第2話 捜索そして

バルオキーでの出来事を頭で整理しつつ

メイの父親を安心させてホッとするアルド


メイの父親の話を整理すると

メイは酔っ払っている父親が心配で酒場にやってきた。そして心配をかけまいとして鉱石を取りに月影の森に行くと父親に言って出かけていったという事だ


アルドはそう考えながら月影の森に急ぐのであった

勿論、道中もメイの手がかりがないか

探しながら行く

少しでも変な所があれば調べる

そのちょっとした事が全てを変えるという事を

アルドは肝に銘じているからだ


そのアルドの努力も虚しくメイの手がかりは

見つからなかった

しかしここでアルドは何故か確信する

メイはこの月影の森にいるのだと‥

アルドは月影の森に到着するのであった



「魔獣達が一旦退いたとはいえ、月影の森はまだ

 まだ魔物もたくさん出てくる

 普通に来たとしても危険な場所には変わりない

 とにかく早くメイを探さないとまずいことに

 なっていく」


森の奥へと足を進めていくアルド

月影の森を熟知しているアルドは人の知らないような抜け道も隅々まで探していく

木の影、死角になっている岩など、アルドの知っているところは全て探した


しかしアルドの捜索にも関わらず、メイの手がかりさえも見つける事ができなかった。


「おかしい…、これだけくまなく探しても

 どこにも見当たらないなんて‥

 まさか手がかりすら見つけられないとは

 思わなかった

 

 でも諦めるものか

 人がいなくなるなんて事があってたまるか

 

 もしかしたら本当に何かに巻き込まれて

 しまっていたら‥

 くそっ!必ず見つけて見せる」


ただただ時間だけが過ぎてしまっていた

アルドにも次第に焦りが見えはじめる

早く見つけたいがメイはまだ見つからない。


「焦ってはいけない‥

 こんなときほど冷静になって考えるんだ


 これだけ探しても見つからないなんて

 もしかしたら俺一人の力だけではでは無理かも

 しれない、

 一度バルオキーに戻って村の皆の力を借りよう

 危険だけどそれが一番いいはずだ」


アルドは月影の森の道を戻りながらも

希望は捨てていない

心のどこかでこうも思っていた


 「オレの知っているメイの事だから

  もしかしたらバルオキーに

  戻ってるかもしれない…

  

  簡単に考えすぎか‥

  でも前に進むしかないからだろ

  アルド!!」


アルドは月影の森を後にする


アルドが立ち去った後、月影の森の泉に

時空の穴のような物が出現し、そして(暗転)…




アルドは月影の森を抜けて

ヌアル平原を駆け抜け

バルオキーの村に戻ってきた


「とにかくメイの事をおじさんに報告しなければ

 いけない、とにかく一度鍛冶屋に行こう」


アルドは鍛冶屋の扉をあける

そこには心配そうにメイの帰りを待つ

メイの父親がいた

アルドが店に入ってくるのを見ると


「アルド!どうだった?メイはいたか?」


残念そうに首を横に振るアルド


「月影の森でオレの知る限りの場所を隅々まで

 探したんだけどメイは見つからなくて‥

 すまないおじさん」


アルドは続けて


「その様子を見るとやはりメイはここには戻って

 来てないんだな

 もしかしたらと思っていたんだけど…」


メイの父親は酷く落ち込んだ様子で

下を向いて震えているようだった

そして絞り出す声でアルドに


「ああ、メイはここに帰ってきちゃいねぇ…

 アルドよぉ!!俺は一体どうしたらいい!

 あの時よ、酒場で俺がメイを呼び止めておけば

 よぉ!アルド何とか言ってくれ!」


経験した事のない焦燥感と不安なのだろう

今にも崩れそうになるメイの父親

アルドはその姿を見て


「おじさん!俺はあきらめないよ!

 必ずメイを見つけ出してみせる!

 

 でもオレ1人の力では限界があるんだ

 だから村の皆に力を貸してくれるように

 頼んでみるよ

 皆もメイがいなくなるなんて考えられない

 はずだからさ

 だからおじさんもオレに力を貸してくれ、

 頼むよ!」


アルドの言葉はメイの父親の心に響く

今まで力のなかった目もその言葉を聞いて

輝きはじめる!

力を貰ったメイの父親が自分自身に言い聞かせるように奮い立つ


「そうだな!そうだよな、アルド!

 俺がメイをよ、いや俺たちがメイを探してやら

 なくっちゃいかんよな


 アルドありがとうよ!

 もしお前がいなかったら俺はもう諦めて

 いたかもしれないぜ!

 俺にできる事はあるか?アルド?」


アルドは大きく頷く


「あぁおじさん、たくさんあるよ!

 まずは村のみんなに声をかけないとな!」


メイの父親は嬉しそうに

 

「よーしそうとなったら村の連中に声を

 かけてくるぜ

 まってろよ!メーーーーーーーーーイ!!」


勢いよく飛び出していくメイの父親を見て

アルド自身も力を貰う事になる


それにまだメイは見つかってない

何があっても絶対見つけると一呼吸し、

アルドの表情が闘う男の目に変わる!


「俺も行かないと!!」


鍛冶屋を飛び出そうとするアルド

すると


「ちょっと ちょっと」


どこからかともなく声が聞こえる

アルドが振り向くとそこには

メイの鍛冶屋の隅に立っている巻藁だった


「巻藁…なのか?オレに何か用なのか?

 今はとても急いでいるんだが‥」


アルドは巻藁の方に歩いて行こうとする

勢いよく鍛冶屋のドアが開く


巻藁とは違う別の声が二つアルドに向けられる

警備隊所属のダルニスとのノマルが鍛冶屋にいる

アルドに会いに来たのだ

ダルニスとノマルはアルドを目にすると


「アルド!いましがたメイの父親から聞いたぞ、

 メイが昨日から月影の森に行って

 いまだに帰ってこないと!

 行方不明になったのかもしれないと!」


「アルド先輩!メイさんがメイさんが!」


ダルニスとノマルは違った意味で気が動転

しかかっているようだった

アルドは詳しく二人にこれまでの事情を説明

する事にした


「実は昨日からメイが月影の森に鉱石を

 取りに行くと言って、それからどうやら

 バルオキーには戻ってきていないんだ


 オレも月影の森に行ったんだけど、

 手がかりも何もなくて皆の力を借りたくて

 バルオキーに戻ってきたところなんだ」


アルドの話を聞いて、

今までの状況を把握するダルニス


「なるほどな、アルドの話を聞く限りでは

 状況は芳しくないわけか‥

 しかしな、アルド

 ここにいても埒が明かん!

 今度は俺達、警備隊と今一度、

 月影の森まで行き、メイの行方を追う!」


ダルニスの意見に大きく頷くノマル


「そうですね!3人でもう一度月影の森に行って

 メイさんを探しましょう

 メイさんも必ず待っているはずですから」


3人の志気が高まっていく


しかし話の腰を折るように巻藁の声がする


「ちょっと ちょっと ちょっとちょっと

 盛り上がっているところ申し訳ありませんけれど

 ワタシのお話を聞いてくれませんかね?」


アルド以外ぎょっと驚く

巻藁は普通に何事もなく会話を続けていく


「煉獄界で大変な事が起きてましてね

 オタマンダーさん達がそちらのお兄さん

 アルドさん?をお呼びになってるんですがね

 行っていただけませんかね?」


俺の事を呼んでるだって?何が起きてるんだ??と思いアルドは巻藁に聞き返す


「一体、煉獄界で何があったんだ?

 まさか四大幻霊に何かあったのか?

 しかし今はメイの事があるから…」


そんな事はお構いなしと

淡々と巻藁は話を続けていく


「アルドさん、しかとあなたに伝えましたよ、

 それではよろしくお願いいたしますね」


言うことだけ言ってしまって沈黙してしまう巻藁


要件だけ伝えて沈黙⁉︎えーっ⁉︎これ以上はこちから聞いても返事は一切

かえってこない

アルドは突然の事で迷ってしまう 

メイの安否こと、煉獄界のこと・・・

アルドにとってはどちらも一大事なのだから


ダルニスが落ち着いてアルドに話しかける

彼はアルドのために


「アルド、バルオキーの事は俺たちに

 任せて行って来い!

 メイは必ず俺とノマル、

 いやアルドお前の分も合わせて

 警備隊で見つけてみせるからな

 俺達にはわからない事かもしれないが

 お前にはやらなくてはいけない事があるのだろう

 バルオキーの皆を信じてくれ!」


ダルニスに続いてノマルもアルドに檄を飛ばす


「アルド先輩いってきてください!

 メイさんはこちらは僕らが必ず!」


頼もしい仲間達の言葉に後押しされ

アルドは煉獄界に行く事を決意する


「すまない!バルオキーの事よろしく頼む!」


メイの事は勿論心配だけど、仲間を信じて頼り

今自分の出来る事をしようと煉獄界に向けて

駆け出していくアルド

そしてそれを見守るダルニスとノマル


「アルド‥あいつは何かとてつもない大きな物を

 背負っているに違いない

 いいか!アルドにはアルドの!

 俺たちは俺たちにできる事をする!!

 行くぞっ!ノマル!警備隊の力を示す時だ!」


「はい!ダルニス先輩!

 僕たちのできることを!!」


アルドが駆け出していった後に

自分達の使命を確認するかのように、

勢いよく鍛冶屋を飛び出していく二人


そしてその後に鍛冶屋にはゆらゆらと四つの怪しげな光が現れ消えていった‥






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