第3話 英雄の娘

「栄誉騎士団長殺し」の討伐隊編成にあたり、魔法使いの選抜も難航していた。

件の魔物が使っている「魔法障壁」、を「中和」する魔法の使い手となると、かなり限られる。

加えて、魔物と戦った当時の騎士団長に同行した魔法使いはかなりの腕利き。

その人物でも中和できなかった魔法障壁をどうするかに、頭を悩ませていた。


「複数人の魔法を合わせればいけませんか?」


その問題は、ある少女の提案で一気に打開された。


実際、魔法は、魔法使い複数人がタイミングを合わせることで、単純な足し算以上の効果が見られた。

そしてベテラン魔法使いが張った「魔法障壁」も、格下の魔法使い数人で中和できることが確認されたのだ。


そのさりげなく魔法概念そのものを発展させた少女の素性に、多くのものが納得した。


少女は「栄誉騎士団長の娘」なのだ。


「栄誉騎士団長」自身は魔法に優れていたというのは聞かないが、彼の妻、つまり少女の母親は、一流と言える魔法使いであった。

今は引退しているが、その素質が娘に受け継がれたのであろう。


少女自身も、素質と母からの教育の成果もあり、実戦経験はないものの優秀な魔法使いである。


彼女もまた、魔物討伐部隊に選抜されることが濃厚であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る