【第6話】襲撃!MUST社ヤスフミ社長の罠!(私の過去を体験してちょ!)


 解放・・された姪っ子とおじさんの勢いは凄まじかった。水を得た魚(といっても見た目トビウオっぽい水竜やけど)のようにさらに周囲にいたサッカもろとも並み居る敵を吹き飛ばし蹂躙じゅうりんしていく。まさに【】! 俺達・・はそれを手放しで見ていた。


ゆえに油断したのだろう。


「疲れた下位かい? 憑かれたかい? ひゃーははははーー!」

 俺の様子をさも楽しそうに観察・・する影。

「今回の黒幕・・でえーっす」

 ケラケラと笑う影は漆黒しっこくに包まれ、およそ表情・・を読めはしないが、わかる、わかるぞ。テメエがあらゆる侮蔑ぶべつ凝縮ぎょうしゅくしたみを俺に向けていることくらいは。

「きい、さあ、まああああーーーー!」

「どうもおー、MUSTシステム社長のヤスフミでえーっす」

 会社に潜入・・した際の真面目さとは打って変わったおちゃらけた自己紹介・・・・をするヤスフミ。俺の心をささくれ立たせる。

文子・・もノッてこいよおー」

「私はあなたのようなゲスとは知り合いではありません」

「つれないなあ。ゲス、ゲス、ゲスううーー」

「もういいや、

 冷え切った心が、このけばけばしい茶番・・の終了を望んだ。

「ちょーっと、まった、まったああーーー!」

 おうとした瞬間・・、ころりと態度をひるがえす。この男の真意・・が見えない。

「でも、せめて、る前に、私のはなしをおー、きいーて、ちょうだいよおおーー!」

 なおも食い下がるヤスフミ。

「ミサキちゃんのおじい様の話だよーん! 興味あるでしょー?」

「お前は信用に値しない」

 確かに先輩の祖父の話には興味があるが、支離滅裂なこの男の態度にいいかげん俺も疲れてきていた。

「話だけでも聞きましょうか?」

 冷静に知的好奇心を満たそうとする文子に促され、かろうじて了承する俺。

「……いいだろう。許す」

 俺の了承を受けた途端にがらりと態度が急変するヤスフミ。

「いいか? ここからは、真面目な話だ」

「黙って私を取り込んで観てくれ」


 そして取り込んだヤスフミの記憶から語られる真実。それは先輩のおじいさんが存命の頃、ヨシナリさんとヤスフミの青春時代だった。

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