第19話焼けた貝

病院の裏の広い空き地でうるさい二人に料理を出し、支部長の病室へ戻る三人

ミトア「あの人、何かを探していた様でしたね」

支部長「そうだな、おそらくあの生物だろう…ただあの短時間で嗅ぎつけて来るのが腑に落ちないがな

ミトア「そうですね、何かに使うつもりだったんでしょうか」

支部長「かもしれないな…二人は船に乗るのに、ここに来たのか?」

ミトア「そうです、北を目指そうかと思いまして」

支部長「そうか、なら明日出航する、乗り遅れるなよ、次は一週間後だからな」

ミトア「本当ですかありがとうございます!また立ち寄る事があれば是非よろしくお願いします!」

支部長「相方居りゃすぐ飛んで来れるだろうしな」

ミトア「飛ぶのは絶対嫌です」病室に受付嬢と男性職員が入ってくる

受付嬢「支部長、今後のギルドの事についてお話しなんですが」

ミトア「あ!では私はこれで!」

支部長「おう!世話んなったな!」

ミトア「こちらこそありがとうございました!」三人が病室を出る

ミトア「今日は港近くの宿に泊まりたいと思います…が絶対に!宿を壊したり!食べたりしないよう、お願いします!」アグニとボロに念を押す

アグニ「ウマいのか?ヤド」

ミトア「とっても不味いです!」

アグニ「じゃあ食わねえよ」

ボロ「誰が宿なんぞ食う」

ミトア「その言葉を信じますよ、では港へ行きましょう」三人で港へ向かう、しばらく歩き港へ着く。海が広がっており、人を乗せている木造の大型客船や漁船、小船などがそれぞれ分けて並んでおり漁船からは魚介類に海藻や海洋の魔物などを運び出している 

アグニ「なんかウマそうな匂いがあるな」ボロ「うむ」匂いに釣られる二人

ミトア「あ!私も行きますからお二人だけで行かないで下さい」三人で匂いの元へ少し歩いて行く

屋台の店主「へい!らっしゃい!」大きな炭台に網を乗せ、その上で貝を焼いている屋台がある、香ばしい貝と焼けた潮の匂いが漂う

アグニ「小せえけど!ウマそー!」

ミトア「リュウギョノウロコですか!美味しそうですね!」

屋台の店主「お、姉ちゃんよく知ってんな!」

ボロ「おい、小僧それをよこ」

ミトア「わー!何個食べますか?!」ボロの偉そうな言葉を無理矢理かき消す

アグニ「え?全部だろ」ボロ「無論」

ミトア「ですよね〜」

ミトア(さっき食堂でも食べて、その後も食べてまた食べてるんですけど…ホントに食べる量減ってる…?)

ミトア「すみません、今焼けてるの全部ください」

屋台の店主「はいよ!姉ちゃん結構大食いだね!」

ミトア「いや、私じゃなくて、この二人です」アグニを指差すミトア

屋台の店主「二人…?まあいい!すぐ出すからちょっと待ってな!」

ミトア「ここに座って食べましょう」屋台の目の前にある、卓に座る

屋台の店主「はい!お待ちー!」大皿に大量の殻ごと焼いた貝焼きが運ばれてくる

アグニ「す、少ねえ…」ボロ「一口もありはせん…」二人がジーッとミトアを見てくる

ミトア「こんなとこで増やしません早く食べないと無くなりますよ」そう言って大皿から貝を一つ取る

アグニ「俺のを!なんて奴だ!」

ボロ「何故お主も食う!」

ミトア「いいじゃないですか、ちょっとくらい」大皿にあった物を貝殻ごと二人が食べていく

ミトア「殻くらい取りましょうよ…」二人を見て驚く店主を放って置いて、貝を平らげ宿へ向かう、宿へ入ると青年が受付をしている

ミトア「一泊お願いしてもいいですか?」

受付の青年「はい!一泊ですね!一部屋三千二百Gですが部屋は二つですか?」元気な青年が笑顔で応対してくれる 

ミトア「部屋はー…うーん…部屋はー…!二つでお願いします…」

受付の青年「かしこまりました!六千四百Gです!」

ミトア「あ、はい」代金を渡す

受付の青年「ありがとうございます!ではこちらが鍵です!ごゆっくりどうぞ!」

ミトア「ありがとうございます」青年に会釈し、部屋へ向かう

ミトア「お二人はこちらの部屋です」

アグニ「ヘヤ?」

ボロ「部屋なぞいらんが?」

ミトア「いいじゃないですか、たまには布団で寝てみても」

ボロ「まあ、経験の一つとして寝てみよう」

アグニ「外の方がいいだろ」

ミトア「では私はこの隣の部屋で休みますが!決して!騒ぎを起こさぬ様、頼みますよ」

ボロ「わかっておる」二人が部屋に入って行く

ミトア「本当に大丈夫かな…でも同じ部屋で寝るのはな〜…」それぞれの部屋で就寝する

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