第120話

時計を見ると5時だった。目が覚めてしまった古城はジョギングに行くことにした。着替えていると、チャッピーが足元にまとわりついている。


「一緒に行くか?」


チャッピーは嬉しそうにステップを踏むと、古城の周りをくるくると回った。


幸せそうな顔をして眠っている花音を起こさないように部屋を出ると、チャッピーにリードをつけて淀川の方に向かって走り出した。


小1時間ほど川べりを走って帰って来ると、花音が起きて朝食の用意を始めていた。


「あ、あの……おはようございます……」


花音はおずおずと挨拶した。


「おはよう」


「……それ、と、あ、あの、ごめんなさい。あの、有難うございます」


顔を真っ赤にして俯いた。ベッドに運んだことを言っているらしい。 古城は優しく微笑むと、花音の頭に手をのせて言った。


「朝食の用意ありがとう。着替えたらすぐに手伝うよ」


「は、はい!」


花音はパッと明るい顔になった。クルクル表情の変わる花音を見ていると、古城も思わず笑みがこぼれた。


食事を終えた後は、それぞれの時間を過ごしていた。


時計を見れば、7時40分。花音がいつも出掛ける時間になっていた。

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