月影の神隠し?

pamptk

第1話 メイちゃんがいない

アルドは時空の旅からバルオキーに戻ってくる

少しの平和が戻ってきたのかと

安堵し大きく伸びをするアルド

アルドは我が家に帰ってくるのだった


「ただいまー!って誰もいないのか‥

 んっこれは」


テーブルの上には地図とメモ書きが残されていた

そのメモには


「村長会議が行われるので、おじいちゃんと

 いってくるね、お兄ちゃんもし帰ってきてたら

 お留守番しててね

               フィーネ」


と記されていた。

どうやら年に数回ある村長が集まる会議に

出席するみたいだ。


「なんだ、じいちゃんもフィーネもいないのか

 なんだヴァルヲもいないじゃないか‥

 仕方ない、ゆっくりする機会もあまりないし

 久しぶりに村をのんびりと散歩でもするかな」


久しぶりにバルオキーの村を散策する

アルドにとってはいいリフレッシュに

なっているのだろう


「やっぱりバルオキーはいいなぁ

 空気もうまいし、何よりも落ち着くよ」


アルドが良い気分に浸っていると

遠くの方から声が聞こえてくる


「アルドーー!」


段々と声のトーンが大きくなってくる

アルドは一体なんの騒ぎなんだと

勿論気になるので声の主を待つ

声の主はアルドの元にやってきた


「アルド!お前アルドだよな!

 帰ってきてたのか!

 そんなことより俺の話を聞いてくれ

 頼む!!助けてくれ!」


アルドの元にやってきたのはメイの父親だった

何かあったのか、何やらただならぬ形相で、

アルドに詰め寄ってっくる

その顔からは焦りと困惑しか見えてこない

アルドは何かが起こっている事を確信する

こういう人の顔というのはアルドは冒険の旅の

中でいやというほど見てきている

メイの父親は声を荒げて


「アルド!アルド大変なんだ!

 メイのやつが昨夜から帰ってこないんだ

 一人娘だろ?心配で心配で!

 あーーもう、どこいったんだ!?

 俺は一体どうすればいいんだ」


昔から知っているメイの父親が慌てふためいているその事に驚きを隠せないアルド

焦燥し、じっとすることが出来ないでいる

息の荒いメイの父親を見て、アルドは

気持ちを落ち着かせようとゆっくりと問いただす

こういう時は冷静に対処しなくてはならない

勿論、アルドも気が気ではないのだが‥



「おじさん落ち着いて聞いてくれ

 おじさんがメイの事を心配なのはわかってる、

 オレも今おじさんから聞いてメイの事が心配だ。


 ゆっくりでいいから昨日の事を聞かせて欲しい

 いつ何があって、昨日はメイとは会って

 何か話していないのかい?

 

 焦ることは勿論ないから

 何があったかよく思い出して欲しいんだ・・

 

 ほんの些細な事でも大丈夫だから、

 例えばメイはどこかへ行くとかおじさんには

 何も言ってなかったのか?

 

 落ち着いてゆっくりと記憶を辿って

 みてくれ、オレはここにいるから」


メイの父親はアルドに促され深呼吸して、

昨日の事をゆっくりと考え始めた

必死に思い出そうとしている姿がアルドには

少し居た堪れなかった

アルドの言葉通り、メイの父親はゆっくり思い出そうとしている

しかし、やはりすぐには思いだせそうにない

様子を伺う事ができた

やがてメイの父親は口を開きはじめたのだった


「俺は昨日、昼から酒場で酒を飲みまくってて…

 思い出せ‥思い出してくれ俺‥」


酔ってしまっていたのか‥思い出すのは

大変かもしれないなとアルドは思う

本人も曖昧な記憶なのだろう

しばらく頭を抱えながら悩んでいる

必死に思い出そうとするメイの父親

何か何でも良いからひっかかる事を

思い出してくれればとよいのだが‥


ふとメイの父親の会話が始まる

落ち着いた声のトーンだ


「そう言えばあいつ何か言ってたような…」


(回想シーン 酒場のお店にて)

昼間から酒場でお酒を飲んで

気分良く酔っぱらっている父親にメイが心配して、近寄ってくる


「もう~昼間っからこんなにお酒飲んで酔っ払っちゃって~仕事はいいの?」


「バッキャローこんな天気のいい日に仕事なんて

 やっていられるかってんだ、ヒック

 メイ、お前はどうしてここに来たんだよ、

 ええっ」


「お店のお客さんから、鍛冶屋の主人が

 酔っぱらっているからって聞いたから

 心配してきてあげたのよ」


「俺は酔っぱらってなんてねえよ

 酔わない酒を飲んでますのでなぁ

 ワハハハハハ」


「はいはい、わ・か・り・ま・し・た!

 酔っぱらいはもういいや

 アタシさぁこれから鉱石を取りに

 月‥の森に・・・・・」


いつも通りのメイとのやりとりに楽しくなっていたのだろう、気分良く酔っぱらっている父親

まさかこんな事になってしますとは知らず


「あ~月ぃぃ森たぁなんだそりゃ~ヒック

 月が出た出た~♪ってか」


「もうはやく帰って寝ろ!この酔っぱらいめ」


もうこうなってしまっては何を言っても仕方がない事をメイは重々理解していたので

もう面倒くさいので酒場から立ち去ろうする


「あぁ~どこに行きやがるんだーーーーーー

 メーーーーーーーーーイ」


大きな声でメイを呼び止める父親

この展開は何回も何回も経験している

もうさすがにうんざりなメイ

しかし相手にしておかないと後がまた

うるさいのだ

メイは父親の方に振り向いて


「月‥げ‥森へ行ってくるから!

 何回も何回も同じ事言わせないでよね

 ちゃんと家に帰って寝るのよ!

 じゃあね!!」


そう言い放つとメイは酒場のドアを閉めて出て行く

その姿を見ると父親は何故か悲しい気持ちに

なり声を出してしまうのだった


「お、おーいメイ!メイよ!!

 ちぇっあいつ行っちまいやがったぜ

 あーあ仕方ねぇ飲むかぁ!」


そう言ってまた酔わないお酒を飲み始めるだった


(回想シーン終了)


あれから何分過ぎたのだろうか…

まだ頭を抱えているメイの父親は

頭から手を離した、何かを思い出したのだろう。

アルドの顔をまじまじと見て

少し興奮気味にアルドに語りはじめた


「アルド!酒場でメイが俺に言ってやがったんだよ

 そうっ!メイのやつ月影の森に行くって言って

 た気がする

 でもその時は俺は酔っぱらってたからよぅ

 それが確かかどうかわからねんだよ…

 こんな事だけ思い出してもメイは見つからねぇ

 かなぁアルドよ‥

 なぁアルド何とか何とかしてくれよ!メイを

 見つけてくれよ」


アルドに必死に訴えるメイの父親

これまでこんな弱々しいメイのおじさんの姿なんて

見たことがなかった

アルドは決意するのであった


メイの父親の話を聞いて

アルドはメイの父親の肩に手を置く

そして真っ直ぐな瞳で父親を見つめ

こう返答するのであった


「わかった!オレが月影の森に行ってくるよ!!

 確かにおじさんの話は酔っ払っていたから

 確かなものではないのかもしれない


 でもおじさんがメイの事を大事におもっている

 ことはオレにでもわかる

 だからオレは月影の森に行ってくる!


 おじさん!もしかしたらメイが月影の森から

 戻ってくるかもしれない!

 だからお店で待っててやってくれ!


 月影の森の方はオレに任せてくれ

 伊達に冒険してないからな!」


力強く言い放ちグッとポーズを取るアルド


アルドはメイの父親を安心させたかったのだ

もし自分もじいちゃんやフィーネが帰って来なかったらと思うと居ても立っても居られない


「アルドお前ってやつは」


アルドの言葉によって胸打たれる

メイの父親

アルドは続いて言うのだった


「大丈夫だおれに任せてくれ!

 待ってろよメイ」


Quest Accepted の画面へ






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る