記憶①
「どうでしたか、私の踊り?楽しんでいただけましたか?」
彼女、リベットが座っていたこちらに視線を合わせるようにのぞきこみながら問いかけてくる。思わす目を彼女からそらした。すぐさま彼女は目をそらした先に回り込んでくる。再び彼女の小麦色の肌が見える。先ほどまで激しく動いていた彼女の肌には汗がにじんでおり、彼女をより艶めかしく魅せている。さらに彼女の衣装も問題だ。動きを阻害しないためなのか、今の自分のように劣情を催させるためなのか、かなり際どい衣装だった。前に聞いたときは、これでもおとなしい方なんですよー、なんて言ってたっけ。さらに上があるのかと戦慄した記憶がある。
「もう、なんで答えてくれないんですか?もしかして、つまんなかったですか?」
むくれていた表情が悲しげに変わっていった。慌ててそんなことない相変わらずいいものだったよ、と言った。実際いいものだったというのは本当だし、いろんな意味で。
「ならよかったです。楽しんでもらえないんだったらやる意味ないですし。」
そういうと隣に腰を下ろした。そして、置いてあったグラスに琥珀色の液体を注ぎ入れ、一気に飲みほした。確かそれそこそこ度数が高いお酒だって言ってたはずなんだけど。そんな彼女が髪をかき上げた。かき上げた手には黄金の腕輪があった。それ、普段からつけてるんだ、そう言った。
「ええ!折角の貴方からのプレゼントですから。それにこれ着けてると普段より皆さんからの評判もいいですし!」
本当天然なのか計算なのか彼女の言葉は心臓に悪い。でもまあ彼女の後半の言葉はその通りだ。彼女の踊りには味方を鼓舞する力がある。といってもごく狭い範囲だったが。それを広域にするための触媒がその腕輪だった。黄金輪ビューティーという名がついたそれには副次的効果として、見る者に好印象を与えるなんて効果もある。これが評判の良さというところに繋がるのだろう。
「さあ、残すは魔王だけですね!頑張りましょうね、●●様!」
ああ、そうだね、そんな風に僕は答えた。
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