第25話次の街へ
ボロ「そう言えば良い街探しはどうした?」
ミトア「進行中です、ただドスカの街は豪雨が降り外に出られなくなるので、この街は厳しいですね」
ボロ「ふむ、そうか」
ミトア「どうしたんですか?」
ボロ「いや、特に何も無いが」
ミトア「そうですか、ではギルドで素材換金した後、次の街を目指しましょう!」
アグニ「次のウマい物はなんだろうな」
ボロ「次を考え食い物を巡るのも悪くない」三人で水上に浮かぶギルドへ向かう
ミトア「おお〜、よくこんな物が浮きますね〜」横幅五十mある様な建物が浮いている
ミトア「おそらく買取や作業場は隣のあの建物ですね」隣のさらに大きい横幅百mは下らない建物へ移動し、中へ入ると二十人以上の者達が作業している
海獣の魔人「おお!解体依頼かい?!」作業場男性職員らしき、鋭利な歯と水掻きを生やし、頭髪や表皮が全体的に水色で、うなじ部分や肩、背中が極細の短い体毛に覆われた海の魔人が声をかけてくる
ミトア「あ、はい!あ、いや買取だけです」
海獣の魔人「おお、ちょっと待ってな」
ボロ「あまり見た事が無い魔人だな」
ミトア「海に居られる様な方達ですからね」
海獣の魔人「おーう、お待たせ」
ミトア「アグニさん、それをこの方に」素材を渡す様に頼む
アグニ「ほらよ」アグニが背負っている、蛇の皮を巻いた物を海獣の魔人に片手で放り投げる
ミトア「あぁ!」
海獣の魔人「うおっ!…ぐ…くぬっ!」抱えてなんとか耐えて床に置く
ミトア「大丈夫ですか?!なんて事するんですか!」アグニに怒るミトア
海獣の魔人「ふぅーこんな形で試されるとはな…!」アグニを見る海獣の魔人
ミトア(いや試した訳では無いと思うんですが…)
ミトア「申し訳ないです」
海獣の魔人「いやいや、構わねえよむしろたまにこういう事がある方が気が引き締まる、ギルドカードはあるか?」
ミトア「あ、はい」
ギルドギルドカードを渡す
海獣の魔人「ほら返すよ、ここいらに居ねえやつだな、査定に時間がかかる一時間程くれ」
ミトア「分かりました」了解して作業場を出る
ミトア「途中あった本屋寄ってもいいですか?」
アグニ「何すんだよ」
ボロ「儂も興味がある」
ミトア「え?ボロさん文字読めるんですか?」ボロの発言に困惑する
ボロ「当たり前だろう」
ミトア「そ、そうなんですね…アグニさんは…?」
アグニ「読めるだろ、当たり前だろ」
ミトア(意外ー!ボロさんはともかくアグニさんも?!魔人の方は普通読めるけどアグニさんは有無を言わさずとりあえず食べるみたいな所あるのに…お箸も使えるし教養という物があるのだろうか…?)本屋へ三人で向かい、店に入る
ミトア「ボロさんは何か読みたい物が?」
ボロ「儂らが居らなんだ二千年の歴史をな」
ミトア「なるほど、じゃあ、あちらの棚ですね」
ボロ「そうか」二人が歴史の本や年表などがある棚へ行く
ミトア(私はお料理と生物の本、それぞれの地域の情報ですかね〜…へぇ、この生物図鑑面白い…)思い思いに本を読み一時間
ミトア「ボロさんなんか欲しい本なんかありました?」退屈そうにしていたアグニと上腕から生えた枝が本を読むという珍妙な二人に声をかける
ボロ「ん?もうそんな時間か?」
ミトア「そろそろ一時間です、何か欲しい本なんかありました?」
ボロ「いや…いらんが…」
ミトア「どうかしたんですか?」
ボロ「いや、なんでもない」
ミトア「そうですか私は欲しい本あったので…では行きましょうか」
ボロ「そうだな」
アグニ「やっとかよ、棒になるかと思ったぜ」三人で作業場へ向かう
海獣の魔人「おお!来たか!丁度終わったとこだ」作業していた魔人が三人に気付く
海獣の魔人「ほら、この紙持ってギルドの本館側の受付行ってきな」
ミトア「はい、分かりました、ありがとうございます!」
海獣の魔人「おう!」
ミトア「周囲が崖に囲まれてるから依頼とかあんまりないかと思ったら結構盛んなんですね…」ギルド本館へ入ると、ギルドの中には多くの依頼を受けている者や職員がいる、その中受付の列に並ぶ三人
アグニ「何待ってんだ?」
ミトア「受付する為に順番を待ってるんです、すぐ来ますよ」
受付嬢「次の方こちらどうぞー」
ミトア「ほら回ってきましたよ」受付嬢の前へ
ミトア「素材買取をお願いした者です」紙を渡すミトア
受付嬢「素材の買取ですね、少々お待ちください」受付嬢が何かの紙と袋に入った金を用意する
受付嬢「こちらが代金と内訳の紙です、確認していただけますか?」
ミトア「あ、はい…」代金の内訳と用意された金額を確認する
ミトア「あ、はい大丈夫です」
受付嬢「他には特にございませんか?」
ミトア「あ!はい、大丈夫です、ありがとうございます」受付嬢に会釈しそのまま立ち去る
ミトア「では次の街を目指しましょう!」
ボロ「毎回時間のかかる」
アグニ「やっとかよ」
ミトア「いいじゃないですか、ちょっとくらい待ってくれたって」三人で北の巨大な滝が流れている場所へ歩いて向かう
ミトア「近い様に見えて結構遠いですね…」巨大な滝へ向かってだいぶ歩くが、全然近づかず、滝に近づいている様な気がしない
男性「おーい!姉ちゃん滝に行くのか?」男性が声をかけてくる
ミトア「え…あ、はい…そうです」
男性「良かったらうちの騎竜に乗ってかねえか?」
ミトア「騎竜…ですか?」
男性「こっちきな」男性が入っていった店の中、そしてその奥へついていくと、倉庫の様な大きな建物の中に細身で前脚が短く、後脚と尻尾の長い、騎竜が飛び跳ねたり走り回っている
男性「うちのは勝手に帰って来るから楽チンだよ」
ミトア「いいですね!乗ってみたいです!」
男性「あいよ!二匹でいいかい?」
ミトア「お二人は乗ります?飛びます?」
ボロ「飛ぶのも魔力を使う乗るとしよう」
アグニ「いらねえだろ」
ミトア「二匹でお願いします」
男性「合わせて千六百Gだけどいいかい?」
ミトア「あ、はい」代金を渡す
男性「おーし鞍付けっからちょっと待ってな」
男性が騎竜に鞍をつけ操縦方法を簡単に教わり、ミトアとアグニが乗る
ミトア「わわっ!結構高いですね!側から見てるとそうでも無いのに…」
男性「今、扉を開ける、降りた後に渡した餌やりゃ自分で帰ってくる!」扉を引きながら言う男性
男性「よぉーしいいぞ!」
アグニ「しゃっ!行け!」アグニが騎竜を走らせる
ミトア「あ〜!待って下さいよ〜!」北へ向かって駆け出すと建物の上をピョンピョン跳ねて進む騎竜
ミトア「は!速すぎー!」
アグニ「楽だな」
ボロ「面白いものだ」数十分乗ると滝がどんどん大きくなり近づいてから
ミトア「すご〜い!なんて大きさ!」巨大な横幅六km落差、四kmの滝が切れ目なく、膨大な水を落としており、周囲の音がまともに聞き取れない
ミトア「ここまで、ありがとうございます」騎竜から降りて、餌をやり騎竜を帰す
ミトア「凄い…」砲弾が落ちた様に水が打ち付けられ、水面が水飛沫を上げる、滝壺の周りには水面から十m程出た壁が約一mの隙間を間隔的に空け滝壺を囲んでいる
ミトア(なるほど、この壁で水の波紋が街に広がらない様に…)
ボロ「なんだあれは何か浮いておる」ボロが見た先には気球がいくつも浮いている
ミトア「あれに乗って滝の上に行くんです」
アグニ「あれこそ飛んだ方が早え」
ボロ「まったくだ」
ミトア「私は遠慮します」気球を飛ばしている店に入り気球に乗る、係員が火をつけるとゆっくり上昇を始める
ミトア「動きましたよ〜!」
アグニ「おっせ!」
ボロ「上に着くのが明日になるぞ」
ミトア「ゆっくり待ってれば着きますよ」
アグニ「暇だな…遊びに行ってくる」身を乗り出すアグニ
女性係員「おおお客様危ないですよ!」
アグニ「よっと」アグニが飛び降り、どこかへ飛んで行く
女性係員「はわわわ…」
ミトア(私も出会ってすぐはあんな感じだったな〜…)しばらくして中間より上まで来る
ミトア「ふぁ〜あ…平和〜…なんて平和で幸せなんだろう、この時間がもっと永遠に続けばいいのに…」欠伸をして遠くを眺めながら呟く
アグニ「おい!お前まだこんなとこいんのか!」
ボロ「進んどらんではないか!」
ミトア「ああ…」落ち込み項垂れる
ミトア「もう帰って来たんですか…」露骨にもうちょっと遊んで来いよと言わんばかりの顔をする
アグニ「文句あんのか?」
ミトア「いえ、ございません」真顔で答える
アグニ「待ってられねえ、面倒臭い来い」アグニがミトアの服の首元を掴み、引っ張り出す
ミトア「え?!…いやっ!えっちょっ!いぎゃ〜〜!」アグニがミトアを掴み飛んで行く
女性係員「…誰も居なくなった…」一人になり唖然とする係員
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