天使な美少女リア充先輩は後輩を敵視する?

闇野ゆかい

第1話天使なリア充先輩と可愛い後輩

俺、霜河弘貴は早起きなほうである。昨日、夜更かしをしたため睡眠不足だ。勉強机に積まれた文庫本に手をつけ、読み終えようとしたため、夜更かしをしてしまった。

成果は、一冊読破して二冊目の途中まで。

「弘貴ぃせんぱぁいぃ。起きてくださいよぉぅ」

耳もとで艶かしく、名前を囁かれる。

「うわぁぁー。ってなんだよ、宮倉か。普通に起こせよ」

上体を起こし、飛び起きると可愛い女子が床に正座をして、微笑んでいた。

「なんだは無いですよ、弘貴先輩。珍しいですね、弘貴先輩。ねぼすけキャラになったんですか?」

「そんなキャラはごめんだ。前から言ってるけど、俺のどこが好きで絡んでるの?」

「困ってる人に手を差しのべる優しいとこ、部活に取り組む姿勢だったりが弘貴先輩の好きなとこです」

「あはぁはは。ありが、とう。宮倉......俺のルックスは眼中にないのか......」

そうだよな、と呟く。

褒められて嫌ではないがむず痒い。照れてお礼をのべて、気付く。

ルックスに関したことを褒められてないことに。

それもそのはず、ブサイクではないがイケメンでもない。平凡な、周りに溶け込むモブな一高校生男子なのだから。

「かっこいいですよ、先輩は。そんなに落ち込まないでくださいよ、私は好きなんですよ弘貴先輩の全てがっ!」

慌てながら、お世辞を言う彼女。

「着替えるから、扉の前で待ってて」

部屋を出て、扉を閉めたのを確認し、制服に着替える俺。


学校に到着し、下駄箱でスリッパに履き終え、廊下に出ると、上品で控えめな挨拶をされた。

「おはようございます、霜河君。落ち込んでいるように見えます。何かありましたか?」

「あっ、おはようございます。花宿先輩。何もありませんよ、ありがとうございます」

金髪のゆるふわロングヘアの花宿空は三年生で勉強、スポーツがずば抜けてできるリア充女子。普段は男女関係なく気兼ね無く話せるのだが、朝の内に話さないとフランクな会話になりにくい。俺に限ってそうなるらしい。

昼休みには普段と変わらないフランクな話し方になる花宿先輩。

「一緒に行きましょう。霜河君」

「はい、花宿先輩」

並んで廊下を歩く。

「昨日のお笑い番組は観ましたか?」

「長い間、本を読んでたので観てないんです。ごめんなさい」

「ううん、謝らなくていいんだよ。霜河君」

何気ない会話を交わしていると教室が近付いてきた。

「またね、昼休みに」

別れの言葉を残し、上の階にある教室を目指す彼女。

俺は、教室に脚を踏み入れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る