【完結】文書(ぶんしょ)ロイド文子シリーズ原典 『サッカ』 ~飽話(ほうわ)の時代を生きる皆さんへ~ 俺は何が何でも作家になりたい! そう、たとえ人間を《ヤメテ》でもなぁ!!
【第12話】ヤスフミとヨシナリの青春時代5《認められるかっ! こんな話っ!》ミサキ先輩が小さい頃の話の真実(※中庸視点)
【第12話】ヤスフミとヨシナリの青春時代5《認められるかっ! こんな話っ!》ミサキ先輩が小さい頃の話の真実(※中庸視点)
あの方を、いやもうこの男の最後を如何に酷たらしく彩るかしかもう、頭に無い。感情のままに物語のフィナーレを演出していく。とりあえず
「おじい様……」
孫娘が入ってくる。この男の酷たらしい有様を見てもびどうだにしない。
それどころか、「中庸さん……どうして? どうして? あなたのこと、好きだったのに……」涙を流しながら訴えている。ソレがひどく滑稽にうつった。いいや、我の被虐心を限界まで引き上げたあなたが悪いと言うべきか……、まあ、何はともあれ。
「この娘に
感情ごと表情を凍らしていた我に久方ぶりの笑みが、悪魔のような笑みが宿っていた。そしてすぐさま少女の傍に音も立てずに移動し、ささやいていく。悪魔の言葉を。
「作家は
「いやああああーーーーー!」
孫娘の絶叫が響き渡る。よし、最高のトラウマに仕上げてやった。
実に愉快、愉快な気分だ。
そしてソレを唯一遺された感覚器官である眼を見開いて息絶えるこの男。
まさに最高のフィナーレ。
「ひゃっはっーーーー!」
すげえ、すげえ、すげえ、これが『
「これでひとまずサッカとして成長したかな?」
そしてぼんやりと呟きながら、この
だが、我に返ると恐ろしくて仕方が無くなる。
「人間ってこわい、こわい、こわい」
感情に振り回されるって恐ろしさは、サッカになってから忘れていた事実。やっと思い出した。これが人間、コレが人間なんだ。
「――――ちょうど、目の前のお前のようにな」
「だからあえて言おう『
「てんめえーーーー!」
「以前、メイが悪魔だと思ったこともあったが、
「貴様が本当の悪魔だ!」
「ありがとう。最高の褒め言葉だよ」
全身の細胞が訴える。コイツを殺せと、絶対にここで殺さねばならないと。怒りで染まりきった身体が
「今殺る! すぐ殺る! もっと殺る!」
もう、コイツのにやけ面を一瞬たりとも視界に収めたくない。すぐに消したい。
「やってみんさい、
「
そしておもむろに両手を下げ、自らを供物とするよう促す。
ソレが尚更に俺の怒りを増幅させた。
「望み通り、喰い散らかしてやらああーーーー!」
その時声が響いた。
『美味しそうで、ありんすなあ』と。
背筋が凍る懐かしさを覚えた俺は『
『いいでありんす、いいでありんす、その
そして俺はブンシュの海の最下層へと沈んでいく。
『
『茶番には、茶番にふさわしい場所があるでありんすうー』
そして
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