第27話キレる魔人
アンバラネス「ゴォーーー!」今まで以上の咆哮を上げ、体中から火が噴き出す
ヴォルデ「くそっ…!」
スレイ「このままじゃ!」
アンバラネス「ゴァーッ…ッ!」アンバラネスの上体が光の暴流により突如消え去る
アグニ「…うるせぇ…」竜車から顔だけ出したアグニがその一言を言い残しまた寝入る
ミトア「た、助かった…」
ウォルデ「…え?」
リサリー「そんな…」
スレイ「有り得ない…」混乱しているが、ひとまず負傷者を抱えて竜車に乗せ介抱し再び竜車を走らせる
ウォルデ「あいつは何者だ?」ミトアに聞くヴォルデ
ミトア「さ、さあ私もよく分からない…です」目が泳ぎながら言う
ヴォルデ「そうか…」
ミトア「ッ!この人はかつて人に討たれた暴食の魔人アグニさんです!」
アグニ「討たれて!」
ミトア「自分勝手な人ですが、言い伝えの様に、見境い無く生き物を殺す様な人ではありません!」
ディア「アッハッハッハ冗談はやめてくれよ!」
ヴォルデ「アンバラネスをやった実力は認めるけどこいつがそんな凄え奴な訳ねえだろ!」嘲笑するヴォルデ
アグニ「あ?てめぇ殺されてぇのか?」
ヴォルデ「じゃあ証明してみろよ」
アグニ「じゃあ、お前を試しにバラバラにしてやるよ」一色触発の空気にピリつく
ミトア「ダ、ダメですよアグニさん!それ以外の方法でないと!バラバラになった後じゃアグニさんがアグニさんなのか分かりませんよ!」
ウォルデ「…おいバラバラはいいのかよ」呆れて指摘する
アグニ「雑魚いままはムカつくな、面倒臭え見せてやるよ」竜車が止まり全員が外へ出る
スレイ「どうしたの?」
リサリー「赤い魔人の彼が暴食の魔人アグニだと、それを今から証明するそうなんですが…」
スレイ「彼が…」
ディア「そんなのあり得ない」
ガットア「二千年前の話だ」
スレイ「…どうだろうね」
リサリー「スレイは信じるのですか?」
スレイ「以前見たエルフの古い文献と合致する部分も多い…そりゃ半信半疑だけどね」
ウォルデ「証明するんだろ!やってくれよ!」
アグニ「俺がアグニだと見せつけた後、バラバラにしてやるよ…」
アグニ「ガァーー!」アグニの口内が光出し、山に向けて大口を開くと光の暴流が飛び出し、通り過ぎようとしていた一万m級の山を消し去る
ミトア「ドョワ〜〜!」
ウォルデ「マ…ジ…かよ」へたりこむウォルデ
ミトア「し、死ぬかと思った…」
アグニ「次はお前の番だな…」いつも以上に眉間に皺を寄せたアグニがウォルデに近づく
ディア「アタイ達が悪かった!この通り許してくれ!」
ガットア「すまない!」
ウォルデ「ホントに…本物かよ…」
ミトア「アグニさんダメです〜!」アグニを抑えるミトアだが歩みが止まらないアグニ
ミトア「ボ、ボロさん助けて下さい〜!」
ボロ「うーむ…アグニよ待つのだ」
アグニ「いや、こいつは俺を馬鹿にしたコロス」
ボロ「その分償いをさせれば良かろう」
アグニ「?」アグニの歩みが止まる
ミトア「償い?」
ディア「なんでもしよう!こいつは助けてくれ!」
ガットア「頼む…!」
スレイ「僕からも頼む!」頭を下げて頼むスレイ
アグニ「何さすんだよ」
ボロ「お主ら、この辺りに詳しいのであろう?」
ディア「え?ああ…そうだな」
ボロ「美味な物を一人一つ紹介するのであれば許そう」
アグニ「許そうってお前じゃねえだろ!」
ディア「それで構わないなら、いくらでも案内する!」
ボロ「どうだアグニ」
アグニ「うーん…ウマいモノか〜…う〜ん…!じゃあ許す」しばらく考え込んで答えるアグニ
ミトア「流石ボロさん…助かった〜…」ひとまず和解し竜車に乗り再び移動する、いつも以上に眉間に皺を寄せているアグニ
ウォルデ「俺が悪かった…」ボソッと謝る
ミトア「いいんですよ!全然!」
アグニ「あんでお前が答えんだ!」
ディア「しかし実在したとはね…」
ガットア「今でも信じられない…」
リサリー「討たれたという伝承は嘘なんでしょうか…」
アグニ「俺がやられる訳ねえだろ!」
ミトア「あ〜はいはいはい!そうですよね〜お強いですもんね〜」子供を落ち着ける様に言う
アグニ「お前バカにしてんのか?」
リサリー「代々エルフに伝わる文献に封印されたとあったんですが…」古い資料を取り出すリサリー
ボロ「エルフの資料か興味深い見せてくれ」ボロが竜車荷台、一番前に居るリサリーに伸びていく
リサリー「ヒィッ!な、なんですかこれ!」
ガットア「さっきから聞こえる声と一緒だ」
ディア「私もずっと気になってたんだけど、なんなんだ、この枝」
ボロ「枝では無い!」
ミトア「この方は枝ではなくボロさんっていうアグニさんにくっついてる方でして…」
ミトア「あれ?皆さん分かってて、さっきの償いの代わりに美味しい物を食わせろーって話聞いてたんじゃ?」
一同「…」
ディア「いや正直その…アグニが…一人芝居してるもんだと…」
ミトア「プフ〜!それ凄く面白いですね!」
アグニ「お前ら全員コロス…!」
ミトア「あ〜!すみませんでした!落ち着いて下さい!」
ボロ「アグニよそういう事は儂が資料を見てからにせよ」
ミトア「ダメですよ!」
リサリー「じゃあこの枝…?」
ボロ「枝では無いと言っとるだろう!」
ミトア「えーっとこの方はなんていうか…うーん…星食いです」
ウォルデ「いや!嘘つけよ!こんな枝の切れ端が!」爆笑するヴォルデ
ミトア「あ…」
ボロ「お主まだ懲りとらんのか?」ボロがヴォルデにゆっくり近づき自分から小さな手を一本伸ばし二cm程の光の玉を作る
ウォルデ「そんなもんで何しようってんだ?」それを聞いたボロが荷台の後方へ光の玉を飛ばす、光の玉がかなり遠い地面に着弾した瞬間に、景色が光に染まり竜車を風圧で揺らし、一帯が失くなる
ボロ「これはこういう事をする為の物だ、欲しいか?」ヴォルデの前に二cmほどの光の玉を作り出し問う
ウォルデ「…!」無言で首を横に振る
ボロ「次、失言をすれば貴様を塵にする」
ウォルデ「…!」激しく首を縦に振る
ボロ「エルフの娘よ、それを見せろ」
リサリー「は、はい!」ボロに資料を急いで渡す
ディア「ミトアもこういう事が出来るのか?」
ミトア「いえ!私は普通の人間です!普通のノンヒューマンです!」
リサリー「何故一緒に?」
ミトア「無理矢理、働かされてるんですよ…」
ガットア「気の毒に…」
しばらく森の道が続く
アグニ「腹減った飯獲ってくる」そう言って突如飛んで行くアグニ
ディア「大丈夫なのか?」
スレイ「アグニ飛んでったけどなんかあったの?」運転しているスレイが荷台と運転席を隔てている布を分け顔を出す
リサリー「お腹が空いただそうです」
ミトア「あ、ご飯取りに行っただけなので大丈夫ですよ気にしないで下さい」
ウォルデ「見つけられるのか?」
ミトア「ご自身で探すでしょう」
ガットア「怪物相手に肝の据わっている」
三十程経過
ミトア「遅いですね」
ウォルデ「結局心配なのかよ」
ディア「こっちは移動してるんだから場所が分からないんじゃないか?」
するとボロが伸びて竜車の中に入ってくる
ボロ「すぐ飯にせよ」そう告げ、戻っていく
ウォルデ「…戻って来た…飛ぶし、場所わかるし、山消すし、なんでもありかよ…」一人呟くウォルデ
ディア「時間的にも一旦休憩しようか」
リサリー「そうですね」竜車を止めて五人が降りる
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