第10話雲海のソウギョ
翌朝、二人がミトアを起こす
アグニ「おい起きろ獲ってきたぞ!飯だ!」
ボロ「少し遠かったが早いうちに行ってきたぞ」
ミトア「…」十五mの白と緑の組み合わせの鱗が美しいウンカイソウギョが転がっている
ボロ「こいつはなかなか美味である」
アグニ「ウンマイ魚ー!」
ミトア「お二人にお願いがあるのですが」神妙な面持ちで話しかけるミトア
アグニ「あ?」
ボロ「どうした?」
ミトア「私も将来やりたい事を見つけました」
アグニ「やればいいんじゃねえか?」
ボロ「何をだ?」
ミトア「私は将来、安心出来る自分の家でゆったり本でも書きながらのんびり生活したいです!」
アグニ「?」ボロ「?」首を傾げるアグニとボロ
ミトア「…です…」
アグニ「そんなの全然面白くねーだろ…」
ボロ「それの何が良んだ?」
ミトア「いいんです!身の危険を感じないお二人にはわからなくて!」
アグニ「寝る場所あるだろ」
ボロ「寝床ならそれがあるではないか」天幕を示すボロ
ミトア「こういうのではなく定住出来る物がいいんです!」
ボロ「そうなのか」
ミトア「そうなんです!それでお二人にお願いがあるんですが、調理した食材の食べない鱗や皮などをいただけませんか!」二人に頼むミトア
ボロ「好きにすれば良い、飯を作る上に希少な食い物を増やしてもらっている事を思えば安いものだ」
アグニ「ウマくねえ持ってたってしょうがねえしな」
ミトア「ホントですか!やった〜!これで夢のマイホームアンドスローライフが!」
ボロ「そのかわり家を作るまでと家がある間、儂らに飯を作るのだぞ」
アグニ「適当なの作ったらお前ごと海に放り投げるぞ」
ミトア「当たり前じゃないですか!腕によりをかけてお作りしましょう!」意気込むミトア
ボロ「よし言質は取ったな…」
アグニ「これでウマいモン食い放題だな…」不敵な笑みを浮かべる二人
ミトア「え…」
ミトア(家を作るまでと家がある間…?)心の中で復唱し考える
アグニ「へっへっへ頼むぜー」
ボロ「ふっふっふ期待しているぞ…」怪しくミトアを見る二人
ミトア「まさか…!」
ミトア(そ!そんな!一生?!まさか嵌められた?!一生なんてそんなー!)自分の軽率な言動に少し後悔しながら調理を始める、硬くなかなか剥がせない鱗を落とし、蒸して身の微かな臭みを取り調理していく料理が完成し、三人で食事を取る
ミトア「よし!では行きましょう!」
アグニ「どこ行くんだよ」
ボロ「どこへだ?」
ミトア「将来、家を持つ為の良い街探しです!」
アグニ「ここでいいだろ」
ミトア「いやです!」
ボロ「儂が木を組んで作ってやろう」
ミトア「いりません!」
ミトア「まず良い街を探し、その街で良い土地を探し、良い感じの家を建て、最高の家具を置いて、そしてその家でゆったり本でも書きながら、庭を見てお茶片手に過ごすんです!」
ミトア「なのでまずは街を探しましょう」
ボロ「ここでも変わらんだろう」
ミトア「虫も多いし、さらに魔物も多いので絶対嫌です」
アグニ「じゃあ飛んでってちゃっちゃと行くか」
ミトア「そ、そういうのは無しでゆっくり見て行きたいんです」戸惑いアグニを止める
アグニ「お前、面倒臭え奴だな」
ボロ「飛んだ方が早いだろう」
ミトア「いいじゃないですか!お二人共暇なんですから!」
アグニ「暇じゃねえよ!」
ボロ「誰が暇人だ!馬鹿者!」
ミトア「じゃあ食事を取る以外何するんですか」
アグニ「…そりゃあ…お前…色々あるだろ…」今後やる事が食事以外、思い浮かばず言いにくそうに言うアグニ
ボロ「…いや儂ら暇だな…」一通り考えて食事しかする事がない事に気がついたボロが言う
ミトア「時間もいっぱいあるし、いいでしょう」
アグニ「面倒臭えけどしゃあねぇなー」重い腰を上げるアグニ
ボロ「まあいいだろう」
ミトア「ではしゅっぱーつ!」上機嫌で歩き出すミトア
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