第20話忙しい飲食店

朝を迎え

アグニ「おい!起きろ!」

ボロ「いつまで寝ている」ボロが顔を突いて来る

ミトア「うーん…もう朝ですか…」

アグニ「いつまで寝てんだ!獲ってくるから待ってろ」

ミトア「はい…あ!ダメです!」

アグニ「あぁ?」

ミトア「ここじゃ解体する様な場所がないので、お店で食べましょう!」

アグニ「なんだオミセって」

ミトア「すぐに分かりますよ、支度するので待ってて下さい」

ミトア(あ、でもそろそろ船乗った方がいいか…)

ボロ「早よせよ」急いで支度し、宿を出て券売所へ向かう

ミトア「すみませーん券を三人分…」ミトアが券を購入する

受付の女性「ではあちらから船へお乗り下さい」入って来た入り口とは逆の出口を案内される

ミトア「ありがとうございます」

アグニ「おい、飯は?」

ボロ「どこだ」

ミトア「船の中にありますから」

ミトア(多分…)お店が船内にある事を願い券売所を通り抜け外へ出る

ミトア「大き〜!大きな船ですね!」先端から後方まで三百mはあろうかと言う壁の様な船が波に揺らされても意に介さず鎮座している

アグニ「これを食うのか?」

ボロ「匂いもせんが美味で有れば問題ない」

ミトア「これじゃ無いですよ、中です中」

アグニ「中を食うのか」

ミトア「違いますよ、こっちです」呆れながら案内するミトア

乗り込んでいる人達に続き中へ入ると、多種多様な人がおり係員も多く綺麗な佇まいをしている

ミトア「ここって食堂とかってありますか?」係の一人に聞く

係員「飲食店区画なら」係員から場所を聞き飲食店が立ち並んでいる区画へ

ミトア「おー!いっぱいありますね!アグボロさん!」

アグニ「色んなウマそーな匂いがすんな!」

ボロ「これが全て飯屋か!」

ミトア「どこがいいですか?」

アグニ「全部だ!」

ボロ「賛成だ!」

ミトア「船の食糧無くなるので適度な量でお願いします」

アグニ「こっちだな!」アグニが魚介類を焼いている店を示す

ミトア「じゃあ、あのお店にしましょう」

女性店員「いらっしゃいませーこちらのお席どうぞ」いつも通り案内する店員

ミトア「美味しそうですね!この鉄板、自分達でも焼けるんでしょうか」

アグニ「なんでもいいから早くくれ!」

ボロ「まったくだ」

女性店員「ご注文、決まりましたら、お声がけ下さい」

ミトア「あ、いいですか?」そのまま声をかける

女性店員「どうぞ」

ミトア「えーとこの品書きに載っている物を二十個ずつください」感覚が麻痺して来ているミトアが平然と頼む

女性店員「二十…?ですか…」

ミトア「はい、後ここって自分達で焼くんですか?」

女性店員「…一応厨房で焼くかお客様ご自身で焼いて頂くか選べばますよ…」戸惑い気味に言う店員

ミトア「そうなんですね!じゃあ四分の三焼いた物を残りをこちらで焼きます」

女性店員「は…い…かしこまりました」しばらくして女性店員が深く氷を引いた皿に乗った大量の生の魚介類と簡単に焼けた物を運んでくる

ミトア「来ましたよ〜!」

アグニ「早くくれ!」

ボロ「やっと来たか!」ミトアが生の物を焼きながら器用に自分でも食べていく

ミトア「このシキシマウオ脂乗ってて美味し〜!ドスカアカガイもありますよ〜!」

アグニ「ウマッ!どんどんくれ!」

ボロ「うーむ美味である、これは魚介の味だけでは無いな」

ミトア「酒や醤油を振って生臭さを消してあるんでしょうか、香ばしい匂いがしますね!」

三人が食事を楽しむその頃、厨房では、十数人の料理人が奮闘していた…

料理人「早く出せ!焼けた物からだ!」

料理人「馬鹿野郎!半生じゃねえか!」

新人料理人「す、すみません!」

料理人「器が足りねぇ!誰か洗えねえのか!」

接客店員「追加で注文来ました!三十ずつだそうです!」

料理人「料理長!仕込んでいた食材が尽きそうです!」

店長兼料理長「な!何ぃ!まだ出航もして無いんだぞ!すぐに処理にかかれ!」

料理人「これは大丈夫だ!この料理を冷める前に出してくれ!」

接客店員「こっちも人手が足りないんです!」

店長兼料理長「おい!満席か?!」

接客店員「いえ!まだ五名です!」

店長兼料理長「んな訳ねえだろ!」

料理人「料理長!仕込んだ食材が尽きました!」

店長兼料理長「何ー!俺が捌く!なんなんだ満席どころじゃねえぞ!」

十数人の料理人らが慌ただしく動き、厨房がガチャガチャしている 

アグニ「バクッガブガブッゴクッ」

ボロ「モシャッモグモグゴクリッ」

ミトア「相変わらずよくたべますね〜」他の客がどんどん消える料理を無言で凝視している

ミトア「いや〜…すみません、騒がしくて」他の客に謝るミトア

アグニ「いやぁ、ウマかった」

ボロ「この店もなかなかだったな今日一日で全て食べてはもったいない一軒ずつ回るとしよう」

二人が満足しアグニが腹を叩く

三人が店を出る頃、厨房にて…

接客店員「りょ、料理長…帰りました…」

満身創痍の従業員一同

店長兼料理長「そうか…こっちの食材も無くなったよ…」

料理人「…出航もしてないのに明日から休みですね…」

料理長「…だな…」店が色んな意味で力尽きる

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