第31話

翌朝 


アグニ「おい!」ボロ「起きろ飯だ」


ミトア「うーん…はい…」


ミトア「あ…その前に病室行ってもいいですか?」


アグニ「ふざけんな」ボロ「飯が先であろう」


ミトア「私が病室行ってる間お二人が獲物を獲ってきてくれれば?」


ボロ「うーむ…そうだな、昨日の店も良かったが別の肉が食いたい行くとしよう」


アグニ「俺も久々にオニのヤツ食いてえしな」


ミトア「オ、オニ…?変生き物持ってこないで下さいよ…」不安になるミトア


三人で一緒に部屋を出て行き、ミトアは病室へ 


ミトア「おはようございま…す…居られない…ですね…」狭い病室を見渡してみる 


ミトア(…帰っちゃいましたか…まあそうですよね)涙を流し病院を出るミトア


ノステア「何してんのよ」病院を出た先で声をかけられる


ミトア「はあっ!ノステアさん!」駆け寄り抱きしめるミトア


ノステア「何よ!」


ミトア「良かっだでず〜」泣いて鼻水を垂らして抱きつく 


ノステア「キャー!垂れてる!垂れてる!」自分に付きそうな鼻水を必死に避けようとする 


ミトア「どっがいっぢゃっだがど〜…」


ノステア「わかった!わかった!わかったから離して!」その言葉を聞き離すミトア


ノステア「大体、人なら昨日の連中が居たでしょう」


ミトア「グスッ…それはそうですけど…行き先もわからないままどっか行ってしまうと縁が切れてしまう様な気がして…グスッ」


ノステア「…意味分からない…」二人で宿へ向かう


スレイ「おはよー」


ウォルデ「うーす」


ディア「良くなったみたいだね」


リサリー「もう治ったんですか!」


ウォルデ「俺なんて高い薬で治したのに…」


アグニ「ウマいの獲れたぜー!」ボロ「早急に飯にせよ!」


ミトア「また珍しい…」十五mある角を頭に二本生やした赤いトカゲ、オニクイトカゲを持ってアグニとボロが飛んで来る 


スレイ「凄い…!」スレイが感心している


ウォルデ「ずいぶんとまた…」


リサリー「これはベゴの地に居る物では?!」リサリーが驚愕する


一行は村から離れた場所で解体を始める


ミトア「流石に解体作業場の方に一人でやってくれとは言えませんもんね…」


ディア「だね…」


ガットア「初めて見た」


ウォルデ「俺もだよ大体ベゴやドゥムート辺りなんて危険すぎて行けたもんじゃねぇよ」


スレイ「そうだよね」話をしながら解体を終わらせ調理に取り掛かる


ミトア「ノステアさんも一緒に料理しましょうよ」


ノステア「あなたがやればいいでしょ」


ミトア「いいじゃないですか、それにミトアですよ、昨日呼んでくれたのにな〜」ニヤニヤ締まらない顔をしているミトア 


リサリー「え?そうなんですか?」


ノステア「あなたがしつこくせがむからよ」眉をひそめて言うノステア


ディア「友情だな」


ノステア「違うわよ!何言ってんの!」


ミトア「ホントですか!友情ですか!やった〜!」


ノステア「違うって言ってるでしょ!」


リサリー「羽触ってもいいですか?」


ノステア「人の話を聞きなさい!」


ディア「髪は割と普通だな…」


ノステア「何勝手に触ってんのよ!」


ミトア「綺麗な羽ですよね」


ノステア「ちょっと!」


リサリー「凄い!羽すっごく気持ちいいです!」


ミトア「ですよね!」


ディア「ホントか!」


ノステア「触らないでー!」


ウォルデ「早くご飯を…」ガットア「腹が凹む…」


スレイ「仲良くなったはいいけど…調理を進めて…」


アグニ「おい!お前ら飯を作れー!触りたきゃ後で触りゃいいだろーが!」


ミトア「アグニさんが自分で作ればいいじゃないですか」


ボロ「馬鹿者不味くなるだろう!触りたければアイツを触る許可をだそう!」ウォルデを指差すボロ


ヴォルデ「え?…俺はまあ…?いいけど?」まんざらでもない顔をするヴォルデ 


ミトア「え?嫌ですよ気持ち悪い」


ディア「汚いだろ」


リサリー「手が汚れるでしょう」


ノステア「手が腐るわ」


ウォルデ「なんでー?!そんな事ないよな!ガットア!スレイ!」


ガットア「…」スレイ「…」目を逸らすガットアとスレイ


ウォルデ「おいー!なんでだよー!」ヴォルデの悲痛な断末魔を聞いた後、調理を再開し料理が完成する 


ボロ「どうせなら山の様な飯が食いたい」


アグニ「腹一杯食いてえ」


ミトア「え〜?!人前では増やさないと言ったでしょう!」


ボロ「どの道露見した後だ変わらんだろう」


ミトア「嫌ですよ」


アグニ「あぁ?!」


ディア「実際どれほどの大きさにできるんだ?」


スレイ「際限なくという事は無いと思うけど…」


ガットア「気になる」


ミトア「うーん…しょうがないですね〜、そのかわり皆様この事は御内密にお願い致します」


ウォルデ「わかってるって」


ガットア「わかった」


スレイ「もちろんだよ」


ミトア「では…ふぅ…フンッ!」料理に意識を集中する、普通に山盛りの料理が皿ごとみるみる大きくなり小さい山と見紛うほどの巨大な料理になる


アグニ「出たー!」ボロ「でかした!」


ミトア「ふぅ…疲れた、まあこんなもんです」アグニとボロ以外が固まっている


ミトア「皆さん食べましょう!」


リサリー「はっ!そ、そうですね…」


ウォルデ「ヤバイな…」


ディア「ここまでとは…」


ノステア「驚いたわ…」一頻り観察した後、アグニとボロに釣られて食事を始める 


ノステア「ねぇあなた、この能力で働かされてたって言ってたわよね何処の国なの?」


ミトア「ノノノノステアさんから質問を…!感激!」


ノステア「イチイチうるっさいわね…」


ミトア「でもあなたじゃなくて名前で呼んでくれないと答えないです」


ノステア「別にいいわよ、なんとなく気になっただけだし」


ミトア「そんな冷たい事、言わないで名前で呼んで下さいよ〜」ノステアに縋り付くミトア 


ノステア「わかった、わかったわよ!くっかないで!何処の国なのミトア」


ミトア「皆さん聞きました?!名前を呼んでもらえましたよ!」


ノステア「そんな事いいから早く答えなさいよ」


ディア「おおやったな!」


リサリー「前進!」


ノステア「うるっさいわね〜…」


ディア「アタイはディアだよ!」


リサリー「私はリサリーです!」


ノステア「…」


ディア「…」リサリー「…」期待して待つディアとリサリー 


ディア「そうだよな呼んでくれないよな…まだ会って間もないし…」


リサリー「やっぱり私達はまだまだダメなんですね…」激しく落ち込み食事の手が止まる二人 


ノステア「あーハイハイ!ディアとリサリーねよろしく!」


ディア「よろしくな!ノステア!」


リサリー「よろしくですノステアさん!」


ノステア(もうホントに…ホントだわこの連中!)


ノステア「…」ミトアの回答を待つノステア


ミトア「にしてもこのトカゲ美味しいですね〜」


ノステア「ちょっと私の質問への回答は?!」


ミトア「え?」なんの事か分からず聞き返すミトア 


スレイ「何処で働かされてたのっていう…」


ミトア「…あ、テヘヘへ」照れて頭を掻くミトア 


ノステア「…」睨むノステア


ミトア「ガザラリーア帝国ですよ」


ミトア「私が十才くらいの時に帝国が攻撃を受けて、偶然私が閉じ込められていた牢屋が壊れて逃げ出す事が出来たんです」


ノステア「そうなの…」


ミトア「運がいいですよね私!」


ウォルデ「働かされてる時点でそこそこ悪いだろ…」食事を終える一行 


ウォルデ「よーし!カラントゥアルの街を目指してしゅっぱーつ!」


ミトア「おー!」


竜車に乗り村を出る 


ノステア「…」寝ているアグニを見ているノステア 


ミトア「アグニさんが気になりますか?」


ディア「赤い魔人なんて珍しいしね」


ノステア「そうね…彼は何者?」


ミトア「信じ難いかも知れませんが、かの暴食の魔人アグニと星食いのボロさんです」


ウォルデ「信じられないよな」


ノステア「…信じなくもないけど…」


リサリー「半信半疑といったところですか…?」


ノステア「そうね…戦ってよく分ったわ化け物の強さが、私が居た場所にもそんな化け物と呼ばれる連中が三人居たわ、戦った事は無いけれど、この魔人も含め奇跡が起きたって勝てない様な相手が…」


ミトア「よ、よくそんな怖い所に…」


リサリー「洞窟でノステアさん達が言ってた三剣…という方達ですか?」


ノステア「そうね、ちなみに私はその下の十の盾、十盾よ」


ウォルデ「え?!て事はノステアみたいのが後九人もいんのか?!ひぇ〜…!」


ノステア「ハードもそのうちの一人なのよ」


ウォルデ「世界は広いんだなぁ〜」


ディア「本当だよ、この前まで自分は強い方だと思ってたのに」


リサリー「いや、ガットアさん含めて御三方はお強いですよ」


ノステア「そうね」


ウォルデ「ホントか!もっと言ってくれ!」


ディア「ウォルデ気持ち悪いぞ」


リサリー「汚らわしい…」


ノステア「死ねばいいのに」


ウォルデ「なんで?!酷くないか俺への当たりが!なぁガットア!」


ガットア「…」


ガットア「そうだな…」生返事を返すガットア 


ウォルデ「適当に返事すんなぁー!」


ミトア「あれ?ノステアさん羽と触角何処行ったんですか…?」 ミトアがノステアの変化に気付く 


ノステア「魔力を上手く制御出来れば羽は小さく触角は引っ込められるのよ、もっと幼少期から出来れば良かったのにね…そうすれば蛾人間なんて呼ばれなくて済んだのに…」


ミトア「触ってみてもいいですか?」


ノステア「触らなくても見れば分かるでしょ」


ミトア「柔らかいですね〜」小さくなった羽を触ってみるミトア 


ノステア「…」勝手に触るミトアに諦めるノステア 


ミトア「にしてもノステアさん一緒に来て頂けるなんてありがたいです!」


ノステア「…どっか行こうとすると抱きついて泣いて鼻水付けようとするから渋々でしょ…」


ミトア「えへへへ、お恥ずかしい」


スレイ「この先に魔物の群れがいるよ!」運転しているスレイが言う 


ウォルデ「うぉー!俺の強さを見せてやるぜ!」


ディア「いいから早く出ろ」竜車を降りてしばらく歩く六人と竜車をゆっくり進めるスレイ


ディア「ノステアは病み上がりだろう見ててくれ!」


ノステア「特に問題無いけど…?」


リサリー「大丈夫です私達が頑張ります!」主に五人が戦い、十二頭のヨロイサイに応戦する 


スレイ「あ!一匹そっちに!」一匹がミトアとノステアの方へ突進する 


ミトア「ぎ!ぎだ〜〜!」


ノステア「…なんでも無いわこんなの」


ガットア「フンッ!」二人に向かったヨロイサイをガットアが受け止める 


ガットア「うーん…!ハァッ!」ガットアが持ち上げたヨロイサイの側面を地面に叩きつける 


ガットア「ふぅ…」


ミトア「た、助かりました…ガットアさん…」


ノステア「なんで降りて来たのよ…」ミトアに言うノステア 


ミトア「なんか居てもたってもいられなくて…」


ノステア「弱いくせに…」


ディア「流石ガットア!」


リサリー「良かったです」


ウォルデ「いやいや、あのまま突進された所でだろ」


スレイ「ウォルデ…そういうとこだよ」


魔物を解体し素材を回収した後、竜車に再び乗る


ウォルデ「にしてもあんな急に突進した奴よく気づけたな」


ガットア「…」リサリー「…」ディア「…」シーンとする竜車の荷台 


ウォルデ「な、なんだよ!」


ノステア「助かったわ…」


ガットア「…い、いや気にするな」


ウォルデ「?」


竜車をしばらく走らせるとアグニが突如起き腹が減ったと叫び出し食事を取り、暗くなって来たので各々天幕を張る 


ミトア「アグニさんは寝てましたけどボロさん寝てないですよね?」離れた場所に居るアグニとボロに近づき、寝ているのか起きているのか分からないボロに聞くミトア


ボロ「寝とらんぞ、なんだ急に?」ミトア「今日一日全然喋らないのでどうしたのかと思いまして」


ボロ「人の行動に興味が湧いたものでな」


ミトア「興味?」


ボロ「そうだな…儂らは対象を見つければ捕食する、攻撃されれば破壊するが…お主らの、知らぬ者と会い対立し和解し、お互いを知るという人の行動にな、特に敵であった者を助ける、ミトアお主の行為だ」


ミトア「あれくらい普通ですよ」


ボロ「自分に害を加えようとした者まで何故助ける?」


ミトア「うーん…私、昔働かされていた国から逃げ出して、逃げ出しても助かったとは言えず、当然身寄りも無く国から逃げる為、森の中を空腹で彷徨っていたんです、空腹も限界が来て動けず木に、もたれ掛かっていたら、ご老人が通りかかって助けられまして、自分だけ助けてもらっといて不公平じゃないですか、それに見捨てたりしたら天国にいるおじいさんとおばあさんに胸張って…まあ、会えないので、出来る範囲で頑張ると決めているんです…!」


ボロ「ふむ…そうか…」交代で見張りをしながら夜を過ごす


次の日の昼前 ミトア「おはようございます〜…」眠そうに起きてくるミトア 


スレイ「おはようミトア」


ウォルデ「ミトア結構寝るのな」


ガットア「おはよう」


ミトア「おはようございます…あれ?アグボロさんは?」


ノステア「朝早くどこか飛んでったわよ」


ディア「おはようミトア」


リサリー「おはようございますミトアさん」


ミトア「おはようございます〜、朝早く…そうですか飛んで行きましたか…」


ミトア(長い時間飛ぶ程、調理や解体大変なの獲ってくる率高いんだよな〜…)


スレイ「カラントゥアルには今日の昼過ぎくらいには着くかな」


ウォルデ「まあ、そのくらいには着きそうだよな」


アグニが地面揺らし三十mのネンショウカザンリュウを両手で持って着地する 


アグニ「飯」


ミトア「はい…朝から元気ですね〜…」


ミトア(割とマシなヤツで良かったー)


ボロ「早よせよ」


ミトア「寝起きなんでキツいんですよ〜」


アグニ「お前寝過ぎなんだよ」


ボロ「お主はもうちょっと早よ起きんか」


ミトア「そりゃおじいちゃん達に比べれば起きるのは遅いですよ」


アグニ「お前…最近生意気だな…」


ミトア「な!なんですか!」アグニがミトアを掴む


ミトア「ちょちょちょちょ!」


アグニ「ちょっと来い」


ミトア「だ、誰か助け!ぎゃーー…!」ミトアを掴んでアグニが飛んで行く


ウォルデ「おお飛んでった」


スレイ「結構な速度で飛ぶよね」


ディア「人に耐えられるのか?」


ガットア「速い…」


リサリー「流石は伝説の魔人」


ノステア「途中で首取れるんじゃないかしら」


一分ほど飛びアグニが下りて来る


ミトア「…カハッ!ハァ…ハァ…」地面に足つき、足が震える


アグニ「飯」


ミトア「…ッ!」無言で頷き震える足で解体を始める 


スレイ「アグニは容赦無いね…」


ウォルデ「怖い奴だな…」


ボロ「だがミトアが死にかけた時、助ける方法を聞いて来たのもアグニだぞ」


アグニ「あれは飯の為だろうが!余計な事言ってんじゃねえ!」


スレイ「意外だね」


ディア「そうだな」


リサリー「食べる事しか考えて無さそうですのに」


ガットア「解体手伝う…」


ノステア「暇だし手伝ってあげるわ」


ミトア「あ、ありがとうございます、お二人とも〜…」


ノステア「ちょっと!汚れた手で触んないでよ!」


ミトア「ノステアさんの肌触り癒される…」


スレイ「僕らも手伝おうか」


ウォルデ「そうだな」協力して解体を進める 


ウォルデ「こんな奴どうやって解体すんだよ!」


リサリー「この殻下手に取ると暴発しますよ…」


ミトア「殻は熱しながら殻の根元を切ってくと外せますよ」


ディア「鱗と皮が剥がれない!」


ガットア「力ずくは傷つく」


ミトア「鱗を熱して削いだあとに皮は冷やして切ると切りやすいです」


スレイ「関節部はどうすればいい?」


ノステア「砕いてしまえば?」


スレイ「結構乱暴だね…」


ミトア「折るのは重労働なので関節を曲げた谷側から包丁を入れると割と簡単に割れますよ」


ウォルデ「ふぅ〜やっと終わったな〜」


ディア「しっかしこんな奴の解体知識なんて良く持ってるね」


スレイ「凄いよ」


ミトア「本を読む内に身につけました」


ガットア「やるな」


リサリー「私も体の構造までは把握出来てないですね…」


ノステア「弱いだけのポンコツかと思ってわ」


ミトア「ノステアさん…酷くないですか…」


ウォルデ「俺も最初そう思ってたよ」


ミトア「うっ!」


ディア「皆最初はそうだろうな」


ミトア「ぐぐっ!」


スレイ「今はそんな事無いから気にしないで」苦笑いで慰めるスレイ


ミトア「それは厳しそうです…」


アグニ「早く飯作れよ」ボロ「まだか」


ミトア「すぐやります…」皆で調理し、アグニとボロの催促がありミトアが増やした後、食事を取る 


ノステア「美味しい…」ボソッと呟くノステア 


ミトア「可愛い…」ディア「美味しいの一言が良い」リサリー「上品…」


ノステア「イチイチ反応しなくていいのよ」


ミトア「もう一回言ってください」


ノステア「…」無視をするノステア 


ボロ「久々に甘味が欲しいな」


アグニ「俺もくれ」


ミトア「あ…そうだ…ドスカでチョコレート買い忘れました」


アグニ「お前ふざけんなよ…!」


ボロ「ミトアよ…」ボロが重く落ち着いた声で名前を呼ぶ


ミトア「…な、なんでしょう…」


ボロ「今この星の命運は…ミトアよ、お主の双肩にかかっておる、この星を失くすかナンタラを入手しに行くか選べ」二つに一つをミトアに問う 


ミトア「そそそそんな事って…ど、どなたか代わりに…」皆の方を見て助けを仰ぐ


ノステア「出来る範囲で頑張るんでしょ」


ガットア「頑張れ」


ウォルデ「忘れたお前も悪いしな」


ディア「私達の為、多くの命の為だ!」


リサリー「まだやり残した事あるので星を壊されると困ります!」


スレイ「食後の休憩してるよ」


ミトア「そ、そんなぁ…」


ボロ「決まりだな」ミトアを掴むボロ 


ミトア「や、や、やだ〜〜〜…!」アグニが飛び、一帯に断末魔を響かせすぐに見えなくなる三人 


ウォルデ「怖そ〜」


リサリー「一体どれほどの速度を…」


ディア「アタイなら金貰ってもヤダよ」


ガットア「俺もだ」


スレイ「皆だと思うけど…」一時間程すると三人が帰ってくる 


アグニ「しゃあ着いた!」ミトアを掴んだボロとアグニが着地する 


ウォルデ「はっや…」


ノステア「よく原型残ってたわね」


ミトア「…こいつを倒せば世界は平和に!っえ?!あ!夢か…!」


スレイ「どんな夢…」


アグニ「アメーのよこせ」


ミトア「あ!は、はい!」ミトアが急いで鞄からチョコレートを取り出す 


ボロ「小さい…」


ミトア「は、はい…」ミトアの能力でチョコレートがみるみる大きくなり二十m近くなる 


ミトア「あ、や、やり過ぎた…」


ディア「ならアタイもくれ」


ウォルデ「俺も欲しい」


リサリー「少しいただいても」ボロが割った物をミトアが皆に配っていく


ウォルデ「このチョコレートって意外と高いもんなー」


ノステア「そうなのね、美味しいわね」


リサリー「でもやっぱり女子なら食べたいですよねー」


スレイ「女子?」スレイが首を傾げる 


リサリー「何?」リサリーがスレイを睨む 


スレイ「あ、いや、なんでも…」


ガットア「怖…」


ディア「女は幾つになっても女子なんだよ」


ウォルデ「は?」ウォルデがディアを見る 


ガットア「…」特に何も言わず静かにチョコレートを齧る


ディア「ウォルデちょっと来い」


ウォルデ「いや!今のは違うんだ!待て早まるな!」ウォルデがディアに殴りボコられる 


ミトア「ディアさん強いですねー…」


ノステア「そういえばあの二人、二千前の伝承とかに出てくるはずだけどいくつなの?」満面の笑みでチョコレートを齧っているアグニとボロの歳を聞くノステア 


リサリー「確かに!当たり前過ぎて忘れてました!」


スレイ「そうだよね!」


ミトア「アグニさんは二千歳くらいじゃないかって話でボロさんは最低でも一億歳だそうですよ」


ウォルデ「マジかよ!もはや生きた枝の化石じゃねえか!」ウォルデが大笑いする 


六人「…」六人がウォルデの後ろを見る 


ボロ「塵にするのは勘弁してやろう」いつの間にか後ろにいたボロが言う


ウォルデ「か、か、寛大な御心に感謝します…!」ガタガタ震え振り返らずに言うウォルデ 


ボロ「儂はパラズとかいう場所の茶色の飯が食いたくなった、しばし付き合え」ウォルデを掴むボロ 


ウォルデ「え…いや…ここからどれだけあると…」


ミトア「あ、ボロさんお金渡しておきますね」ミトアがウォルデは特に気にせずボロにお金を渡す 


ボロ「うむ」アグニ「甘いモン食ったからな、茶色いヤツ食いてえ」


ウォルデ「だ、だれかタチケテ…」一縷の望みを掛け助けを求める 


ガットア「自業自得だ」


ディア「どんな感じだったか教えてくれ」


リサリー「資料にまとめたいのでちゃんと見てきて下さい」


ウォルデ「ご、ご慈悲を…」


ボロ「では行くとしよう」


アグニ「よっと」アグニがそう言った直後にドッと急加速で飛んでいき数秒で見えなくなる 


スレイ「身から出た錆だね」


ミトア「可哀想に…」


ノステア「良い経験なって良いわよ」休憩しながらチョコレートを食べ竜車で出発する一行、そこからしばらく走る 


アグニ「いやーウマかったー!」


ボロ「人は美味な物を作る!」


三人が帰って来て竜車に乗り込む 


ウォルデ「…」ウォルデがカタカタ痙攣しており手足が動かない


ボロが動かないウォルデを空いた場所に置く 


ディア「どうだった?」


ウォルデ「かかか神様に…」


ノステア「オンダラ神?」


ウォルデ「すきるをもも貰って…」


ガットア「すきる?」


リサリー「なんでしょうすきるとは…」


ウォルデ「…いいい異世界…てて転生した…」


ミトア「私とおんなじですよ!」


そこからまたしばらく走ると街が見えてくる


スレイ「皆見えたよー!」運転席と荷台を隔てる布を開けるとカラントゥアルの綺麗な城壁と中に綺麗な街並みが見える 


ディア「やっと着いた…」


ガットア「長かった…」


スレイ「色々あったせいでいつも以上に長く感じたよ」


ミトア「綺麗な街ですね!」


ボロ「これだけ発展しておるなら料理もさぞ期待出来るのであろう」


アグニ「マジかー!ウマいもんが!」


ミトア「あれ?そういえばアグニさんトカゲとカザンリュウ以外の素材は?」


アグニ「あんだそれ?」


ボロ「洞窟入る辺りで邪魔だと言い食っておったぞ」


ミトア「食った…」


リサリー「売れば相当な財になったはず…」


ボロ「食った挙句、不味いだそうだ」


ウォルデ「そういや途中持ってなかったもんな…竜車の上にも積んでなかったし…」


ミトア「…考えてもしょうがないので街に入りましょう…」


アグニ「早く行け」


ミトア「もう本当この人は…」呆れて項垂れるミトア


考えてもしょうがないので諦め街に入る一行 


ミトア「中も綺麗ですね〜!」白い石造りの壁に赤い屋根が乗っており路地の様な物は見当たらず道幅はどこも広い 


ミトア「道幅に余裕のある街ですね」


ディア「まあね」竜車をゆっくり進めながら、ゆっくり街を進む 


ミトア「お〜すごい数の騎竜ですね!」大通りに近づくと人が交通手段として騎竜を使っており、そこら中から走る騎竜が行き交う 


リサリー「ここは東の騎竜の街と言われていますからね」


スレイ「皆ギルドへ向かうのでいいかな?」運転しているスレイが問う 


ウォルデ「そうだな」


ディア「素材なんかも処理しておきたいしな」


ガットア「そうだな」


リサリー「アグニとボロさんは甘い物大丈夫なんですよね」


ボロ「うむ、大丈夫だ」


アグニ「ちょと待て!なんで俺だけ偉そうにアグニなんだ!」


ミトア「いいじゃないですか別に」


アグニ「ボロがさんなのが気にくわねぇ!」


ノステア「男のくせに小さいわね」


ディア「アグニそんな小さい事で文句言うからアグニなんだぞ」


アグニ「ぐっ…!」


リサリー「じゃあギルドへ寄った後に、私お勧めのオヤツのお店はいかがですか?」


ボロ「甘味の前に腹に何か入れたい」


ミトア「いやいや…山の様な料理が入っているでしょう…」


ディア「ならアタイが飯を紹介しよう!」


ウォルデ「え?!お前!…まさかゲテモノじゃねえだろうな…!」


ガットア「あれはキツい…」


リサリー「ゲ、ゲテモノ?!」スレイ「…大丈夫ディア?!」


ディア「心配するな」


ボロ「ゲテモノとはなんだ?」


ミトア「うーん…世間一般から見れば奇抜な料理…でしょうか」


アグニ「ウマけりゃなんでもいい」


ディア「任せろ!」一行は交通標識に従いながらギルドへ 


ウォルデ「ここがこの街のギルドだ!」


リサリー「いつ見ても綺麗ですよね!」


ノステア「美しいわ…」


ミトア「都の博物館みたいです!」


周囲の比較的大きな建物を圧倒する様な、特に横に大きい巨大な建物が建っており、光沢のある大理石の柱に入り口は縦長で横にも広く横幅三十mで縦には五十mある出入口から多くの人が出入りしている 


ミトア「中広いですね!天井も高いですし!」


天井は高く、煌びやかな宝石が散りばめられた様な照明が間隔を空けて垂れ下がっている、大きな通路を真っ直ぐに進むと大きな空間があり、案内受付がある。案内受付ではギルドの部署の位置等を説明している、案内受付から七つの通路が伸びており、一つは手前に真っ直ぐ九人が入って来た入り口に、右斜め奥は解体買取、右はギルドカードの新規発行等の手続き、右斜め手前は階段を上がって職員の事務室や支部長室、左斜め奥が食堂、左が依頼の受注報告、左斜め手前の階段は立ち入り禁止になっている 


ミトア「スッゴイですね〜!街も綺麗ですし!素晴らしいです!」


ディア「それは良かった、そう言ってもらえると嬉しいよ」


ガットア「ウォルデ俺らはこっちだ」左の通路へ進むガットア 


ウォルデ「シレリアちゃ〜ん、久しぶりだね!会いたかったよ!」ウォルデが三人いる案内受付の右端にいる受付嬢に話しかける 


シレリア「こんにちはウォルデさん、依頼報告でしたら左の通路を進んだ窓口ですよ」


ウォルデ「そんな冷たい事言わないでよー、良かったら今日どうかな…?美味しい物をご馳走するよ」


シレリア「いえ、いらないので大丈夫ですよ」笑顔で応対するシレリア


ウォルデ「いいの?俺を放っておくと誰かに取られるかもよ?」


シレリア「そうなんですね、それは良かったです」


ウォルデ「そんな俺が…え?!ちょ!」


ガットア「来い」受付にくっついて離れないウォルデの首元を掴み、引きずっていくガットア 


ウォルデ「シレリアちゃーん!」引き摺られていくウォルデに笑顔で手を振るシレリア


一行は解体買取受付に着く、五mの広さの窓口が並んでおり、窓口の後ろには作業場が広がっている 


ディア「ここだ、窓口も空いているしそれぞれで受付しよう」


スレイ「そうだね」


ミトア「分かりました!アグニさんこっちですよノステアさんも一緒にいかがですか?」


ノステア「そうね」ノステアを含めた四人で右端の空いていた窓口へ


男性職員「解体ですか?」


ミトア「買取でお願いします」


男性職員「では素材をこちらへ」五mの広さの窓口へ置くよう言う男性職員 


ミトア「アグニさんそれをあそこへ置いて下さい!あそこへ置いて下さい!大事なことなので二回言いましたよ!」


アグニ「あ?置きゃいいんだろ」五m幅で奥行きの広い窓口中央に素材を置くアグニ 


男性職員「これ…はー…ネンショウカザンリュウでしょうか…」巨大な袋から出した素材を見て頭を悩ませる男性職員 


ミトア「あ、はいそうです」


男性職員「分かりました、お時間いただいてもよろしいですか?」


ミトア「どれくらいになりそうですか?」


男性職員「明日の昼までには終わります」


ミトア「分かりました!では明日のお昼に」


男性職員「ありがとうございます、ではギルドカードを見せて頂けますか?」ミトア「あ、はいこれですね」ギルドカードを手渡す 


男性職員「ありがとうございます、お返しします」紙に何かを記載しギルドカードを返してくる


ミトア「ノステアさん行きましょう!」


ノステア「ギルドってこんな感じなのね」ミトア「もしかして初めてですか?!」


ノステア「そうね」


ミトア「私が案内しますよ〜」


ノステア「あなたもここ初めてでしょ」


ミトア「あ、そうでした」その答えに呆れるノステア 


ディア「終わったか?」終わった三人が待っていた 


ミトア「あ、はい、お待たせしました、ウォルデさんとガットアさんは?」


スレイ「依頼報告行ったよ」


リサリー「終わったらギルド出口で待ってるそうです」


ディア「そういう事だ!では行こうか我が愛しき店へ!」張り切るディア 


スレイ「凄く怖いんだけど…」


リサリー「どんな料理が出てくるんでしょうか」張り切るディアに恐れ戸惑う二人 


アグニ「早く食いてえ!」


ボロ「期待しておるぞ!」


ディア「任せてくれ!」三人だけがやたらと楽しみにしている 


出口へ向かい中央の案内受付へ行くとウォルデが案内受付のシレリアに話しかけている 


ウォルデ「いや〜今から飯行くんだけどディアお勧めなんだよねー、気乗りしないよ、シレリアちゃんと二人だけで是非ご飯ッ!へッイギ!」シレリアに声を掛けていたウォルデをディアが横から蹴飛ばす 


シレリア「いってらっしゃいませディアさん」


ディア「行ってくるよ、シレリアも今度連れて行ってやるよ」


シレリア「い、いやー…そんな…」なんと断ろうか迷うシレリア 


ディア「遠慮するな!」押し切るディア 


シレリア「え、あ、ありがとうございます…」気迫に押されて、つい了承してしまう 


ノステア「なんて有難迷惑な…」シレリアを気の毒に思うノステア 


ガットア「何してる、すぐ離れるな」出口から来たガットアが大理石の壁に激突し撃沈しているウォルデを担いで行き、出口を出る九人 


受付嬢「シレリアあんた大丈夫?」受付嬢「なかなか強烈って聞くよね…」


シレリア「お願いだから二人も来でよ〜」泣いて他の受付嬢に縋るシレリア 


受付嬢「絶対ヤダけど」受付嬢「ここで応援してる」


シレリア「薄情者〜!」


九人が店へ向かう 


ディア「ではこっちだ」ディアの案内で竜車に乗って移動する一行 


ディア「この店だ!楽しみだな!」


店前に立つ九人


目玉焼きという名の店の看板からは、よくわからない光沢のある触手の様な物が垂れており、店の外観を紫色の照明でより際立たせ、店前に目玉や気味の悪い生物を模した小物等が置いてある、外壁には今にも飛び出してきそうな不気味なタコの様な異星生物の様な強烈な絵が描かれている、その店の様相に歓喜するディア 


アグニ「ウマそうだな!」


リサリー「スレイ…一体何が出てくるんでしょう…」


スレイ「だ、大丈夫だよ!食べても死にはしないよ!…多分…」恐れ慄く二人


ディア「では入ろう」ディアが店の扉を開けて皆が中へ入ると外の外観とはうって変わって明るく白い壁に赤い絨毯の床、卓も白い布をかけてあるだけ、店員も上品で動きに無駄の無い格好をしており、上品な普通の飲食店の様相 


女性店員「こんにちはディアさんいつものあちらのお席でいいですか?」


ディア「ああ、頼むよ」


女性店員「かしこまりました、こちらへどうぞ」案内され席に座ると、白の前掛けや見た目が銀のなんの変哲も無い匙、突き匙等を並べられる 


女性店員「ディアさん今日の料理はいかが致しますか?」


ディア「元気走れるで頼む、そっちの二人?一人には三十人分を持ってきてくれ」アグニとボロには三十人分頼む 


女性店員「元気走れるですね、かしこまりました」一礼して厨房へ行く女性店員 


ミトア「三十人分って言ったのに全然表情変わりませんでしたね…」


ノステア「修羅場を潜ってきた顔してたわね…」


スレイ「元気走れるは気になるけど、意外と普通…だね」


リサリー「そうですねウォルデさんとガットアさんが大袈裟なのでは…」


ウォルデ「お前ら覚悟しとけよ、色んな意味で忘れられなくなるぞ」


ガットア「色々来る…」


ノステア「なによ色々来るって」


ミトア「な、何が来るんでしょう…」


女性店員「お待たせしました、前菜のゴッゲアのマンマ焼きです」


五cm程の卵の殻に入ったままの、頭が二つある鳥がそのまま原形を留め焼かれて、香ばしい匂いを放ち皆の目の前に置かれる 


リサリー「き、き、来た…スレイ来た…」


スレイ「だ、だ、だだ大丈夫だよ…!」


ゴッゲア「ギョロッ…」


スレイ「ヒー!こっちを見た!」


リサリー「ばばば馬鹿言わないで下さい!」


ミトア「結構美味しいですねこれ」


ディア「だろう!」


アグニ「もっとくれ!」


ボロ「なかなか美味である」


ノステア「美味しいわね」


ウォルデ「…」ガットア「…」二人が無言で食を進める 


リサリー「あれ…?ウォルデさんとガットアさんも普通に食べてる…?」


ウォルデ「…いいか、お前ら心を無にして食うんだ味は良い」


スレイ「僕らも食べてみよう…」突き匙で刺すスレイ 


ゴッゲア「ゴゲェェ…ェ…」低い鳴き声が響く 


スレイ「ギャアアーー!鳴いたー!」


ディア「中に溜まった空気が抜けて鳴くことがある、鳴くのは当たりだ良かったな」


スレイ「よ、良くないよ!」命からがらなんとか食べるスレイとリサリー 


スレイ「の、乗り切った…そもそも前菜じゃない様な…」


リサリー「し、死ぬかと思いました…」


女性店員「お待たせ致しました、アカバオオトカゲの生き血バクライチュウ目玉入りでございます」


赤い鮮血に一mm程の無数の目玉が浮かんで来る 


リサリー「イヤー!」


スレイ「メダメダメダ…!」


ノステア「美味しいじゃない」匙で掬って飲むノステア 


ディア「ノステア分かるか!」共感者が現れ歓喜する 


ノステア「ええ新鮮な血にこの目がなんとも美味しいわ」


アグニ「プハーッウマかった」


ボロ「追加で貰おう」二つの大皿を飲み干す二人 


女性店員「お待たせ致しました、魚料理ソテアミミズの踊り食いでございます」女性店員が食事の進みを見て品を提供する


長さ十五cm太さ二cmの先端に口があるミミズが皿の上でのたうち回っている


スレイ「魚じゃなくない?!」


リサリー「スレイ…見た目が大きなミミズの魚類ですよ…」


ソテアミミズ「ミギャー!」


リサリー・スレイ(…え?魚って鳴くっけ?)


ウォルデ「…」ガットア「…」無で食す二人 


ミトア「味が無いかと思いきや美味しいですね!」


ディア「独自配合の調味料の水槽で泳がせているそうだ」


ソテアミミズ「ミギャッ!ミギャー!ミッミギィー!」ソテアミミズの動きが激しくなる 


ディア「スレイとリサリーも早く食べないと元気になって食べ辛くなるぞ」


スレイ・リサリー「え…?食べ辛くなるって何?」混乱し言葉が分からなくなる二人


女性店員「お待たせ致しました、肉料理のゴッゴウオの熟成した脳味噌でございます」


十cm程の固められた脳味噌が来る


リサリー「本来なら捨ててしまう、ぶぶ部分ですね…!」


スレイ「きっと美味しい…きっと美味しい…!」言い聞かせるスレイ


女性店員「お待たせ致しました、こちらが本日の目玉!目玉でございます!」


ギョロギョロとしきりに虹彩を動かす十五cm程の目玉が、ほぼそのまま生でくる 


リサリー「いやいやいや見てます!見てます!」


スレイ「いや、何この親父ギャグをやってみましたは!」


ノステア「素材の味が活かされているわ」


ミトア「クニュッと感がたまらないですね!」


女性店員「こちらがヒトクイソウの口に時速五十kmで走り回る植物ハヤバソウを添えた物です」牙の出た十cm程の植物に五cm程のピクピクした植物がついている 


スレイ「ハハハ、走るんじゃなくて走り回るんだね…!」


リサリー「ななななんて素敵な植物ですの…!」可笑しくなり引き攣った笑顔で笑いながら言うスレイとリサリー 


スレイ「ッ?!ハヤバソウまだ微かに動いてるんだけど!なんで全部動くの?!」


女性店員「お口直しにミツタメムシでございます」


皿の上に元気良くウネウネし皿の上で跳んだり跳ねたりしている二十cmの幼虫が来る 


スレイ「お口直らないんですけどーー?!」


ミツタメムシ「ギャッニャッイデァーー!」


リサリー「さささ!さっきのより鳴くんですけど…!」


ミトア「あま〜い、滑らかで濃厚な乳と芳醇な蜜を一緒に食べている様です!」


アグニ「おーい!もっとくれ!」ボロ「追加だ」


女性店員「本日最後のお品コレイクでございます」


青い硝子製の足のついた飲み口五cm程の杯の様な器を置かれる、中には半透明の液体の様なものが入っている


スレイ「よ、良かった…最後は普通の飲み物」


リサリー「ス…スレイ…こちらのを見てください…!」


スレイ「?」そう言われ見てみる 


スレイ「ッ?!」リサリーの器に目をやると青い半透明のナメクジが触角を伸ばして器から出ようと身を乗り出している 


スレイ「…」リサリー「…」


二人は心を無にする方法を覚えた 


アグニ「また来ような!」


ボロ「うむ目玉な目玉は良かったぞ」


ディア「気に入ってもらえて何よりだ!」


ノステア「身体に活力が漲るわ」


ミトア「元気なお料理が多かった為ですかね!」


店を出ていた九人

スレイ「よ…良かった…生きてる…」


リサリー「なんとか死なずに済みました…」乗り切った生を実感するスレイとリサリー 


ウォルデ「大丈夫だったか…?」


ガットア「よく頑張った…!」二人を気遣うウォルデとガットア 


スレイ「ウォルデ、ガットア…分かち合える仲間がいて本当に良かったよ…!」


ウォルデ「分かるぞ!」


ガットア「俺も嬉しい…!」


リサリー「にしてもこの一団に本来少数派であるはずの者が五人もいるのが可笑しいですよ…」スレイ「本当だね」


ウォルデ「だよな…」


ガットア「俺達が変わってるみたいに見える」


ボロ「では次は甘味だな!」


アグニ「なんて!良いとこだ!」


ミトア「アグニさんにとっては美味しい物食べられる所がいい所なんですね…」


ボロ「美味は物が多くある場所は基本発展しており、美味な物の前での争いも少ないだろう、そういう意味で言えば良い場所だろう」


ミトア「そう言われると…そんな気も…」考え込むミトア 


スレイ「ミトア巧みに乗せられてるよ」


リサリー「一億年、生きただけ有りますね…」


ボロ「そうだろう!年長者は敬え、さあ案内せよ」


ノステア「一周して精神年齢、低くなってるわよ」


リサリー「私もすぐに何か食べたいので案内します、こちらです」歩いて案内しようとするリサリー


ウォルデ「竜車は乗ってかねえのか?」


スレイ「どうせならゆっくり観光しようって事で騎竜と荷物は預けて、荷車停めてきたんだよ」


ボロ「儂は早めで良かったのだが…!」


アグニ「全員飛んでくか」


一同「えっ!」やってしまったと顔が強ばる七人 


ミトア「あー!待って下さいアグニさん!」


アグニ「あんだ?」


ミトア「歩いている道中とてつもなく美味しいお店を見つけるかもしれませんよ、飛んで行ってしまっては、見逃してしまうのでは?」


アグニ「そうだな!」


ボロ「それもそうだ!隈なく観察して行くとしよう」


一同「ふぅ〜」七人がホッと胸を撫で下ろす


リサリー「ではこちらですよ」


ディア「リサリーならきっと可愛い店なんだろうな」


ノステア「期待出来るわね」


ウォルデ「スレイも今から行く店知ってんのか?」


スレイ「僕は一緒に行ってないし分かんないかな、ドスカで見送った仲間と行ってたみたいだから」


ガットア「情報無しか」


ウォルデ「これで更に特殊な店なら俺死ぬわ」


ボロ「ではアグニ」アグニ「おう…」最後尾で何かを企む二人


ミトア「あれ?どうしたんですかお二人とも」


ボロ「ぬ…!はー!」ボロが伸び大量に枝分かれし、伸びて行って街中を捜索する、突如伸びて近づいてくる物に歩行者がギョっとし驚愕している


ミトア「ななな!なにしてるんですか?!」突然の行動に焦る


ボロ「ふっふっふミトアよ…分からんのか?」


ミトア「え?…全然分かんないです…」戸惑い答える


アグニ「ウマいもの探しに決まってんだろ」


ボロ「美味なる店を見つける為」


ミトア「皆驚いてるので、すぐ引っ込めて下さい!」


スレイ「飛んでった方がマシだったかな…」


ディア「かもね…」


ウォルデ「こうなったら最終手段だな」顔をキリッとさせるウォルデ 


ガットア「何をする?」


ウォルデ「リサリー、店の方角と距離は?」


リサリー「ここから北北西に約一.二km…ですが?」


ノステア「すぐに出てくる所が凄いわ…」


ウォルデ「よし!」意気込むウォルデ 


ディア「変な事するんじゃないよ」嫌な予感がしてウォルデに忠告するディア 


ミトア「兵隊でも来たらどうするんですか!」ミトアがアグニとボロを説得している 


ボロ「儂が負ける訳なかろう」


ウォルデ「ボロ先生、一大事です!」ウォルデがボロに言う 


ボロ「なんだ…?」


ウォルデ「店が後三分で入店を止めてしまうそうです!方角は北北西!ここから一.二kmです!急がないと!」


ボロ「なんだと!何故それを早く言わん!」ボロが枝分かれさせ広げていた物を瞬時に引っ込め、全員を掴む 


ミトア「え…いや…」


リサリー「ま、まさか…」


ガットア「飛ぶのか…?」


ノステア「わ!私は歩いて行くわ!離して!」


ディア「ウォルデ後で覚えてろ…」


ウォルデ「ははは」乾いた笑いで笑う 


スレイ「ごめんよ、僕が竜車停めたばかりに…!」


各々が最後の一言を言い残す 


ボロ「行くぞ!」


アグニ「おう!」アグニが返事した瞬間に掴んでいる者達に気も使わず一気に加速し飛ぶ 


一同「ぎゃーーー!」七人の悲鳴が街にこだまする 


アグニ「ここか?!甘い匂いだ!」僅か数秒で到着


ボロ「ここで会っとるか?!」グッタリしているリサリーに聞くボロ


ボロ「おい!貴様ら早く起きんか!」掴んでいる者達を上下に振るボロ 


ミトア「う…うう…」


ノステア「あの男いつか殺す…」


ディア「手伝おう…」


リサリー「協力します…」三人がウォルデに殺意を向ける 


スレイ「これが伝説の怪物の速度なのか…」


ガットア「頭が取れる…」


ウォルデ「しょうがねえだろ…」


ボロ「おいエルフの娘よ、ここで会っとるかの?!」


リサリー「は、はいこちらです…」


ボロ「では入るとしよう」二人が他を放って置いて店内へ入る


ミトア「…皆さん大丈夫ですか?」普段飛び慣れているせいか一番早く復帰する


ノステア「あなた見た目以上に強いわね…」六人がふらふらしながら店内へ入り、アグニが座っている席へ


ノステア「やっと視界が安定したわ」


ウォルデ「なかなか良いもんだったろ?」


ディア「ウォルデ本当に後で覚えてろよ」


ガットア「俺も手伝う」昔からの仲間が殺意を剥き出しにする


ウォルデ「なんでだよ!解決したろ!」


六人がウォルデを睨む


エルフの女性店員「あ!リサリー久しぶり!」長身の女性エルフが話しかける 


リサリー「あ!お久しぶりです!レフテノ!」リサリーが笑顔で答える


レフテノ「友達?」


リサリー「そうですよ!」


レフテノ「すぐ出すから待っててね!あ!そうだ、そっちの赤い人に全部くれって言われたんだけど…」


ミトア「アグニさん、くださいですよ」


アグニ「俺が言ったんじゃねえよ!ボロだ!」


リサリー「もしご迷惑でなければ全部出してあげて下さい」


レフテノ「丁度買い物行きたかったし、じゃあ今日は早めに店仕舞いね!ちょっと待ってて」


ディア「私が友達か…」


リサリー「皆私の友達です!ディアさんとミトアさんとノステアさんは女友達ですね!」


ミトア「本当ですか!やったー!ありがとうございます!」


ディア「ノステアの顔もまんざらでは無さそうだな」


ミトア「照れてる…」


ノステア「そんな事無いわよ!」


リサリー「えっ!…嫌でしたか…」一人泣きそうになるリサリー


ノステア「べ、別に嫌じゃ無いけど…」たじろぐノステア 


リサリー「…けど?」ノステア「ちょっとだけ…嬉しいかも…」


ディア「照れてる顔も良いぞ」


ミトア「ちょっとだけ…ですって!」


リサリー「私も嬉しいですー!」


ノステア「なんなのよ!うるさいわね!」


スレイ・ガットア・ウォルデ(なんだこれ…)


レフテノ「お待たせー!」


アグニ「来たー!」ボロ「甘味かー!」皆で多種多様なケーキを食べる 


ミトア「美味しいですね、ケーキ」


ディア「これでアタイも乙女の仲間入りか?」


ウォルデ・ガットア「…え?」


ディア「さっきからなんなんだ、お前ら…」ディアの顔が険しくなる 


ウォルデ「ガットアう、うまいな!」ガットア「そ、そうだなウォルデ!」誤魔化す様に焦る二人 


ノステア「世の中にはこんなに美味しい物があるのね…」


ミトア「これからは皆で一緒に回りましょう」


ノステア「…そうね」ケーキをアグニとボロのほぼ二人で平らげる 


アグニ「アマいな!」ボロ「素晴らしい芸術とも言える甘味だな」


レフテノ「ありがとう」


リサリー「美味しかったですレフテノ」


レフテノ「こちらこそ有難いよ、おかげでゆっくり買い物行けそうだよ」


リサリー「また近くへ来た際は寄らせていただきますね!」


レフテノ「またね!」


九人が店を出る


ウォルデ「やる事無くなっちまったな」


スレイ「そうだね」


ミトア「それならもし良ければ街を案内していただけませんか!」


ディア「それもそうだな行くか」


リサリー「私、お洋服も見たいです!」


スレイ「いっぱいあったと思うけど」


リサリー「この間、誰かが私の服に肉のタレを飛ばしたお陰で一枚ダメになりました!」


スレイ「はいはい、わかったわかった」


服屋の前に立つ九人 


ディア「行ってくるから待ってるんだよ」


ウォルデ「早くしろよ」


リサリー「女性の服選びは時間がかかるんです!」


ウォルデ「そんなのパパッと選べよ、何着たって一緒だろ」


ミトア「ほっといて行きましょう」女四人で服屋へ入って行く 


ウォルデ「あの女衆め」


アグニ「ふぁ〜あ暇だな…」長椅子で寝ようとするアグニ


ウォルデ「近くの武具屋でも行こうぜ」


スレイ「そうだね、ああなるといつ終わるか分からないし」


アグニ「寝る」長椅子で寝ようとするアグニ


ガットア「一緒に行こう」アグニを誘うガットア


アグニ「は?行かねえよ、俺は寝る」


ウォルデ(なんかやらかしそうだしな…)


スレイ(一人にして、兵隊出てきて国滅びましたとか笑えない…)


ボロ「アグニよ人の文明を学ぶ事で美味な物に繋がる可能性もあるだろう」


アグニ「…」少し天を仰ぐ 


アグニ「じゃあ行くか…」


スレイ(武具屋は絶対繋がらないと思うけど)


ウォルデ(よくそんな理由で納得したな)


ガットア(そんな事で動くのか…)


五人で武具屋へ向かう、


五人が到着すると大きな武具屋が店の入り口を大きく開けている 


ウォルデ「ここだここ」


スレイ「大きいね」


入ってみると、五m近い刀や火薬、裁縫に使いそうな針と多種多様な凶器や武器が丁寧に並んでいたり、無造作に置いてある 


スレイ「凄い店だね!カラントゥアルに立ち寄った事は何度かあるけど初めて入ったよ!」


ガットア「俺らはいつもここ来る」


ボロ「色々ある物だ」


ウォルデ「ボロ先生とアグニは武器いらねえもんな」


アグニ「いやあるだろこれ?」


スレイ「え?!あるの?!どれ?!」


ガットア「必要か?」


ウォルデ「それ以上何すんだよ」


ボロ「そういえばお主の野蛮な凶器はどうした?」アグニに問うボロ


アグニ「何言ってんだここに…」アグニが自分の体の至る所を触って自分の武器を探す 


アグニ「…」少し考える 


アグニ「あれ?!ねえぞ?!」


ウォルデ「結構小さいのか?」


スレイ「どっか落としたのかな…」


ボロ「二m以上有る片刃の剣だ、落とせばすぐ分かる」


スレイ「それを無くして今まで気が付かなかったの?」


ガットア「鈍いな…」


アグニ「おい!ボロどこいったか知らねえか?!」


ボロ「知らん」


スレイ「野蛮な大剣ってどんな物なの?」


ボロ「うむ…此奴らの種族は生まれた頃は尾が生えとるんだが、歳を経て成熟してくると、尾が落ちそれぞれに合わせた武器となる」


ウォルデ「皆ケツに武器生やすのかよ、必殺ケツソード」


ガットア「ウォルデ汚いぞ」


ボロ「その武器は自身の魔力を通わせている為、本人と似たような性質を持つ、火を出す者なら焼き切る武器が雷を宿す者なら武器が雷を放ちといったところだな」


スレイ「アグニのは?」


アグニ「俺のは特別製だ!」威張るアグニ


ウォルデ「どんなだったんだ?」


ガットア「危険度高そうだな」


ボロ「刀身に触れた者の生命力を奪っていく、弱い者であれば触れただけで生命力を根こそぎ奪われ死に至り、強者でも傷口から生命力がだだ漏れ、生命力が漏れ続けている為、傷が治らず死に至る」


スレイ「怖くない?!」


ウォルデ「こっわ!持ってなくていいだろ!」


ガットア「失くして正解だ…」


アグニ「俺の体だぞ!」


ウォルデ「持ってて俺らのウチの誰かに、不意に当たったりしたらどうすんだ!」


アグニ「死ぬな」


ウォルデ「要らねえよ!危ねえ!」


スレイ「でもアグニが持って無いって事は誰かが持ってたりするのかな?」


ガットア「それはそれで危ない気もするが…」


アグニ「はぁ?!俺のが?!」


スレイ「あくまでも可能性の話だけどね」


ウォルデ「その危ない剣どっからねえの?」


アグニ「…」アグニ「そういやどっからだ?」


ガットア「無くても困らない」


スレイ「認識がその程度なら要らないでしょ」


アグニ「要るわ!ボロ探しに行くぞ!」


ボロ「行かぬわ!不気味な存在な上、何処に有るかも分からんのに…!」


ウォルデ「無くても十分強えだろ」


アグニ「無くても最強だけどな」


ウォルデ「腹立つな…」


ガットア「武器欲しいなら、ここで買え」


アグニ「要るかこんなもん!」


ボロ「封じられる前は持って振り回しておった気もするが…忘れた分からん」


アグニ「俺の相棒だぞ!」


スレイ「アグニにもそういうの有るんだね…」


ウォルデ「意外過ぎて逆にこえーよ


」ガットア「俺もこいつは相棒だ」そう言って背中に掛けている大きい両手剣を掲げる 


ウォルデ「俺もそうだな」腰に刺している長剣を叩くウォルデ


スレイ「僕はこの弓かな」背に掛けている弓を見せる


アグニ「あんだ?お前ら嫌がらせか?」顔が険しくなるアグニ 


ウォルデ「そんな訳無いだろ!」


ガットア「誤解だ!」


スレイ「むしろアグニの剣らしき物が有ったら教えるよ!」


アグニ「ホントか!」


スレイ「う、うんうん!」


ウォルデ「もちろんだ!」


ガットア「ま、任せろ!」三人で首を縦に振る 


スレイ・ウォルデ・ガットア(見つけたらこっそり何処かに封印しよう…)罪悪感に苛まれ、危険を排する事を決意する三人 


ディア「おい!お前ら!」


ウォルデ「お?ディア」


ガットア「終わったのか?」


ディア「やっぱりここか」


ミトア「お店の前に居なかったから探しましたよ」


スレイ「申し訳ない」


リサリー「ギルドからの通達でディアさん、ウォルデさん、ガットアさんに早急に対処して欲しい案件があるそうですよ」


ウォルデ「うへ〜…マジかよ、帰って来たばっかだぞ、折角シレリアちゃんと食事でも行こうかと思ってたのに…」


ディア「それは時間があっても無理だろけどな」


ガットア「しょうがない行こう」


ディア「ギルド支部長室へ、早急に来て欲しいらしい」


ミトア「私達はギルド前で待ってますね」


スレイ「そうだね」


ディア「すまん」


ウォルデ「じゃあギルド行こうぜ!すぐに行くよシレリアちゃーん!」


ノステア「ギルドの指名、人格は考慮しないのね…」跳ねるウォルデを見ながら言うノステア


スレイ「確かに…」


ディア「まったくだ」


走っていた乗客を乗せている竜車を捕まえてギルド前に到達


ウォルデ達三人が支部長室へ


ギルド前で待つミトア、スレイ、リサリー、ノステア


ミトア「ウォルデさん達はこの街の要なんですね〜」


リサリー「そうみたいですね」


スレイ「ギルドでも結構な人が、三人を見てたからね」


ミトア「洋服屋さんでも、ディアさんの女性人気凄かったんですよ!」


ノステア「ディアは堂々としていて格好良いわ」


ディア「お待たせ」三人が戻ってきてガットアは大きな荷物を持っている 


リサリー「噂をすればなんとやら」


ウォルデ「すまねえ待たせちまって」


ミトア「なーに言ってるんですか」


ガットア「有難い」


ディア「その…私達はすぐに発つんだけど、他にも参加者を募ってるらしくて…」


ウォルデ「図々しい頼みだけどお前らと一緒に行きたい、一緒に行かねえか?」


ミトア「いいんですか?!」


スレイ「もちろん行くよ!」


ガットア「感謝する!」


ディア「ここでお別れになったらどうしようかと…」


ウォルデ「…?」辺りをキョロキョロするウォルデ


スレイ「どうしたの?」


ウォルデ「あの二人は?」アグニとボロが見当たらずキョロキョロするウォルデ


スレイ「そ、それが…」罰が悪そうなスレイ


リサリー「それなら俺の剣を探すと言い、飛んで行きましたよ?」


ミトア「アグニさんが剣を持ってる所なんて見た事ないですけど…」


ノステア「あれだけの強さに凶器持ってどうするのかしら」


ウォルデ「マ、マジかよ…」


スレイ「止められなかった…面目ない…」


ガットア「探しに行ったのか…」


ウォルデ(ヤバイだろ、そんなモン持って俺らの周りウロチョロされたら…)


スレイ(軽くコツンと当たって死んじゃったとか…)


ガットア(そんな物を振り回すのか…?)青ざめる三人


ミトア「どうしたんですか?」


ノステア「顔が青白いわよ?」


リサリー「体調が優れないのですか?」


ディア「アタイは人数が増える事を支部長に報告してくるよ」


ミトア「お願いしまーす!」


ノステア「いってらっしゃい」


リサリー「スレイその間に竜車をこちらへ回して置いた方が良いのでは?」


スレイ「…え?あ…ああ、そうだね…」頭を抱えるスレイ


ミトア「どうしたんですか?」


ウォルデ「いいいや、な、なんでも無い…!」動揺する三人


ウォルデ(持って帰って来ない可能性もあるんだ不安を煽るのは良くない…!)


ガットア「し!心配するな!」


ガットア(な、なんとかしなければ…)特定の三人が不安になる


スレイが竜車を運転し戻って来て、目的地へ向かう


ディア「今回の目的と内容なんだが」


ミトア「はい」


リサリー「どのような」


ディア「ある村で妙な病気が発生しているらしくてね、その病気の検体を持ち帰る事と、渡された物資を村に届ける事だ」


ミトア「それでガットアさんが大きい荷物を持ってたんですね」


リサリー「それは御三方に依頼する程、村が危険な場所にあるという事でしょうか?」


ディア「いや村はどちらかといえば安全な場所に有る…」


リサリー「?」


ディア「検体を採取し、持ち帰ろうとすると必ず何かしらの事故に遭い検体がダメになるらしい」


ウォルデ「その上、その病気の治療薬を持ってるとかって言う、胡散臭い連中がかなりの値で薬売りつけてくるらしくてな」


ノステア「誰かしらが何かの目的で妨害しているということ…」


ディア「そうだ、だが証拠も無く、薬をカラントゥアル側で作らなければ、法外な額で買う事になり、放置すれば死人が増える」


ガットア「発展していないが人は多い村だ」


ディア「向こうに研究員も派遣しているそうだけど設備が無いらしくてね」


ガットア「時間も無い」


ミトア「なるほど…」


リサリー「状況が揃い過ぎてて、今回も妨害するであろうと考え実力者に依頼したと」


ディア「実力者って程でも無いけどね」


ガットア「俺らはまだまだだ」


ウォルデ「実力者?いや〜まあそうでもあるんだけど」舌を出し照れるウォルデ


リサリー「…」ミトア「…」ノステア「…」三人が軽蔑する様な目でウォルデを見る 


ウォルデ「なんでぇー?!いいだろ別に!」


ディア「ノステアに瞬殺されたくせに…」


ガットア「骨折られて転げ回ってた…」


ウォルデ「あれはしょうがねぇーだろー!」竜車を走らせしばらく日が落ち、辺りが暗くなる 


スレイ「皆降りてくれ…!」スレイが声を殺し告げ、六人が竜車を下りる 


ディア「そろそろ村だしな」


ガットア「奇襲に丁度いい」


ミトア「くくく暗い中だと余計に怖いです〜…」カタカタ震えるミトア


ノステア「私から離れないで」ノステアがミトアを守る 


リサリー「じ?!地面が?!」


ミトア「ナナナ何ー?!」七人が警戒していると地面が割れ陥没する 


咄嗟にガットアがスレイの乗った竜車を持ち上げ無事な地面に飛び


ウォルデとディアが普通に回避し


ノステアがミトアとリサリーを持って飛び回避する 


スレイ「ガットアありがとう助かった」


ガットア「気にするな」


ミトア「た、助かりました…」リサリー「ありがとうございます」そう言ってノステアに抱きつく二人 


ノステア「ふざけてるともう助けないわよ」


ミトア・リサリー「ごめんなさい…」二人が離す


ノステア「八人居るわね」


ディア「武器を持ってる多いぞ」


ウォルデ「ノステアも見えるのか…?」


ノステア「まあね」


ディア「心強い…!」


謎の集団「いけ!」バレたのが分かり一斉に掛かる集団、数分とかからず、集団が捕縛される 


ウォルデ「暗いから、やり難いぜ…」


ミトア「何が起きたんでしょう…」


リサリー「正直自分で手一杯で分かりませんでした…」


ウォルデ「こいつらどうする?」


ディア「この竜車に乗せるには厳しいしな」


ミトア「こんな時にあの二人が居れば飛んで持って来て貰うのに…」


リサリー「肝心な時に居ないですね…」


ガットア「俺が持って運ぶ」


ウォルデ「キツいだろ、村までまだあるぞ」


ノステア「フフッ心配しなくても私も飛べるのよ?」自慢気に言うノステア 


ウォルデ「そうだ忘れてた!」


スレイ「八人は重くない?」


ノステア「二十人まで行けるわ…!」自慢気に話すノステア


ミトア「美しい上に凄い力持ち!」


リサリー「カッコイイー!」


ディア「今度アタイも運んでくれ!」


ウォルデ「アホな事言ってないでさっさと行こうぜ」


ノステアが捕縛した者を運び、残りが竜車へ乗り村へ到着する 


草臥れた村人「良く来ていただきました!」門で見張りをしていた村人が迎える 


若い男の村人「お疲れかとは思いますがすぐこちらへ来ていただけませんでしょうか!」


ディア「構わないよ」襲ってきた集団と物資を渡し案内された家屋へ、家屋へ入るとまとめ役らしき年配の村人が数人と派遣された研究員数人まで居る 


村長「よ、ようこそおいでくださいました…」


若い男の村人「こちらが村長のヤクンです」


ヤクン村長「もう既に聞いておられるかも知れませんが、この村には人口二万という発展していないだけでそれなりの人数が暮らしております、そして例の病気がついに五千人に達し死人も増えております、どうか何卒!何卒お力添えをお願いいたします!」


ディア「村長任せてくれ必ずや検体を届けてみせよう!」


ヤクン村長「ありがとうございます!」


ノステア「その病気、明日出発するまで見せてもらえないかしら?」


ウォルデ「分かるのか?」


ノステア「この見た目を抑止出来ないかと毒や細菌、薬の研究に費やした日々があるの」


リサリー「私もお手伝いいたしましょう!」


ミトア「私も微力ながら手伝います!」


ウォルデ「俺らは村回りの外敵駆除でもするか」


スレイ「そうだね、それによって食料なんかも確保出来るだろうし!」


ガットア「戦う事なら…!」


ディア「出発するまでに出来る限りやれる事をやろう!」


ヤクン村長「いやそんな!ここまでにも来るのも相当な事だったでしょう!」


ウォルデ「いいんだよ!俺らが勝手にやるんだからな!」


ガットア「そうだ勝手にだ」


ヤクン村長「ありがとう…ありがとうございます…」涙を流し礼を言う村長


ノステア「研究の資料と明日持ち出さない分の検体を見せてもらっても?」研究員に問うノステア 


研究員「はい、こちらへ」研究員数名と共にノステア、ミトア、リサリーが出て行く 


ウォルデ「じゃ俺らはやる事やりますか」


スレイ「行こう!」


ガットア「やろう…!」


ディア「久々の狩りだな!」気合を入れ外へ出る四人 


若い男の村人「良かったですね村長!」


ヤクン村長「有難い事だ…未来有る若者に栄光あらんことを…」手を合わせ祈る村長、七人が奮闘し日が昇り始める


ウォルデ「おっと…!」なんでも無い足場でふらつくウォルデ 


スレイ「大丈夫?」


ディア「夜通し休みなく動いてるからな」


ガットア「ウォルデ休め」


ウォルデ「俺だけ休む方が辛えよ」


ディア「そうだな…そろそろ三人の様子を見に行こうか」


ウォルデ「だな…」


スレイ「ふぅ…そうだね…」


四人でミトア達が居る布で囲ってある大きめの天幕の様な所に入る


ノステアが机に突っ伏し、ミトアが横たわり、リサリーが壁にもたれかかり気絶した様に寝ている 


スレイ「さ、三人共大丈夫?!」


ディア「ど!どうしたんだ!」


ノステア「…」ノステアが顔を上げる


ノステア「…今周りに誰も居ないかしら?」


ディア「あ、ああ私達だけだな」


ノステア「おそらくだけど研究員の中にこの病気を広めている者がいる」


スレイ「そんな事…」


ノステア「薬は完成した」


ディア「そうか!街へ帰らなくとも大丈夫なんだな!」


ノステア「帰る必要はあるわ」


スレイ「量が足りない」


ノステア「そうよ」


ガットア「そうなのか…」項垂れるガットア 


ノステア「私がこのまま飛んで行こうかと思ったけど体力的に難しいわ、このまますぐ街に持ってて」小瓶を渡す


ウォルデ「じゃあミトアとリサリー起こさねえと」


ノステア「ダメよ…!」


ガットア「何故だ?」


ノステア「いいからミトアが起きる前に持ってて…!」二人を起こそうとするウォルデを静止する


ウォルデ「?」ノステアの発言に首を傾げるウォルデ


ウォルデ「いやでももう…」ノステアの後ろに視線を移すウォルデ


ノステア「?」ウォルデの視線の先を見るとミトアが立っている


ノステア「聞いてたの?」


スレイ「なるほどね…」


ウォルデ「スレイ分かるのか?」


スレイ「量が足りないと分かれば量産しようとするからだよ」


ガットア「だめなのか?」


ノステア「外部に漏れる可能性があるわ、ダメよミトア」


ミトア「街へ持って帰っている間に死人が増えます薬をください…」


ディア「確かに急に薬の量が増えれば怪しむ者が出てくるだろうな、ましてや研究員にばら撒いた者が居るとなると今もここを見ている可能性すら有る」


ノステア「早く持ってて!」


ミトア「お願いです…ノステアさん…」


ノステア「最悪…命を狙われるわよ…」


ミトア「私も育ててくれた方は私を見殺しにしないで助けてくれました、私も出来る範囲で頑張ります!」


ノステア「ハァ…ホント!頑固ねぇ…ヘナチョコのくせに」諦めて薬を渡すノステア


ミトア「そうなんですよねヘナチョコなんですよね〜…」


ノステア「私が守れる範囲で守ってあげるわよ」


ミトア「ではいきますよ…」薬に意識を集中するミトア 


ミトア「フンッ!」薬が小瓶ごと徐々に大きくなる 


ミトア「お!重い!誰か〜!」


ノステア「ちょ!ちょっと落とさないでよ!」


スレイ「うわ〜!地面に!」


ディア「アタイも支える!」


ガットア「俺も手伝う!」


ウォルデ「ホントにヘナチョコだな…」薬が天幕を突き破る


ミトア「寝不足…限界…」ミトアがフラつく 


ノステア「よくやったわ…」ミトアを支えるノステア 


スレイ「すぐに村中へ!」


ディア「そうだな!」


ウォルデ「村長に言って人を集めてもらってくる!」村の動ける者が総出で村へ配り病気で生き絶える者はピタリと止まった、そして次の日の昼過ぎ 


ミトア「うーん…よく寝た…」村の小屋を一つ借り寝ていた、ミトアが小屋から出てくる 


ウォルデ「もう昼過ぎだぞ!」笑って話しかけるウォルデ 


ミトア「あ、おはようございます!」


ウォルデ「こんにちは、だろ!」


ノステア「おはよう、良く寝るわね」


ディア「おはよ、よく寝るな」


リサリー「おはようございます!」


ミトア「あ!おはようございます!」


ガットア「おはよう」


スレイ「おはようミトア」


ミトア「おはようございます!」


ディア「にしてもあの二人居ないとホント良く寝るな」


ミトア「いや〜いつも飯とか起きろって言われて起きてるもので…」


ウォルデ「あの二人居た方がいいんじゃねえか?」


スレイ「そうだね惰性を無くす為にも」


ミトア「嫌ですよ!たまにくらい休ませてくださいよ!」


ディア「あの二人の代わりが必要だな」


リサリー「そうですね起こす役が」


ミトア「そんなに!」


ノステア「目や鼻を猛烈に刺激する毒なんかも出せるけど?」


ガットア「それはやり過ぎ…」


ミトア「ノステアさんまで?!…でも添い寝してくれるなら…


」ノステア「なに言ってんの」呆れるノステア 


ウォルデ「よし、じゃあ帰るか」


リサリー「街で美味しい物食べましょうか」


スレイ「いいね」


ディア「私が案内してやろう」


リサリー「エッ?!」スレイ「ヤッ?!」


ウォルデ「ま!待てディア!」


スレイ「そうだよディア!僕もウォルデもまだお店紹介して無いし!」


ガットア「そうだぞディア早まるな!」


ディア「アグニとボロ居ないんだから関係ないだろ、なんだアタイが案内するのが気に食わないのかい!」


ガットア「そ、そんな事は無い!」


リサリー「デ、ディアさん怖いですよ…」


村に挨拶し見送られながら街へ帰る為、竜車に乗る 


ノステア「そういえば紹介するとかしないとか、お勧めの店を紹介しあってるの?」


ディア「そうかノステア知らないのか」


ミトア「そういえばそうですね」


ガットア「あそこの軽率男がな」


リサリー「あの時は死んだと思いましたよ…」


ノステア「?」


ディア「実はな…」


ディアがアグニとの間に一悶着あった事を説明する 


ノステア「…」ノステア「よく生きてたわね…」


ミトア「ホントですよ!」


ウォルデ「いや〜すまんすまん」笑って軽く謝るウォルデ 


ディア「お前のせいだぞ」


ウォルデ「ディアもミトアの話し聞いて爆笑してたろうが!」


ガットア「お前が焚きつけた」


ノステア「でも山を消し飛ばした辺りは嘘くさいわね…」


リサリー「ノステアさん…本当なんです!跡形もなく消えたんです!」ノステアの目を見て真剣に訴える 


ディア「ノステア…ホントなんだ、一万いや!もっとある様な山が跡形も無く消えたんだ…!」


ノステア「そういう事にしておくわ」


ウォルデ「信じろよ!」


スレイ「み!皆ー逃げて!」荷台の向こうで運転しているスレイが叫ぶ


その直後竜車が吹き飛ぶ 


ガットア「フンッ!ぐっ!」荷台が吹き飛ぶ直後にガットアが盾になり、竜車前方からの衝撃を防ぐが怪我をする 


ディア「な!なんだ?!」


ミトア「イテテテ…」


ウォルデ「ス!スレイ?!」竜車を運転していたスレイと竜車を引いていた竜が傷だらけで転がっている 


リサリー「ガットアさん!大丈夫ですか?!」


ガットア「う…うう…なんとか大丈夫だ…」ガットアがフラつきながら立ち上がる 


ノステア「私の始末という訳…?」ノステアが見た先に男と女が立っている 


白い肌の男「今は〜?お前抜ける邪魔しない大丈夫邪魔する死」真っ白い肌に揺らめいた紫色の線が入り、外套を羽織り常に首を傾けた男が言う 


海獣の女魔人「姉御、そっちつくん?別に抜けてもええとは言うとるけど」水掻きが生え短い牙が並んだ身長百四十cm程の小柄な女の海獣の魔人が言う


ノステア「私の始末じゃないなら何…?」


白い肌の男「今は〜?眼鏡女連れて行く」


海獣の女魔人「そいつ連れて来いやって、そいつ取ってくれへん?」ミトアを指差す言う海獣の女魔人


ノステア「…ッ!」


ウォルデ「誰なんだこいつら…」


ディア「知り合い?」スレイを助けて体勢を立て直し聞く


ノステア「十盾よ白いのがゾッネア・ポイゾネア、魔人がミズミ・ウォルテナ」


ディア「この状況で…!」


ウォルデ「立て続けに来すぎだろ…!」


リサリー「ミトアさんを渡せって…」


ミトア「私はそんな美味しくは…」


ガットア「違うな…」


ノステア「ええ違うわね…最悪…」


ゾッネア「今は〜?時間無い早く」


ミズミ「他に仕事あるし早よ頂戴」


ノステア「私が時間を稼ぐ逃げるのよ…!」ノステアがヒソヒソと伝える 


ガットア「俺も残る…!」


リサリー「私も残りましょう」


ウォルデ「無理だろ!逃げんだよ!」


ディア「勝てる相手じゃない!」


ゾッネア「今は〜?時間無い皆殺し」ゾッネアがヌルッと跳んで向かってくる 


ノステア「貴方と私の毒どちらが上かしら…!」ノステアが体色を濃い赤黒に変色させ向かって来たゾッネアを抑える 


ミズミ「時間無いしいくで〜!」ミズミが腕を振ると水滴が飛んで来る 


ウォルデ「水?」


ミズミ「たっまや〜!」そう言った瞬間水滴が爆発するがガットアがミトアを持ち上げ皆が避ける 


ディア「こ!これは?!」


ノステア「気をつけて!ミズミは体内に有る水を飛ばして爆発させたり凍らせたりするわ!」


リサリー「水蒸気爆発…?でしょうか」


ミズミ「それわかったからってどないやねん!」また水を飛ばすミズミ 


リサリー「ハァ!」風で水を押し返すリサリー 


ミズミ「やるやん!ほなこれはどうや〜!」ミズミが高水圧を吐き出し横薙ぎに払う 


ウォルデ「危ねえ!」


ガットア「なっ?!」皆が間一髪避ける


ゾッネア「今は〜?猛毒散布」生成した猛毒を解き放とうとする 


ノステア「やらせない!」ゾッネアを攻撃し吹き飛ばし皆から遠ざける


ディア「ノステア!」


ウォルデ「このチビ一対五でも勝てる気しねえ…!」


ミズミ「やんな〜ウチも負ける気せえへんわ!もういっちょ!」さっきと同じ形で高水圧を吐き出し横薙ぎに飛ばす 


ウォルデ「おんなじ事を…なっ?!」避けた瞬間に懐に入って来るミズミ 


ミズミ「おらぁ!」


ウォルデ「グァッ!」ウォルデを蹴り飛ばすミズミ


ディア「海獣の魔人は力が強い!私が!」殴打するディア


ミズミ「へぇ〜黒毛の魔人か…」腕に氷を纏い防ぐ 


ミズミ「ごめんやけど遊んどる暇無いし」そう言うと皆の目の前に五十cm程の水球を吐き出す 


ディア「マ!マズイ!」


リサリー「ま!間に合わない!」直後、水球が大爆発し辺りが吹き飛ぶ


 ミズミ「ふぅ〜終わった終わったー」幾層もの氷を全面に纏い防いでいたミズミ 


ミズミ「やるやん…」水蒸気が晴れてくるとガットアが岩を纏い防いでいた


ガットア「ゴフッ…」血反吐を吐くガットア 


ディア「おい!ガットア!」


リサリー「ガットアさん!」


ミトア「はわわわ…!」


ガットア「お、俺が一番…頑丈…グフッ…!」膝をつくガットア


ウォルデ「う…嘘だろ…」


ミズミ「よお考えたら眼鏡殺してしもたらアカンやん…忘れとった」


ミトア「わ!私が目的なんですか?!」


ミズミ「そやで、よけ増やせるんやろ?」


ウォルデ(バレてる…!)


ディア(薬の一件か…)


リサリー「ダメですよミトアさん!」


ミトア「ついて行きましょう…そのかわり危害を加えないでください、私は大丈夫です、アグニさんとボロさん居るので」


ディア「ダメだ!ミトア!能力を奪う様な物や模倣する能力が有った場合すぐに殺される!」


ミズミ「別に他、殺して無理くり連れてくしええよ」体から小川が出来る程の大量の水を流すミズミ


ミトア「危害を加えるのは無しで」解体用の包丁を喉元に当てるミトア 


ミズミ「あー…そういう奴な…」


ミトア「皆さんをここから逃して下さい…」


ミズミ「ついでに今後邪魔んなりそうな奴潰しとこかな〜…思たんやけど、まぁええわ」


ミトア「皆さんを遠ざけてからです」喉元に包丁を突立言う


ミズミ「邪魔やし、はよ行ったら?」


ミトア「早く行って下さい!」


ウォルデ「くそぉ…!」地面に拳を打ちつけるウォルデ


ノステア「行かせない!」


ミズミ「イッタ!」満身創痍のノステアがミズミを殴打するが氷で咄嗟に防がれる 


ミズミ「ゾッネアやられとるやん!」


ノステア「毒の耐性が有る私とじゃ相性悪かったみたいね…ハァ…ハァ…」


ミズミ「う〜ん…流石に逃したりしたらアレやし、全部吹き飛ばそ!…いっくで〜!」体から大量の水を放出するミズミ 


ミズミ「おっしゃぁー!」大量の水を流し辺りを吹き飛ばす


ノステア「危ない!」ノステアが羽を大きく広げて全員を庇う


ミズミ「ふぃ〜手加減したし眼鏡ちゃん死んでへんやんな〜」辺りが吹き飛び七人が転がっている


ミズミ「いーきてる…?まあええわ」自分よりも大きいミトアをヒョイっと担ぐミズミ


ミズミ「ゾッネアどこいってん、毒出しっぱなしやったら連れてかれへんな…」ゾッネアが行ったらしき方向へ移動していくミズミ


そこから数時間が経ち各々が竜車で通りかかった村人に街の病院へ搬送される


ノステア「うん?ここは…?」


ウォルデ「起きたか…?」暗い顔のウォルデ、広い病室にガットアが寝たままで六人が居る


ノステア「ミトアは…?」


ディア「アタイらが起きた時は病室に居た、通りかかって運んだ者はこれで全員だって…」


ノステア「ちゃんと確認したの?!」怒鳴るノステア


スレイ「何回も何回も聞いたよ…」


リサリー「大きな組織は…能力を奪ってすぐ処分する所もあると聞きます…ミトア…さんはもう…」泣き出すリサリー 


スレイ「そ!そんな事…」


ウォルデ「ノステアなんか知らねえか?」ノステア「私達は地域毎に仕事を任される全容は知らないわ、十盾も知ってるのは四人だけだし…こんな事になるなら無理矢理、止めておけば良かった…」塞ぎ込むノステア


ディア「私が非力なばかりに…」無力さを嘆くディア 


スレイ「で、でも…今頃アグニやボロが異変に気付いて助け出してるんじゃ…」希望的観測をするスレイ


ウォルデ「そ!そうだよな!」


アグニ「おい飯だ!」怒ったアグニが帰ってくる 


アグニ「俺の愛剣どこいったんだよ!おい飯!…あれあいつは?」


ノステア「なんで肝心な時に居ないのよ!」アグニに枕を投げつけるノステア 


アグニ「あんだテメェこのやろ!」


ボロ「うーむ…やはりか…」


アグニ「おい!ボロあいつ居ねえぞ!」


ボロ「儂も探せんからお主らを探したのだが…何かあったようだな、何があった?」


ウォルデ「アグニ達が飛んでった後なんだけど…」ミトアが攫われた事の顛末を話すウォルデ 


アグニ「あぁ…?面白え」


ウォルデ「うわっ?!」


ディア「な!なんだ?!」


スレイ「凄い魔力だ…!」


リサリー「押し潰されそう…!」


アグニ「ボロ探せるか…?」


ボロ「魔力を少々使うが…うむ…居ったぞ」


アグニ「…」アグニが無言になった後、消えた様な速度で飛んで行く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地球と異惑星が混ざった星の旅の飯はウマい @you_Hey

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ