第24話増やす限界

翌朝、外にゴォーッという音が鳴り響き、何かが屋根にドドドドッと落ちてぶつかっている 

アグニ「おい起きろ」ボロ「朝だ」ボロがミトアの顔を突っつき起こす 

ミトア「なんですか〜…」

アグニ「飯」

ミトア「朝は出られないって言ったじゃないですか〜…昼に止むらしいので待って下さい」もう一度布団に潜り込む 

アグニ「あんだこいつ」

ボロ「そう言うのであれば仕方がない、山の様な魔物を獲って来て街のド真ん中で食すとしよう」

ミトアがバッと起き上がる 

ミトア「ハァ…もう分かりましたよ〜…」ため息を吐き、涙を流しながら支度し宿一階へ下りる

受付の青年「あ!お!お客様!外へ出るおつもりですか?!」

ミトア「はい…」

受付の青年「あ、歩けないですよ!」

ミトア「お気になさらず…」肩を落とし項垂れながら外へ、ゴォーッという音と共に拳大の大粒の水玉がドドドドドッと絶え間なく降り注ぐ

ボロ「ふむ小雨か」

ミトア「な訳ないでしょう!水の砲弾ですよ!」

アグニ「普通の雨だろ」誰一人歩いておらず皆、屋内に居る

ミトア「もういいです…この通りお店はやってないので、雨圏外まで連れて行ってもらえますか…」

ボロ「任せておけ」ボロがミトアを掴む

アグニ「じゃあ行くか!」

ミトア「行くんですね…行きたくないよ〜誰か代わってくれませんかね〜…グスッ」涙を流すミトア 

アグニ「よっ」

ミトア「あっ!ぎゃ〜〜!」水玉に当たり散らしながら飛んで行く

アグニ「この辺かー?」飛んでいたアグニが適当な場所に下りる

ボロ「おい起きろ飛んでいる時によく寝られるものだ」ボロが掴んでいるミトアを揺らす

ミトア「ハッ!来世じゃない…」気が付いた落ち込むミトア

ボロ「まだ死んどらんだろう」

ミトア「そうですね…夢だったんですね…異世界に転生した先で、魔王を倒し平穏を勝ち取ったんですが…夢に戻りたいです…」

アグニ「何わけわかんねえ事言ってんだ」

ミトア「もういいです…てかここどこですか!火山が暴発してるんですけどー!」辺りそこら中に溶岩の川があり、遠い所に火山がいくつも有る、噴火し火山岩を絶えず飛ばしている 

アグニ「お!いたあいつだ!」

ミトア「無視ですか…」アグニが溶岩の中、泳ぐ何かを見つけ飛んで行き、何かが抵抗するが殴られ生き絶える 

ミトア「ご愁傷様です…」

アグニ「おっし!肉だ!」両手で持ち上げ飛んで戻ってくる 

アグニ「おらよ」ミトアの目の前に背中にヒレの様なヒダの様な物を生やした五十mのヨウリュウバショウヘビを落とす 


ミトア「アッ!アチッ!アチィ!」溶岩や火の粉が飛んでくる 

ミトア「何するんですか!」

ボロ「早よ飯にせよ」

ミトア「ハァ…分かりましたよ〜…ッ!うわ〜!」遠くから火山岩が飛んで来て地面に激突し辺りに飛び散る 

ミトア「す、すぐ離れましょう!」

アグニ「面倒臭えし、いらねえよ」

ボロ「何故移動する」

ミトア「命の危機だからです!」

アグニ「あ?」

ミトア「お願いします!料理に全力を尽くすのでどうか〜!」

アグニ「じゃあいいぞ」

ボロ「すぐに移動だ」ミトアと獲物を鷲掴みにし飛んで行く

ミトア「も、もっとゆっくり〜〜!」

アグニ「ここならいいだろ」火山地帯から移動し多少草の生えた岩石地帯へやってくる 

ミトア(私、寿命がどうのと言ってる場合じゃなくない…?)

アグニ「早くしろよ」

ボロ「待っているぞ」

ミトア「はいはい、やりますよ…」

ミトア(なんなのこの二人…)渋々調理を進めるミトア 

ミトア(よし!後はこの料理に香辛料振って終わり…いや待てよ!この料理を最大限大きくしてアグボロさんを極力お腹いっぱいにすれば、食事の頻度そしてその量も減るのでは!そして相乗効果で意外と穏やかで優しく思いやりのある人になったりして!)

アグニ「何してんだ早くやれ」

ボロ「手が休んどるぞ」

ミトア(よおし!それで行こう!きっと上手くいく!我ながらなんていい考えなんだ…!)

ミトア「グフフフ…」

アグニ「あいつ変な顔してどうしたんだ?」

ボロ「妙な物でも拾い食いしたのだろう」

アグニ「バカだな」

ボロ「まったくだ」

ミトア「よぉ〜し、行きますよ〜…」意識を集中させる 

アグニ「あんだ?」

ボロ「何をする気だ?」

ミトア「フンッ!」料理が乗せている皿と共にどんどん大きくなる 

アグニ「おお?!」

ボロ「なんと!まさかここまでとは!」

ミトア「う〜ん…!」魔力を振り絞る 

ミトア「あ…と、もう…ちょい…!」大きくなる速度が少しずつ落ちる 

ミトア「も、だめ…電池切れ…」その場にへたり込む 

アグニ「うおー!ヤベー!やるなミトア!」

ボロ「何という!こりゃたまげた!でかしたぞ!」料理が皿ごと山の様な大きさになる 

ミトア「アグニさん…私の名前知ってたんだ…ぞん…分に…お召し上がり…下さい…」ミトアが後ろに倒れて気を失う 

ミトア「ハッ!あれここは…」起きると宿の寝床で寝ていた 

ミトア「ゆ、夢かびっくりした…夢とはいえ我ながら無茶するもんだ」

アグニ「おお!起きたのか!」上機嫌のアグニが入って来る

ミトア「おはようございます、ご飯ですよね?」

ボロ「…?…何を言っているんだ?…ハッ!まさか!無理をして本物のバカになったか!」

アグニ「マ!マジかよ!」

ミトア「へ?」

ボロ「儂らついさっき飯は食ったぞ?!」

アグニ「ウメェし、めっちゃ食えるし最高だったぞ?!」

ミトア「あ…夢じゃなかったんですね…」

ボロ「ふぅー壊れてしもうたかと…」冷や汗?を拭う様な仕草をするボロ

ミトア「し、心配してくれたんですか…?」

ミトア(結構優しいとこあるんだ、それとも私の考えが功を奏したとか)

ボロ「当たり前だ、心配したぞ、本物のバカになって増やし方まで忘れてしもうたら、もうどうしようかと」

ミトア「あ…そっち…」

アグニ「たまにはあれぐらいウマいモンを思いっ切り食いたいよな!」

ボロ「まったくだ!」

ミトア「ハァ…」

ミトア(もうちょっと労いとか無いのだろうか)三人が宿を出る 

ミトア(雨で水面が上昇して街全体も上昇してる…)

街を取り囲む崖の一番上に、明らかに近くなっている

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