犬みたい
硝子匣
犬みたい
ぼやけた頭で考える。俺はなぜこんなことに、全裸でイケメンに組み敷かれているのだろうか、と。
多分酒の勢いだよなとか、まあイケメンだしいいかとか、脳内がふやけている。
尻の中で動くナニモノかの違和感と、頭に添えられた手と、忙しなく、だが決して乱暴ではない指の動き、ああ、これが快感というやつか。
漏れそうになる声に抵抗しつつ、何となくイケメンの顔をじっくり眺めてみる。やっぱ悔しいくらいイケメンだな。いや、ここまでくると悔しさもわかないレベルか。あ、意外と睫毛長いんだな。
ふと目が合う。にこり、とイケメンが笑う。
実家の犬を思い出した。
そして、さっきまで手持ち無沙汰だった両腕をイケメンの後頭部に添えて、情緒もへったくれもなく乱暴に口付けた。
驚きからか一瞬開かれた唇の隙間からすかさず舌を捩じ込む。
自分がそうされて嬉しいように、歯をなぞり舌を絡ませ、そして口内を蹂躙するかの如く。
今まで完全にされるがままだった俺の下手くそなキスに、それでも興奮したのかイケメンの腰が速くなる。
そして、一層の固さを増したかと思うとその後に脱力し俺にのし掛かってくるイケメン。
はにかむような笑顔。なんだこいつ、射精した後もイケメンとか腹立つな。
そう言えば最近、実家の犬は母のスマホにご執心らしい。たまに送る俺の写真や通話、それを直ぐ様察知してはスマホを舐め回すらしい。可愛い。
状況が落ち着いたら、実家に帰って早く可愛がりたい。
それまではとりあえず、目の前のイケメンを構い倒してやろう。
手始めに頭を撫で回し、顎の下をくすぐってやる。なんだよ、されるがままのお前もやっぱりイケメンじゃねえかよ。実家の犬に似てるくせに。
犬みたい 硝子匣 @glass_02
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます