02_1度目のプレゼント
私自身ですが、クリスマスには2回、ブレゼントを貰っています。でもこれがサンタクロースからのものなのか、それとも親が買い与えてくれたものなのか、確信が持てません。なので、これを証拠として信じている訳ではないです。
貰ったときの気持ちですか? その時の状況を含めて?
そうですね、最初に貰ったのは絵本でした。
ウチでは、それまでクリスマスというものを祝ったことが有りませんでした。なので、朝、自分の寝床の近くに包み紙に包まった何かが置いてあったのを見ても、それが何かと言うのは全く分かりませんでした。親に聞いても知らないというのでますます分かりません。
包を開けてみたら、今でもよく覚えています。バーバラ・クーニーのルピナスさんという絵本でした。ご存知ですか? その時私は4歳でした。この本は4歳の男の子にとっては分かりやすい話では有りません。当時の私にはルピナスさんの行動原理が全く理解できませんでしたね。後になって不条理という言葉を覚えましたが、それに近い感覚は抱いたと思います。でも、年をとって思い出すとこれ分かって来るんですよ。人生の折々にふと、あのストーリーを、あの絵本の場面場面を思い出すんです。
そうそう。ギックリ腰とか(笑)
サンタの話でしたね。その本がサンタクロースからのプレゼントだと知ったのは、数日後、友達の家に遊びに行った時でした。
確かテレビゲームだったと思いますが、新しいおもちゃがあって一緒に遊びました。それは彼が言うには、サンタクロースがプレゼントしてくれた、という話だったんです。
私もその当時は、クリスマスというものがどういうものかはぼんやりと知っていました。街はクリスマスの飾り付けで溢れますし宣伝もしていますしね。でも、さっきも言いましたがウチではクリスマス、というか年中行事みたいなものは一切していなかったし、4歳から通い始めた保育園でも何故かクリスマスはしていなかったんです。なので、本当に自分のところにプレゼントが届いても、それが何だかは解らなかった。
でも、彼の話を聞いてビビッと理解したわけです。そうか。あの包み紙にくるまれたプレゼントは、サンタクロースからの贈り物だったのか、ってね。でも、この事は親には黙っておこうとも思いました。親だけではなく誰にも言わないようにしておこうと。
何故秘密にしようと思ったかですか? うーん。そうですね。なんとなく、なんとなく漠然とですが、しかし強く、本当に、雷に打たれたように強く、本当に本当の事、本当に大切な真実に触れた、という気がしたんです。
この感覚はずっと続きました。いえ、今でも続いています。後に自分でも徐々に、世間一般でのクリスマスプレゼントの真実を知るようになりましたが、でも自分の知ったこの事実はレイヤーが一つ違うところに有る、今時分が住んでいるこの世界とは別の世界にある真実という気がしていました。ええ、今でもそういう気がしています。
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