第28話焼く

ミトア「なんでそんなの捕まえて来るんですか〜…」嫌そうに見るミトア

五人が無言で獲って来た魔物を見ている 

アグニ「この前食ったらウマかった!」

ボロ「やはり儂らは美味な物を食したい」二人が二十四m級のカナダリアを地面に置く ミトア「捌き方もよく分かんないのに…」

アグニ「早くしろ」

ボロ「文句を言うな」


ミトア「ホントに…このお二人は…あれ?!皆さん大丈夫ですか?!」そこに横たわっている物をただ見ている五人 

スレイ「カナダリアだ…」

ウォルデ「こんなとこに居ないよな…」

リサリー「資料でチラッと見た事はありますけど…」


ミトア「良かったら一緒にいかがですか?」

五人に尋ねる 

アグニ「何言ってんだ、ふざけんな!」

ボロ「何言っておる、儂らの飯が減るであろう!」

ミトア「でも私一人じゃ日が暮れちゃいますし、手伝ってもらう代わりに一緒に食事にすればいいじゃないですか」

ボロ「うむー…日が暮れるのは困る…」

ミトア「いかがですかね?」

ディア「そういう事なら是非協力させてもらう!」

スレイ「僕も後学の為、遠慮なく!」

ガットア「手伝おう…!」

リサリー「私も手伝いますー!」

ウォルデ「お!おい!待ってくれー!」

アグニ「…」ボロ「…」解体に加わる、五人を見てしばらく静止するアグニとボロ 


アグニ「もっと獲ってくる」

ボロ「足りんな…」飛んで行く二人 

ミトア「え?!ウソー?!ちょっと〜?!」

ディア「いいじゃないか良い経験になる」

スレイ「早めに取り掛かろう!」

三十分程六人で奮闘する 

ミトア「もうちょっとですね!」

ディア「だいぶ進んだな!」

リサリー「これは歴史的な記録に残りますよ!」


アグニ「おい!見ろ!」見覚えのある、まったくわからない生物を担いでくる

ミトア「え…うそん」

ウォルデ「なんだあの変な魚は…」

ガットア「珍妙な生き物だ」

リサリー「見た事無いです…!」

スレイ「それ以前に大きすぎじゃない…?」以前捕まえた六十mの謎の生物をまた捕まえて来る 

ミトア「そんなの捌けませんよ〜!」


カナダリアの肉摘出後に、三時間掛けて肉だけ取り出す 

アグニ「早くしろ!こいつはウンマイぞー!」

リサリー「何ですかこの生物…」

ディア「こっから素材の解体がまったく進まない…」


ミトア「前もそんな感じだったので、放っておいて大丈夫ですよ、そのうち逃げてくので」

ウォルデ「この死んでる状態で、バタバタ跳ねて逃げったら気持ちワリィよ」

ガットア「生命活動が停止している」


ミトア 「さ、調理しましょう」

スレイ「カナダリアの方もまだ解体終わってないよ」

ミトア「大丈夫ですよ、その生き物が起きて食べるので」

ウォルデ「ミトアお前さっきからなに言ってんだ?頭大丈夫か?」

ミトアが調理を始めるのでそれに釣られて皆で調理する


ミトア「わ〜い!出来ました〜!美味しそ〜!」

アグニ「ウマー!」

ボロ「ミトアの料理と他の味の料理も有る、これはこれで良い!」

ミトア「なにこれ美味し〜!この前アグボロ二人だけでこんなの食べてたんですか!なんて卑怯な!…あれ?皆さんも食べないんですか?」


ディア「あ、ああ、いただくよ…」

ウォルデ「…食っちまうか」

スレイ「そうだね」五人が口に運ぶ

リサリー「凄いですね!柔らかくてとても美味しいです!」

ウォルデ「カナダリアもヤバいけどあの変な奴ヤバ!肉ちょっと光ってるし!」

ガットア「…」口を押さえて涙を流す

ディア「ガットア…美味しいのはわかるけど無言で泣くのはやめとけ…」

スレイ「こ、こんなに…部位によって多種多様な味わいがあるなんて!」

ミトア「ホントですよね!部位毎に弾力があり旨味が溢れたり、しっとり淡白だったり堪りませ…?あ、起きましたね」ミトアの言葉で、皆が謎の生物の方に視線をやると少し浮いている 


アグニ「次は逃がさねぇ!」

ボロ「…」ボロが謎の生物を観察する 

ミトア「アグニさんダメですよ!」謎の生物の前に立ち、アグニを制止する

アグニ「おい邪魔を…!あー!」

ボロ「やはり、また逃げおったな」謎の生物が突如消える、当然カナダリアの素材も消えている


ミトア「必要以上に獲り過ぎるのは良くないです!」

アグニ「テンメー!毎回毎回邪魔しやがって!」

ミトア「アグニさん早く食べないと料理冷めちゃいますよ、温かいうちが一番美味しいのに」

アグニ「ぐぬ〜…!」

アグニ「後で覚えてろよ!」食事に戻るアグニとミトア

ディア「ずいぶん命知らずな事を…」

リサリー「怖くないんですか?」

ミトア「世間が言う程、悪かったり酷い人じゃないですよ…多分」

スレイ「最初出会った時も割と普通だったもんね」

ディア「そういえば確かにそうだな」食事を終える一同、日も暮れてきたので、それぞれで天幕を張る 


アグニ「もおさっきの奴居ねえのか?」

ボロ「居らんな…儂から隠れる術を持っておるか、はたまた星の外へ逃げておるかだな」

アグニ「あのやろー…」

ミトア「私思ったんですがあの生物、お二人のカナダリア目当てでお二人の前にわざと現れているのでは?」

ボロ「うーむ…それはあり得るな、だとしたら何処かから見ておるのか?」

アグニ「はぁ?!出て来いこの野郎!」

ミトア「お二人を付け狙うなんて面白い生き物ですね〜」それから二日かけ経由地点のモグの村に着く 


スレイ「やっとここまで着いたね!」

ウォルデ「前半色々あり過ぎて疲れたぜ」

ディア「出発は明日か?」

スレイ「そうだね特にやる事、無ければ」

ミトア「私ギルド行きたいです」

リサリー「私は記録した資料をまとめたいですね」

ガットア「俺は武具屋」

ディア「私も武具の修理をしたい」

ウォルデ「俺は何しよっかなー」

スレイ「僕も道中狩った素材の換金にギルドへ行くよ」

ディア「ウォルデ暇なら素材渡しておくから換金行って来い」

ヴォルデ「えー…後でガットア行ってきてくれよ」嫌そうな顔をするウォルデ

ガットア「行って来い」

アグニ・ボロ「飯」

ミトア「はいはい」

ガットア「それなら良い店ある」

ミトア「わーい、やったー!」

ウォルデ「一抜けかよ!」

ガットア「フッお先…」ガットアに案内され店に行く 


アグニ「ウマそーな匂い!」

ボロ「食欲を刺激する匂いだ!」

ガットア「ここは丁寧に下処理した、脂の乗った肉を、店特製のタレに長時間漬け込み、かける香辛料も店独自の配合だ、手間暇かけた物はうまい…」

一同「ゴクッ…」


女性店員「はあーいお待たせしましたー、まだまだ肉の盛り合わせ追加で持って来ますねー」

ディア「さぁ焼こうか!」

リサリー「そうですね!」

アグニ「なんでこいつらいんだよ!」

ミトア「いいじゃないですか皆で食べれば」

ウォルデ「どんどん焼こうぜ!」

ガットア「いや…!肉は慎重に一枚ずつ焼く物だ」

ボロ「日が暮れるではないか!」

アグニ「どんどん焼け!」

ミトア「あ〜!アグニさんそんな一気に!」

ウォルデ「火力もっと上げようぜ!」

ボロ「名案だ!」

ガットア「肉は大事に育てる物…!」

リサリー「きゃー!火で髪がー!」

ディア「あ!腕の毛が燃えた!ウォルデ!」

スレイ「…なんて騒がしいんだ…」


食事を取り終え店から出てくる

アグニ「いやーなかなかウマかった」

ボロ「手間暇の奥深さを体感した」

ディア「じゃあ私ら二人は武具屋行ってくるよ」

リサリー「私は資料をまとめたいので」それぞれが別れる

ミトア「ではギルドへ行きましょう!」

ウォルデ「あーあ〜…姉ちゃんいる所で酒でも飲みたかったな」

ボロ「どこにでも雌は居るだろう」

ミトア「雌とかそういうのでは無いと思いますよ」

四人で解体買取場へ向かう

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