第26話出会いからの窮地
アグニに掴まれ崖の一番上に到達する
アグニ「よし、着いたぞこっちのが早え」
ボロ「どっちへ行くんだ?」ボロがミトアに尋ねる
ミトア「わ、私の短い幸せがさらに短く…」
アグニ「もっかい飛ぶか」
ミトア「あー!結構です!」すぐに跳び退くミトア
ミトア「ハァ…ここからは車に乗って移動しようかと思います…」
ボロ「また何かに乗るのか」
ミトア「絶対飛びませんよ…こっちです」
竜車を出している停留所まで向かう
停留所の男性「だから出せねえんだって!」
剣を携える男「そこなんとか出してくれよ!帰るんだよ!」
停留所の男性「化け物が出て、竜車出してる場合じゃねんだよ!」
剣を携える男「俺らでなんとかするからよ!」
停留所の男性「あんたらに命預けられねぇよ、悪いけど他当たってくれ」三人の武装した者達と竜車を出しているらしき者が言い争っている
ミトア「あの〜…竜車って出ないんですか?」横から言い争っている四人に向かって尋ねてみる
剣を携えた男「出ねんだってよ」腰に長剣を刺した男が言う
獣毛の女性「あんたも乗るのかい?」武器を持たず、複数の短い牙を生やし黒の体毛で覆われた灰色の髪の牙獣の魔人の女が聞く
ミトア「え、ええ私達も北を目指す予定で」
剣を携えた男「俺達もなんだけど近くの竜車の走行地域にヤバいのが出たらしくて出ねんだとよ」
停留所の男性「まあ、そういう事だ、あんたらにゃ悪いが、国なりが討伐してくれるまで出せないね」そう吐き捨てると去っていく停留所の男性
剣を携えた男「あ!おい!」
獣毛の女性「アタイらも帰りたいんだけど竜車自体は持ってなくてね、立ち往生だよ」
両手剣の男「もう少し滞在か」二mは下らない身長に、肩幅も胴も大きい大柄な剃髪の男が冷静に言う
弓を携えた男エルフ「その話聞かせてもらえませんか」耳が若干尖った、背が割と低く百五十cm程の見た目若い男のエルフと同じ様な背丈の女エルフが近づいて来る
剣を携えた男「エルフか?この辺りじゃ珍しいな」
弓を携えたエルフ「僕らはドスカに仲間を送り、ここで別れて帰ろうとしていたんですが強力な魔物が出たという事で引き返して来たんですよ」
獣毛の女性「そうは言っても竜車が無いからなんともね」
女エルフ「私達が持っているので良かったら皆で協力するのはいかがでしょうか」
剣を携えた男「持ってんのか!なら話は早いな!」
弓を携えた男エルフ「良かったら貴方もお連れの方と一緒にいかがですか?」エルフがミトアに尋ねる
ミトア「え?いいんですか…?けど私は戦えないですよ…」
弓を携えた男エルフ「構いませんよ、これも何かの縁です」
ミトア(うーん…ご好意はありがたいけど、急ぐ旅じゃないし、それにアグボロさん辺りがなんかやらかしたらな〜…やっぱりここは断ろう)
ボロ「是非、乗せてもらおうか」
ミトア「え?!」
弓を携えた男エルフ「そうですか、わかりました、では僕らは竜車を用意して来ますので北門でお待ち下さい」
剣を携えた男「あんた良かったな!」
獣毛の女性「よろしくね」
両手剣の男「日頃の行いが良いのだろう」北門へ歩いて行く武器を携えた三人
ミトア「どういう事ですか!ボロさん!」
アグニ「飛んだ方が早いのにな」
ミトア「いやそういう事ではないですが!」
ボロ「人の文明を学んだ方が良いと言ったのはミトアお主だろう」
ミトア「うっ!」
ミトア(まさか、ここで自分に返って来るとは…)
アグニ「そういう事な」
ボロ「では行こう」そそくさと歩き出す二人
ミトア「あ!ちょっ!」急いで追いかけるミトア
ミトア(ハァ…なんでこんな…)七人で竜車の広めの荷台に乗っていた
ウォルデ「俺の名前はウォルデよろしくな」突然自己紹介を始める長剣を腰に刺した男
ディア「アタイの名前はディア、見ての通り牙獣の魔人だよ」黒毛の牙獣の魔人が自己紹介する
ガットア「俺はガットア」寡黙に短く自己紹介する大柄の両手剣の男
リサリー「私の名前はリサリーです、運転しているのがスレイと言います」若い女性エルフが運転している男エルフ含めて自己紹介する
ヴォルデ「次あんたじゃねえか?」ミトアが自分の番を忘れて聞き入っているのを指摘する
ミトア「あああ、えーっと私はミ、ミトアでとぅ」咄嗟に指摘され噛む
ディア「よろしくミミトア」
ミトア「あ、あのミトアです…」
ディア「すまないミトア」
ミトア「でこっちがアグニさんです」暇そうにしているアグニを紹介する
リサリー「アグニ…?確か昔討た」
ミトア「あ〜!皆さんは何故ドスカの街に?!」リサリーの言葉がアグニに聞こえない様、かき消すミトア
ウォルデ「俺らは普段、この先の街で活動してんだけど依頼でドスカ近辺の魔物討伐だよ、魔物狩って生計立ててるもんでな!」
リサリー「私達は先程スレイが話した通り仲間が一団を抜けて故郷であるパラズへ帰る為に、ここまで送り届けたものでして」
ミトア「そうなんですね…あ!私はそれこそ最近パラズから来て北へ向かう所です!」
ウォルデ「じゃあロデック見たか?!」興奮気味に言うウォルデ
ミトア「ロデック?」
ディア「最近、船を襲おうとしたデカイ海竜を倒して、名を上げたロデックだよ」
ミトア「船を?」
ディア「なーんだ知らないのかい?少し前にドスカへ来ようとした船が、船の何倍もある海竜に襲われたらしいんだよ」
ウォルデ「けどそれをロデックって奴が船に傷一つ付けずにやっちまったらしい!すげーよなぁ、そこから蒼光なんて呼ばれて有名人だぜ!」
ミトア(あれかー!他人がやった事になってるんだ…!…それはそれでいいかもしれない…)
ディア「ところであんたの相棒、何の魔人なんだ?見た事無いね」暇すぎて寝ているアグニを見て言う
ミトア「さ、さ〜知らないですね〜」とぼける
リサリー「アグニって昔討たれた魔人の名前ですよね?」
ミトア「イヤ〜あまり詳しくないものでして…」
ウォルデ「子孫だったりしてな!」
ミトア(本人ですけどね)
リサリー「その時共に討たれて封印されたのが星食いですよね」
ボロ「誰があんな脆弱な生き物に討たれるか!」
一同「え?」
ミトア「い、いや〜!書いてあったんですよね!本に台詞で誰があんな脆弱な生き物に討たれるか!興味深いですね〜!あははは」騒ぎ誤魔化し四人から妙な物を見る目で見られる
ミトア(ホントもう勘弁してくださいよ〜)泣きそうになるミトア
ディア「その魔人と星食いも、もし居ればずいぶん迷惑な存在だっただろう」
ガットア「国が幾つか滅んだそうだ」
ミトア「そんなに酷い人なんですかね〜…」
ミトア(ホントはそうなでもないのに…でも半分合ってるか…?)
リサリー「人々を滅ぼす害悪ですよ」
ヴォルデ「俺らの時代に居なくて良かったぜ、退治した昔の人達に感謝だな」
ボロ「儂は」
ミトア「そ!そんな事分からないんじゃないでしょうか!」突如大きい声を出すミトア
ボロ「…」ミトア一人が周囲から浮く
そこからしばらく、時折出没する魔物を薙ぎ倒し北へ向かう
スレイ「リサリー!魔物が近くにいる!」
リサリー「皆さん!魔物です!」
ディア「みたいだね!」五人で寝ているアグニを残し外へ出る
リサリー「スレイ!どっちの方角ですか?」
スレイ「東から来る!」
アンバラネス「ゴッゴッゴッゴォォーー!」木を吹き飛ばしながら、爪の生えた翼四枚の翼の関節部を地面に突き、翼と後脚で体重支え、菖蒲色で光沢のある鱗を持った竜が走って現れる
ヴォルデ「言ってた魔物ってコイツかよ!」
ガットア「かなり強敵…!」
リサリー「皆さん引きましょう!相手が悪い!」
ガットア「フンッ!」ガットアが体に岩を纏い突撃する
ディア「手伝うよ!」そう言い手甲同士をガチンとぶつけるとアンバラネスへ走り出す
ウォルデ「はっ!おら!」剣を振るうと青い斬撃がアンバラネス向かって飛んでいき顔に着弾し怯む ガットア「オウッ!」ディア「ハアァアッ!」腹部を向って二人が一撃を喰らわせる
アンバラネス「ゴァッ!」腹部を強打され怯むが、四枚の翼の爪で懐の二人を切り裂く
ウォルデ「だ!大丈夫か!」
スレイ「僕らが援護します!二人の救出を!」スレイが弓を引いて矢を放ちリサリーがその矢を風で強く回転させ威力を高める
アンバラネス「ゴッ…!」矢が深く刺さりアンバラネスが怯む、ディアと重いガットアを担いでウォルデが救出する
アンバラネスが矢の攻撃により先程以上に怒り咆哮を地面に響かせる
ウォルデ「流石にヤバいぞ!」
ミトア(ヤヤヤヤバイ早くアグボロさんに助け求めないと…!)怖さで足が震えて上手く立てず声も出ない
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