第5話蒲焼丼

パラズの町へ到着する

ミトア「いいですか、お二人共ここでは決して!問題を起こさぬ様お願いしますね」釘を刺すミトア

アグニ「俺がいつ問題起こしたんだよ」

ボロ「まったくだ」

ミトア「地形と山吹き飛ばしといてよくそんな白々しい…」

アグニ「ウマそーな!匂い!」

ボロ「甘美な香り!」匂いにつられてどこかへ行こうとする

ミトア「わ〜!待って下さい!今お金無いんで!行かれても困ります!」

アグニ「カネ?」

ボロ「なるほど金か、だが無い物をどうやって…そうか!ミトアが金を増やす訳か!」

ミトア「そんな物増やしませんよ!犯罪者じゃないですか!」

ボロ「山を吹き飛ばしといて、よく善人面をするものだ」

ミトア「やったの私じゃないですよ!」

ミトア「とにかくまだダメですよ」

三人で町の中心の役所や郵便局がある場所へ向かう

ミトア「ありました!ちょっと小さいですけどギルドです!」木造のギルドの中へ入ると三人を見て周囲がざわつく

アグニ「何見てんだコイツら、ぶっ飛ばされてえのか…?」

ミトア「や、やめて下さい!問題起こさないでと言ったでしょう!」

ボロ「人間が多い場所ではあるが魔人も居ったであろう何故、儂らを見てくる?」

ミトア(っは!まさか!トールセンさん達が国に報告して、このお二人が指名手配されてるとか!?)

受付嬢「あのー、何かご用でしょうか?」固まっていたミトアを見て、受付嬢が声をかける

ミトア「え、え、ああ、はいそそ素材を買い取って欲しいのですが…」

ミトア(落ち着け〜私〜)自分に言い聞かせる

受付嬢「ギルドカードはお持ちですか?」

ミトア「え、ええ、ああはい」

受付嬢「ありがとうございます、では買取は隣の建物になりますのでそちらでギルドカードを提示していただきたいのですが…一つ聞いてもよろしいですか?」

ミトア「え?ああ!は、はい!何でしょう!」

ミトア(終わったー!)

受付嬢「後ろの方が持っている毛皮や牙はシロスジカサカケゾウの物では?」

ミトア「え…?あ、はいそうです、先程襲われて…」

受付嬢「やっぱり!凄いですね!最近近場を徘徊して被害が出てたんですが、Bランクの依頼対象なんてこの町の人で、討伐出来る方いなかったので助かりました!これで国ヘの要請も出さずに済みます!」

ミトア(良かった〜詰んだかと思った…)

受付嬢「では買取窓口は隣の建物ですので!」笑顔で言う受付嬢

ミトア「あ!はい!ありがとうございます!」そそくさと出て行くミトアと、なんとなくついて行くアグニ

ミトア「あの〜すいませ〜んここで素材を買い取っていただけると聞いたんですが」大きめの倉庫の様な場所に恐る恐る入る

体格の良い女性「ああ!やってるよ!」

ミトア「良かった…アグニさん、それください」素材が欲しいと頼む

アグニ「ほらよ」アグニが片手でミトアに手渡す

ミトア「重っ!うわっ!…ぐっ…ぐるじー!たじげでー…!」かなり重く支えられず下敷きになる

体格の良い女性「大丈夫かあんた!フンッ!」両手で力いっぱい持ち上げる

ミトア「た、助かりました…死ぬかと思った…」

ボロ「ひ弱だの〜」ミトアがボロの発言に睨む

ミトア「…で、これを買い取っていただきたいのですが…」気を取り直し話を進める

体格の良い女性「こりゃ凄いね!カサゾウの毛皮に牙!…こっちの光ってる皮はなんだい?」

ミトア「リュウセイザメの皮です」体格の良い女性「ほえー!凄いね!初めて見た!あんたが?」

ミトア「いや、あっちが」アグニとボロの二人を指差す

体格の良い女性「あんたやるねー!」

アグニ「まあな!」威張るアグニ

体格の良い女性「うーん…買取かー…カサゾウはすぐ買い取れるけど、サメの皮はそもそもどう査定していいかわからないからちょっと時間がかかるかもしれない」

ボロ「なんだと!飯が!」

アグニ「飯が食えねえのか!」騒ぐ二人

ミトア「な、なんとかカサゾウだけでもなんとかならないでしょうか!」

体格の良い女性「カサゾウだけならなんとかなると思うよ!ちょっと待ってな」倉庫から出てギルドの方へ行く女性

待っている間アグニが苛つきながらしばらく経って戻ってくる

体格の良い女性「いやー悪い待たせた!」受付嬢もついて来ている

体格の良い女性「今ここで見るからちょっと待っててくれ」

アグニ「まだ待つのかー!」

ミトア「お、落ち着いて下さい!」焦り宥めるミトア

体格の良い女性「すぐ終わるからさ!」受付嬢と二人で毛皮や牙の状態を見て書類を記入したり話し合ってたりしている

体格の良い女性「終わったよカサゾウは牙と毛皮合わせて百でどうだろうか」

ミトア「ひゃ、百G…たったの…」

体格の良い女性「違う違う」笑いながら否定する

体格の良い女性「百万Gだよ

ミトア「はっ!はくまん!」驚愕するミトア

受付嬢「このリュウセイザメの皮なんですが過去に他のギルドで二百万Gで買い取った例がある様でしてそれに倣って合わせて三百万でいかがでしょうか!」

ミトア「しゃ、しゃんびゃきゅ!ヨヨヨヨロシイのですか!」

体格の良い女性「こっちは全然構わないよ!」

ミトア「しょ、しょれでお願いします!」動揺し過ぎて言動が可笑しくなる

受付嬢「かしこまりました、ではギルドカードを見せて頂けますか?」

ギルドカードを見せ、受付嬢が書類に記載し金銭の用意をして、お互い確かめ、受け取る

ミトア(私の稼ぎ二〜三年分!こんなにいっぱい持ってると怖いよ〜…)手が震える

体格の良い女性「いやー悪いね厄介者のカサゾウ討伐から良い素材まで売ってもらって」

ミトア「い、いえ!こちらこそありがとうございます!」

アグニ「おい…いい加減にしねーと…!」苛立つアグニ

ミトア「あー!はい行きましょう!行きましょう!」

体格の良い女性「またなんかあったらいつでも来な!」

ミトア「ありがとうございますー!」急いで出るミトア

ミトア「アグニさん、これ怖いので持ってていただけませんか?」アグニに金の入った袋を渡す

アグニ「おお」受け取るアグニ

ミトア「この前行ったお店にしておきますか…」

アグニ「バキンッ!ボリボリ」

アグニ「?」

アグニ「おい、これ全然ウマくねえぞ」

ミトア「へ?…って何食べてるんですかー!」見てみると硬貨を食べているアグニ

アグニ「これだろ?」

ミトア「違います!私が持ちます!こっちですよ!」金を奪い取り、蒲焼を食べた店へ向かう

女性の店員「あら、この前の!今日はお友達も一緒なんですね」

ミトア「はい、かなり食べる方なんですが大丈夫ですか?」

女性の店員「そりゃー食べてくれた方が儲かっていいですよー」

ミトア「ほ、本当ですか!」

女性の店員「そりゃそうですよー、最近なんてゾウの魔物が出る上、離れた場所の山が急に無くなるで旅の人も減るしで食材腐るしで困ってるので」

ミトア(申し訳ございません…)

ミトア「…では料理をあるだけ出してしただけませんか!」

女性の店員「へ?あるだけ?」

ミトア「はい!お願いします!」注文を頼み、始めは半信半疑だった女性店員が料理を出して行く

アグニ「ウマー!」

ボロ「味にも色々あるのだな、まさに口福!」

アグニ「なんだこの茶色の…ウマいな!」

ミトア(二人共、お箸使えるんだ…意外…)次第に店とアグニとボロの戦争状態になる、客のいない店が満員以上の忙しさになって一時間半

女性の店員「お客様大変申し訳ありませんウチの食材が切れてしまいました…」

アグニ「?」

ボロ「なん…だと…」

ミトア「そう…ですよね…」一旦食事を終え会計にする

女性の店員「お会計が八十六万九千五百二十Gです…」

ミトア(ヤバー!天文学的数字!)

ミトア「これで…」

女性の店員「えーっと…はい…ありがとうございます」

ミトア「なんかありがとうございます」お礼の様な謝罪の様な一言を言って店を出る

女性の店員「ありがとうございましたー!」

アグニ「おい!全然足んねえぞ!」

ボロ「足りん」

ミトア(お店で食べれば楽かと思ったんですが、そんなに上手くいきませんね…)

ミトア「ハァ…」ため息を吐くミトア

その後店を二軒梯子する

アグニ「いやーウンマイなー」

ボロ「人の食い物がこんなに美味であるとはな!お陰でだいぶ回復してきたな」

アグニ「おい、アマいモンは?」

ボロ「忘れておった!チョコレートだ!」

ミトア「あ…」

ボロ「なんだ今のあ、は?」

ミトア「チョコレートこの町には売ってないんでした」

アグニ「はぁー?!」

ボロ「わ、儂の楽しみが…」

ボロ「こんな町消してやるぞ!」ボロが光の玉を作り出す

ミトア「わー!待って下さ〜い!」

アグニ「ウマいモンないとこなんて!」アグニがこめかみに青筋を立てる

ミトア「あります!あります!極上に甘くて美味しい物が!」

アグニ「マジか…?」ボロ「極上…」

アグニ「すぐ食わせろ!」

ボロ「もし嘘であった場合どうなるかわからんぞ…?」ボロがミトアを睨む

ミトア「そ、そんな〜…」つい極上と口走った事を後悔する

アグニ「どれだ?」

ミトア(う〜ん…あ!そうだ!あれなら!)

ミトア「お、お連れしますがちょっと遠いのでそこまでは我慢して下さい!」

ボロ「どれくらい遠いんだ?」

ミトア「竜車で一週間前後…?」恐る恐る言うミトア

ボロ「どっちの方角だ?」

ミトア「方角ですか?えーっと…あっちです!」北を指差すミトア

ボロ「アグニよ」

アグニ「決まりだな」

ミトア「え?」ボロが大きな手になりミトアを掴む

ミトア「え!ちょちょちょ心の…!」アグニの体が浮く

ミトア「準備がーーー!」ミトアの断末魔と共に圧倒的な速度で飛んで行く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る