第8話くっついた
アグニ「あーヤベーあの魚、ありえねえくらい食った」満足そうに腹を叩くアグニ
ボロ「まったくだ今まで食べた量より今日食った分の方が多かったかもしれん、その上、黒い血をつけた身の美味なこと、儂の長い寿命でもこんな事はもう無いかもしれん」
ミトア「だから、醤油ですって…あっ!そおだ!思い出しました!以前聞こうとしてた事!アグニさんとボロさんって何歳なんですか?」
アグニ「知らね」ボロ「儂も知らん」
ミトア「なっ!知らないばっかりじゃないですか!」
ボロ「しょうがないであろう、一億年前に知性を得るまでは宇宙を漂うだけの存在だったのだからな」
ミトア「…」
ミトア「…へ?いちお…く?」
ボロ「そうだな、それまでは星を食っては移動し星を食っては移動するだけの存在で思考や意思などは一切なかった事をうっすら覚えている」
ミトア「ほほ星を…?」
アグニ「星ってウマいのか?」
ミトア(聞くとこそこじゃなくね?)
ボロ「微妙だな」
ミトア(微妙なんだ…)
ボロ「儂らがあそこに閉じ込められて大体二千年だ…アグニの歳もそれくらいではないか?」
ミトア(二千歳と一億歳のおじいちゃんにご飯作ってるだ私…介護じゃん、そもそもボロさんは男性?女性?いやそもそも性別あるのかな?無い場合は…一億歳のオカマ?)
ミトア「…プッ!」ミトアが思わず吹き出す
ミトア(一億歳のオカマ…)
ボロ「…どうした急に?」
ミトア「あ…いえ、なんでも」
アグニ「そんなに入ってたか?」
ボロ「まあ、そんなものであろう」
ミトア「人に討伐されて実は生きていたという事ですか…」
アグニ「ふざけんな!人なんてあんな雑魚に負けるか!」
ボロ「まったくだ!あんな脆弱な生き物連中に!」
ミトア「アグニさんも一応…人でしょう」アグニの発言に呆れるミトア
ミトア「それに人に入れられたんじゃなければ誰に入れられたんですか?」
ボロ「いや、入れたのは人間だ」
ミトア「やられてるじゃないですか…」
ボロ「違う!そもそもあんな食い物も無い所に入れられたのはコイツのせいだ!」
アグニ「はぁー?!ふざけんな!お前が俺の邪魔するからだろ!」
ボロ「いいや!儂が神を食おうとしとる、ところに貴様が横槍を入れて来るからだ!」
ミトア(神…?)
アグニ「俺の方が先だったろ!」
ボロ「いいや!儂の方が先だった!」
ミトア「喧嘩はやめて下さい!」
アグニ「お前が後だろ!」
ボロ「何をー!」
アグニ「なんだテメェ!」
ミトア「やめてください!やめないとこの魚もう二度と増やしませんよ!」
アグニ「…」ボロ「…」喧嘩がピタッと止まる
ミトア「なんですぐ喧嘩するんですか!…今言ってた神ってあの神様ですか?」
ボロ「うむ…オンダラ神は知っておるか?」
ミトア「あ、はい、なんとなく」
ボロ「そのオンダラを食べようとした所にアグニと鉢合わせになり、どちらが食べるかで争っている内に逃げられたのだ」
アグニ「食ってみたかったなー…」天を仰ぎ呟くアグニ
ボロ「やはり神というだけあって美味であるはず」
ミトア「食べようとした事も凄いですけど実在したのがそもそも驚きなんですが…」言われたことに内心、現実味が湧かないが二人の言葉に驚くミトア
ミトア「…あれ?てことはその時点で、お二人はくっついてなかったんですか?」
アグニ「まあなー」
ボロ「神を食い損ねた事をこいつと争って、アグニが儂の体を、儂がアグニの魔力を食い、お互い瀕死の状態になり気が付いた時にはくっついてしまっておった」
ミトア「そんなことってあるんですね…で、そのくっついた後に人に討たれたと」
アグニ「だからやられねぇつってんだろ!」
ボロ「そうだ!あんな吹けば飛ぶ矮小なモノに!」
ミトア「じゃあ、お二人は誰にあの穴に入れられたんですか?」
ボロ「それは人間だ」
ミトア「もうなんなんですか…」よく分からない言動に混乱するミトア
ボロ「こいつと食い合い争って動けなくなった所を入れられたんだ」
ミトア「あ、なるほど神様食べようとして、喧嘩して力尽きた所を入れられて、起きて気が付いたらくっついてたと」
ボロ「まあザッと話すとそんな所だ」
ミトア「終始食い意地による災難ですね…もうちょっと我慢すればいいのに…」
一頻り話を聞き暗くなり就寝する
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