第72話

花音は話を変えたくて、

「あ、あの……、アンディ先生、お若くて驚きました」


「え?」


「もっと年配の方かと……」


「ええ-!」


アンディがあんまり驚くので、花音は変なことを言ってしまったと慌てた。


「あ、すみません。失礼なことを……」


「え、年配って年寄りってことだよね。花音ちゃん」


「あははは」


古城が声をあげて笑った。アンディが面白くなさそうに古城をポンとこづいた。


「母の担当の先生方が、ミラー先生にとても敬意を払っておいでだったので、ごめんなさい」


「はは、年配だって……ははは」


「おい! 賢、笑いすぎだぞ」


アンディも、自分が年寄りだと言われた事が可笑しいのか笑いだした。


花音が、そんな二人をにこにこしながら、見つめているのに気が付いて、古城が言った。


「明日はアンディと一緒に病院に行ってるので、僕の位置をスマホで確かめられるようにしておくよ。聞きたいことがあればメールを送ってくれれば良いから」


「はい」


「君の位置情報も僕に分かってしまうけど、かまわないかな?」


「は、はい! もちろんです! よろしくお願いします」


花音は、古城が気遣ってくれることが嬉しくて頬が熱くなった。

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