第3話 アルドの奔走

アルドはラトルより煉獄界に到着する

先ずオタマンダー達に会う事にした

オタマンダーはお待ちかねのご様子

こちらはこちらで苛立ちと不安が入り乱れている

アルドの姿を見て食い気味に


「待っていたぜ、お兄さん」

「聞いてくれよ、大変なんだよ」

「はやく聞いてくれ!」


オタマンダー達は順番にアルドに話しかける

同時に話しかけないのが不思議なくらいの

間だった‥

アルドはオタマンダーに何事なのか聞き返す


「バルオキーの鍛冶屋で巻藁からオタマンダー達

 がオレを呼んでいると聞いたよ

 この煉獄界で一体何があったんだ?

 四大幻霊に何かあったのか?

 とりあえず聞かせてもらえるか?」


三匹のオタマンダーはそれはそれは慌てふためいて

アルドにくいかかるように


「四大幻霊がいなくなったんだよ!」

「なったんだよ!」

「DAYO!」


四大幻霊がいなくなるという事は世界のエレメンタルに支障が出てくる事は間違いない

世界の危機になってしまう可能性がある

煉獄界は煉獄界で重大な事態が起こっている事を

知らされるアルド


「そんな!?四大幻霊がこの煉獄界にいなければ

 大変な事になるじゃないか!

 しかもそれぞれの御座にいないなんて‥

 一体煉獄界で何が起こっているんだ?


 オタマンダー、オタマンダー達は何か知って

 はいないか?

 何かの拍子で四大幻霊が居なくなってしまうとか

 こんな非常事態が起こるのは初めての起こる

 出来事なのか?」


アルドの話を聞いてオタマンダー達はあれやこれやとお互いに話始める

もしオタマンダー達が何か知っているのならば

四大幻霊の居場所がわかるかもしれない

メイの事も頭からは離れず、しかも四大幻霊の失踪の件まで同時に重なるなんて‥

そうこうしている内にオタマンダー達が話始めた


「それがよーお兄さん、昔昔に度々よー

 四大精霊、今は幻霊か?がいなくなった事が

 あるらしいんだよ

 それは俺達には詳しく聞かされてはいないん

 だなー」


「そうなんだよなー聞かされてないんだよなー」


「ないんだYO」


オタマンダー達の話では過去にも四大幻霊が御座を離れた事があったらしいのだ

しかし過去にも起こっているのならばその時は

どうしていたのか、勿論気になる

この事実を聞いてアルドは


「そういう事があった事があるんだな?

 しかしその当時は一体どうなったんだ?

 四大幻霊はどこにいたんだ?

 どんな情報でも良いんだ、

 何か知らされたりはしていないのか?」


うーん、と困ってしまうオタマンダー達

オタマンダー達はお互いに顔を合わせて

やはりあれやこれやと話はじめる


何とか当時の解決策のヒントでもわかれば

今回の事も何とかなるかもしれない

ここはもうオタマンダー達を待つしかなかった

オタマンダーは小さいとはいえ幻霊の眷属と

いう幻霊に近しい存在

どうやらあれやこれやが終わったみたいだ


「その時はよ、どうやらしばらくしたら

 四大精霊、今は幻霊か?は

 御座に戻ってきたらしいんだよ

 

 どこに行ってーとか、どのくらいの時かー

 とか、誰とだーとかは全くわからないんだよ

 

 だからよー今スゲー困ってんだよなー」


「だよなー」


「DAYONAー」


オタマンダーの答えを聞き考えるアルド

今回もしばらくして御座に戻ってきてくれると

良いんだけど・・・

皆目見当もつかないんじゃどうしようもない


とにかく何か手がかりを見つければ

この状況はかわるかもしれない


「オタマンダー達の話はわかった、

 とにかく何か手がかりがないか

 オレは煉獄界のそれぞれの御座の所に

 行って探してみるよ

 

 とにかくオタマンダー達は他に思い出せる事が

 ありそうなら思い出しておいてくれ」


こうして姿を消した四大幻霊の御座を

順番にまわることにしたアルドだった


「何か手がかりがあればいいんだけど‥」


オンディーヌの御座に到着した

確かにオタマンダー達の言った通り幻霊はいない

アルドは当たりを見回すのだが、何も感じられなかった‥


次にノーム、そしてシルフの御座を順番にまわってみたもののやはり手がかりらしいものはなかった


そしてアルドは最後の御座、サラマンダーのところにやって来る。

ここにもやはり主人はいないのだ

御座の周辺など探してみたもののやはり

手がかりらしいものはない‥


諦めかけたその時、火の精霊とは縁の深いアルドだからなのかわからないが


アルドには光る火のエレメンタルの残滓が見えた

その残滓は、アルドにはメッセージとしてうつったのである


{陽(よう)なき光(こう)なき場所へ}


アルドには火のエレメンタルの残滓が

そう言っているのを感じ取れたのだ

何故そう思ったのかは、アルドにもわからない

のだが‥


「陽なき光なき場所?一体どこの場所の事なんだ?

 オレは聞いた事がない‥‥‥?

 何とか手がかりらしきものはあったな

 とにかくオタマンダー達に聞いてみないとな」


早速オタマンダー達の場所に戻るアルド

四大幻霊の御座の調査を一つ一つ丁寧に

オタマンダー達に話した

そして最後のサラマンダーの御座で感じ取れた

手がかりの事を話した


「オタマンダー唐突なんだけど

 陽なき光なき場所って知ってるか?

 サラマンダーの御座の近くで火のエレメンタル

 の残滓にメッセージらしきものがイメージで

 浮かんできたんだ」


オタマンダーは皆して小首をかしげて

またあれやこれやのお話あい

多分今回はオタマンダー達は知らなかったのか

アルドに向かってアルドの言葉を復唱してくる


「陽(よう)なきぃ?」

「光(こう)なきぃ?」

「なぁ~んか光の届かないところなのかぁ?」


最後のオタマンダーだけ復唱とは違っていた

アルドは緊張感もなく笑いそうになってしまった

最後の光の届かない場所…って言葉?

どこかで耳にした言葉なのではないかとアルドは

考えはじめる

いや、薄っすらではあるが、アルドはこの言葉を聞いた事があることに気付く


「オ、オタマンダー!

 オレ何かを思い出しそうなんだ!

 多分オレは覚えているのかもしれない

 もう一度!

 もう一度今の言葉を言ってみてくれないか?」


アルドのその言葉に何かを感じ取った

オタマンダー達

オタマンダー達も藁をもすがる気持ちで

復唱する!


「お、おう!何度でも言ってやるから心して

 聞くといいぜ!兄ちゃん!!いくぜぇー

 

 陽(よう)なきぃ?」

「光(こう)なきぃ?」

「なぁ~んか光の届かないところなのかぁ?」


もう一度その言葉をオタマンダー達に言ってもらう

ここでアルドは確信する

やはりアルドはこの言葉を聞いたことがるのだ

しかしどこで‥アルドは記憶を探る


そうだ!小さい時にじいちゃんが・・・!!!


「この{陽(よう)なき光(こう)なき場所へ}って

 言葉はバルオキーにある昔話の中に出てくる

 言葉の1つなんだ。

 昔じいちゃんから聞いた事がある!!」


(回想シーン)

アルドの子供の頃

フィーネと一緒に村長に昔話を聞いている


「この昔話で出てくる、バルオキーの近くにある

 陽(よう)なき光(こう)なき場所では色んな、

 たくさんのことが

 起こると言われているそうじゃ」


「ん~何が起こるのじいちゃん?怖いやつなの?」


「フォフォフォ、どうかのぉ‥

 それはこのワシにもわからんのぉ

 このバルオキーには神隠しとか怖いのも

 伝わっておるがのぉ

 本当にそうなんじゃろうかと思っておる

 怖いことばかりではないかもしれんと

 ワシは思っとるよ


 なぜならバルオキーはこんなに良い村じゃ

 こんな素晴らしい村の近くにそんな怖い

 場所があるはずがないと思うのだわい」


「へぇ~でもじいちゃんがそう言うなら

 そうなんだろうなぁって思うよ!

 だってじいちゃんの言う事はいつも正しいと

 思うから事


 ねぇねぇじいちゃん、

 陽(よう)なき光(こう)なき場所ってどこなんだ?

 このバルオキーの近くなんだろ?

 オレ全然わからないや」


「フォフォフォ、アルドよそれはお前も

 よく知っている場所じゃよ

 ワシがアルドとフィーネと出会った場所じゃ

 それは…」

(回想シーン終了)


目を閉じているアルド‥

不思議そうにアルドのその様子を見ている

オタマンダー達

アルドは確信したように目をあける

最早、アルドに迷いはない!


「オタマンダー、四大幻霊の居場所がわかった!

 俺は昔からその場所を知っていたんだ!

 オレはじいちゃんからその場所を聞いた事

 があったんだ!」


ぱぁーっと歓喜するオタマンダー達!!

この喜びようは一体どう形容すればよいのか


「MAZIKAYO!!」


「やったじゃん!!!」


「ヒャッホーー!どこっ????????」


アルドはゆっくりと自信を持って話し始める

あの時、村長に聞いた思い出の場所を‥


「陽(よう)なき光(こう)なき場所…

 太陽はなく、光の届かない場所

 太陽ではなく月 光と表裏一体は影

 月影の森の事を指しているんだ!」


勿論この事をオタマンダー達が聞いてもわかるはずもなく口をポカーンと、目をおぱちくりしている


しかし場所が特定できた事はオタマンダー達も

理解しているので細かい事はこの際良いのだろう


「月影の森って場所は全然知らねぇけど、

 兄ちゃんが言うならそこなんだな!」


「でも残念ながら俺達はここをはなれられねぇ」


「兄ちゃん、いやさBROTHER頼めるかい??

この高難易度のMISSIONを!」


「あぁ任せておいてくれ、オタマンダー!!

 必ず四大精霊達を煉獄界に連れ戻すよ!

 オタマンダー達は四大幻霊が戻ってくるか

 どうかここで確かめてくれ!」


アルドはオタマンダー達に別れを告げ、

火のエレメンタルの残滓に残された場所

陽(よう)なき光(こう)なき場所、

月影の森に向うべく煉獄界を後にするのだった。


「月影の森に全てが集まってる!

 待っていてくれ!四大幻霊達!

 そしてそこでメイも見つけてみせる!

 オレが必ず皆んなを救ってみせるからな!」


アルドは心の中で自分とフィーネを育ててくれた

じいちゃんに感謝するのであった‥





















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