【第11話】人間はただの『素材』じゃねェ『作物』さ。ならきちんと『育て』なきゃ(※アン視点でメイのことをこき下ろす)


 いつぞやのメイとの会話がよみがえる。


「――――んっ? 気に入らないの? のことが。さんざん人間・・や『ミツバチ』のことばかにしていたが!」


「キミはそうだね、人間を見下し、その可能性・・・を信じようとしない。 ……僕は違うよ! おもしろい『モノガタリ』を作るためなら、何でもする、『素材・・』に手を加えることだって躊躇ちゅゆちょしないっ! だってそんな『ルール』ないだろっ!」


人間・・をただの『素材・・』と思っていないかい? ……それがキミの限界・・さ! 僕はねえ、その素材に手を加えることを躊躇ちゅゆちょしない。だって、そうだろう? 『作物・・』はきちんと育てなきゃ♪」


 メイはそんな僕の主張をこともなげに切って捨てる。


「おまえこそ怖いな。私はただ、無関心・・・なだけだ。なのにお前ときたら、より残酷・・だ。素材に対する敬意・・がまるでねぇ。私だって多少は持ってるんだぞ。それに『素材は絶対不可侵』。ルールどうこうじゃねえっ、少しは分別を持てよ! 神々の使いの私たちが人の世に干渉するなんてもってのほかなんだぞっ!」


 正論だ。正論だけにぐぅのも出ない。

 だから僕は笑うしかない。


「おやー、お説教会? ……んっ、教会? 変換ミスるとちょっと笑えるね。……あっ、あっ、タンマ。ちょっと『笑いタイム』に入るから…」


 こんな感じでコイツと過ごすのも悪くないと思ってた。




 他にはこんな事もあったなあ……。


所詮しょせん、人間なんてこんなものさ。『材料』としての価値から言うならこんな物だろう」

 普段の見下した風から打って変わって極めて素っ気なく告げるメイ。そんな同僚・・に僕は返す。


「キミはいっつもそうだね。所詮しょせん所詮しょせんって口癖・・のように。あきらめちゃってどうすんのよ! なんでもっと人間の持つ『可能性・・・』を信じてやらないんだい?」


 キレイゴトだと、一蹴いっしゅうしようとするメイに僕は酷薄こくはくに笑いながら告げる。

「あいつらからはしぼり取ってシボリくさないと、『モッタイナイ』でしょ」


 実は僕の方がメイより遙かに酷薄こくはくだ。人から『根こそぎ』うばい取ると言う意味では。



 メイはある意味人間・・に対して『それ以上・・』を望まない。


 あるイミ人間というモノにある程度・・『アキラメテ』いるからだ。

 そういうイミでは中庸ちゅうようも含めた僕ら三人・・の中でメイが一番・・『割り切って』いるともいえる。



 まあ、どっちみち僕らが『人類の』であることには変わらないんだけどねっ♪

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