あと8人
そして、もう一度話し合うために会議室に戻る段になって問題が起きた。二人、部屋から出てこなかったのである。その二人は、ラトス・ペーコフとレオル・ダルクだった。
同じグループであったタブとフォルトゥナがラトス、レオルの順で部屋の扉をノックしたが応答がなかった。仮眠をとっていてまだ起きていないのだろうと思い、外から時間だから起きてくれるように少し大きめの声で声をかけたが共に出てくる気配はなかった。その掛けていた声が廊下を通して聞こえたからか、しばらくして他のグループも集まってきた。今度はラトスの部屋の扉を強めに叩きながら声をかけてみたがそれでも何の応答もなかった。
ここで皆、まさかと思った。まさか殺されてしまっているのではないかと。それを確認するために代表してアレフがドアノブに手をかけた。この館の部屋の扉は内側からしか鍵をかけられない構造になっていた。そして、この復讐劇の件もあり部屋にいるときは扉に鍵をかけることを決めごととしていた。扉の破壊ができない以上、そうすれば外から侵入できなくなるからだ。自分たちの身を守るうえで部屋にいるときにできる最大限のことであるためとても重要である。これがされていればドアノブは回らない。しかし、そうではないときにはこのドアノブは回ることになる。
結果として、ドアノブは回った。回ってしまった。恐る恐る中をうかがうと中は暗かった。しかし扉を室内に押し進めていくことで、廊下側の明かりが部屋に差し込み、中の様子が少しずつ見えてきた。そこで見えた色は赤だった。それも水たまりのようになっている。さらに時折波紋が浮かんでいる。つまりはそこに何かが落ちてきているということだった。視線を上にあげていくと天井のあたりに何かあるのがわかった。目を凝らしてみるとそこにあったものが何か分かった。そこにあったのは、体中に短剣が刺さった状態で吊るされているラトス・ペーコフの姿だった。タブとフォルトゥナは悲鳴を上げた。他の者たちも悲鳴こそ上げなかったものの先ほどまで話し合っていた者の死にショックを隠しきれないのか口元を抑えながら目をそらさずにはいられなかった。
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