7 空に集う者たち
上空でも『ドラゴン』との死闘があちこちで繰り広げられていた。地上と同じく複数の個体が合体してできた『合成ドラゴン』たちが飛び回っている。
「おら、邪魔だ!」
ルカの爪が胴体が異様に大きくバルーンのようになっている『ドラゴン』を引き裂き破裂させる。
「オーブ展開、行け!」
ショウの盾から射出されたオーブが迫りくる5つの首を持つ『ドラゴン』にオールレンジ攻撃を仕掛ける。攻撃に動きが止まった瞬間、一気に近づいたショウの槍が剥き出しになった核を貫き打ち倒す。
「どいてってば!」
大戦斧を頭の上で回転させ、ブレスを吐こうとしている『ドラゴン』を縦に両断し体を回転させ背後から口を広げて向かって来ていた別の『ドラゴン』も横に両断した。
先ほどから進もうとする一行の前に執拗に『ドラゴン』の妨害を受けていた。その理由も狙いも明確である。
即ち龍見の捕獲し『支配の力』を手にすることである。
末端の兵隊に捕えさせればいい喰らうモノと、直接自分が敵の懐に飛び込まねばならない龍見では明らかに後者が不利である。
だが、それでも龍見たちには頼りになる味方が来てくれていた。
「もう終わっているかと思ったけど丁度いいタイミングで来た感じ?」
「ブルー、やるよ!」
三角帽子に黒いゴスロリ服を着て箒に横乗りした少女が手にしたタクトを振ると光弾が帯を引いて『ドラゴン』をどこまでも追尾していく。
もう1人の少女はヴァイシュと違って鋭角的でスタイリッシュな青いロボットの背に乗り敵を腕のブレードですれ違いざまに切り捨てる。
「来てくれて助かったよ」
「どういたしまして。というかここ地球でしょ。なんでエデンみたいなことになっているの?」
近寄ってきた魔女風の少女の質問にショウが答える間もなく新たな敵が寄ってきてその対応に忙殺される。
「ああ、もう!他のみんなは何しているの!?」
「向こうの前線に
「……納得。機神が2体も来てるんじゃ仕方ないか。でも、どうするの?こんな調子じゃいつまで経っても辿り着けないよ?」
魔女の少女が流星のような光弾を次々と発射しながらショウに尋ねるがショウは返答に詰まる。考えはあった。けれどそれは大きなリスクを負うことになるからだ。
「めんどくせえ。オレが無理やり突っ切るからお前らついて来い!」
「だあああ、ちょっと待て!そんな事したらお前が持たないだろ!」
ルカの言った事こそショウの考えていたリスクのある考えだった。
地球人と違って輝石の力を十全に扱えないルカでは、そう何度も喰らうモノの生命や魔力を吸収する攻撃を防ぐことは出来ない。強引に敵を突破しようとすれば途中で輝力を失いルカの命が危なくなる。
「ハッ、危険上等じゃねぇか。何のリスクもない戦いなんてつまらないぜ!」
「ダメだよ!誰かの命を捨て駒にするなんて。そんなのアイツらと変わらないじゃない!」
そんな綺麗事と龍見の言葉を撥ねつけようとしたルカだが、なぜか出来なかった。納得した訳ではないが龍見の言葉に逆らう事になぜか重圧を感じてしまったのだ。
(くそ、何なんだよ、こいつのプレッシャーは?)
まるで故郷にいる父と母のような存在感を持つ龍見を7つの目で見定めようとするが輝力で守られた勇者には外部からの魔術干渉は出来ず何も見る事が出来なかった。
いや、それは本当に輝力によるものなのだろうか?
龍見と目が合うとルカは思わず悪戯がバレた子どものように顔を反らした。
「私とブルーが先行して出来るだけ数を減らしますから、皆さんは残った敵を倒しつつ付いて来てください」
≪今最後の援軍がきてくれますから、ちょっと待って下さい!≫
「援軍って誰だ?」
≪私たちよ!≫
空に光り輝く輪が広がっていき中からゆっくりと全長200メートルの流線形をした船が姿を現わした。
「マジかよ。それを出すのか?」
≪次元移動戦艦ブレイズアーク、作戦地点に到着。これより作戦行動を開始します!≫
銀色の船体を煌めかせた空を征く船が艦首を『方舟』へ向けた。
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