【第15話】自分が書いた小説のせいで事件が起こったらそらもう落ち込むわな(メイが『サッカ』に転生したワケ1)


――――私はある作品を書き上げた。だが、内容にいちじるしく不安・・があった。


 まあ、もともと読者を『プレイヤー』と揶揄やゆし、一切媚いっさいこびない『テロリスト的』書き方なのもあるが、とりわけ気になるのは、サッカに成る為に『家族周囲全かぞくしゅういすべて』らの手で『惨殺ざんさつ』して『はずれよう』とする作家志望者・・・・・のエピソードだ。


 ここの部分は特に親兄弟・・・に見られたら早速、人格・・を疑われる恐れがあった。なので賞を取って出版される運びになった時、一切の情報・・を(自分が賞を取ったことすら)せたくらいだ。


 だから本当に尚更なおさら自分の創ったモノガタリが、多感たかん感情・・を持つ十代・・読者・・に悪い影響・・を与えないか不安だったのだ。

 いや、怖かったのかもしれない。



 そしてその不安は現実となる。



 賞を取った作品が出版されてしばらく経った頃、とある家庭にて一家惨殺いっかざんさつ事件が起こった。犯人はその家の中学二年生の長男、取り調べで彼はある作品・・影響・・を受けて犯行・・に及んだ。

 その作品・・とは私が生涯しょうがいでただ一度・・出版できたあの受賞作品だった。


 その後、世間はざわめきたち、あの作品は出版が中止・・になるまで追い込まれた。


 その騒動・・渦中さなか作者・・として声明・・を出すことになった。


 編集部・・・からはキチンとした対応でと言われていたが、私は最初から真剣・・に言葉を発しようと決めていた。


 犯人のに対して、彼を通して自分の作品を読んだ全ての読者達・・・へメッセージを送るつもりでいた。


 そもそもキチンとした対応自体、イメージがぼんやりとして私にはひどく曖昧あいまいに思えたのだから。




 そして小説誌『春夏秋冬』に今回の事件に関する声明が見開きで掲載けいさいされた。

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