大人になってもサンタクロースを信じている人の話

吉川 卓志

01_イントロダクション

私とゼミ生のMは、現代における信仰の研究の一環として、大人になってもサンタクロースを信じ続けているというT氏に会い、インタビューをさせてもらった。


T氏は現在30代独身一人暮らしの男性。国内の大学を出て、東急電鉄沿線上に有る小さなIT企業に務める。サンタ信仰以外には政治的にも宗教的にも偏った信条は無い様子で、一般常識が有り、世間の様々な話題に対して終始冷静に中庸の姿勢を保っていた。読書や見る映画でフィクションにのめり込む事はまれで、読むのはもっぱらノンフィクションとの事。


我々は某所に有る喫茶ルノアールで飲み物を飲み、サンドイッチをつまみながら話を聞いた。氏は紅茶の味をお気に召したようで、ルノアールの紅茶はよく効くと言ってお代りをしていた。


氏の話題は途中であちらこちらに広がり、大いに盛り上がり、インタビューの時間は3時間あまりに及んだ。以下の原稿では、関係のない部分をカットしサンタクロースの部分を抜萃してある。


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 この話題については、最初にはっきりさせておきたいと思います。現代の、クリスマスに子供に送るおもちゃのプレゼント、あれは親が買い与えています。子供だった知っています。現代日本においてクリスマスは、おもちゃ界の商業イベントです。

そして今は少子化でしょう? おもちゃも明らかに、対象を大人に広げようとしていますよね。特に見事に変形する超合金は、大人にとってもガジェットとしてとても魅力があります。でも凄く高いし、それにおもちゃというのは大人にとっては、基本的に何の役にも立たないただの飾りですよね。それを買わせるためには何でもいいから切っ掛けが必要なのでしょう。


 もちろん、私が子供の時代だってそうでしたよ。ある程度年齢が行った時には、友達も口々に言っていました。これ親に買ってもらったのは知っているけど彼らを喜ばせるために知らないフリをしている、って。

でも、その彼らの前では口には出さないけど心のなかではサンタさんを信じている、と打ち明けてくれた友達もいましたね。

親とサンタは結託している、というハイブリッドな信仰を抱いている友達もいました。


私は信じているか、ですか? そうですね、説明はちょっと難しく、話は長くなりそうですが、良いですか?

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