の11時にいつものとこだから、弘貴」
立ち上がり、戻っていく彼女。
「大変だね、霜河君。ここ、いいかな?」
「あっ、花宿先輩。いいですよ」
「ありがとう」と一言言って、花宿先輩が正面に座る。
彼女のトレーには親子丼がのっていた。
昼休み終了10分前まで会話が続く。
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