第4話流星鮫と白筋笠掛象

謎の声「ここだ、こいつの腕についとるだろ」アグニの右上腕に生えている枝がしゃべっている

ミトア「…え…枝…?」戸惑うミトア

枝「枝ではないわ!」

ミトア「枝がしゃべってる…」

枝「枝ではないと言っておるだろうが!お主ら人の類が星食いと言っとる者だ」

ミトア「あの神話の星食いが…枝?」

枝「色々あってこういう体になっただけだ本当はこんなにチッコクない上、こいつともくっ付いてたくはない」

アグニ「俺の方だそれは!じゃあ出てけよ!俺の体ないと生きられねえくせに!」

枝「貴様こそ誰のおかげで魔力を保っていられると思う!」二人がまた喧嘩を始める

ミトア「喧嘩はやめてください!」

枝「で娘よ」

ミトア「娘じゃなくてミトアです」

枝「うむ、でミトアよ、このえー…ナカナポツモ?」枝がチョコレートを見ながら言う

ミトア「チョコレートですよ、一文字も合って無いです」呆れるミトア

枝「そうそのチョコレートを増やして儂らにくれ」

ミトア「わ、私はそもそもそんな事出来ませんよ!」

枝「いや、お主、えー…シゲルは」

ミトア「ミトアです!誰ですかそれ!」

枝「そうじゃミトア出来るじゃろう」

ミトア「出来ません!」

枝「…」

枝「そうかそう来るか…」そう言い、枝が肥大化し三m程の大きな手の様な形になる

アグニ「?」

ミトア「そそそそんな事してもだダメですよ…!」肥大化した手のひらに二mの光の玉が浮かび上がる夜にも関わらず周囲が昼間の様に明るくなる、手が光の玉を離れた遠くの山に投げる、玉が高速で飛んでいき一瞬見えなくなった後、日の出かと思える程の光を放ち数㎞先まで轟音を響かせ山が跡形も無く吹き飛ぶ、その衝撃がミトア達がいる場所まで吹き荒れ木々が仰反る

ミトア「うわあーー!…ハァ…ハァそんな…山が…」

吹き飛ばされない様辛うじて耐えるミトア、そして衝撃による風圧が治る

枝「もしこれでもダメなら言いふらしてしまうかもしれんの〜」

ミトア「ぐっ…」

ミトア(なんて姑息な枝…)

ミトア「ハァ…わかりましたよぉ…どうせ今拒んだところであの手この手で仕掛けて来そうなので…その代わり秘密にしてくださいね…」渋々アグニからチョコレートを受け取り、受け取ったチョコレートがどんどん大きくなり十m近くになる、枝が大きな手でチョコレートを支える

アグニ「うおー!きたー!」

枝「なんと甘味がー!」

ミトア「私も、ちょっと下さい」

枝「ほれ」枝の大きな手からまた小さな手が伸び割って渡す、三人でチョコレートを心行くまで堪能する

アグニ「いやーウマかったー」

枝「こんなに美味な物があるとはな、長生きはするものだ」元の大きさに戻った枝が言う

アグニ「お前なんでこんないいモン隠してたんだよ」

枝「そりゃ隠すだろう」

アグニ「なんでだよ」

枝「おそらく今やった事は食い物に限らず、その他の物も増やせるのではないか?」

ミトア「そうです…私は生物以外のありとあらゆる物を増やす事が出来ます」

枝「なるほどな、今のはチョコレートではなくその成分を、増やして大きくしたといったところかの」

アグニ「だからなんで、そんないいモンを隠すだよ!使えばいいだろ」

枝「美味な飯を増やせる物があるとしたら欲しいだろう?」

アグニ「当たり前だろ!」

枝「それは世界共通だ皆限られた物を増やしたいと思っておる、皆がソレを欲しがれば争いが起きソレを持っている者は増やす事を強制され利用される、もしくはそれを脅威に思った者に殺される」

アグニ「…?」

枝「もうよいわ、すまなかったなミトアよ、一時的な欲に駆られ強制してしまった事、深く反省している、もうこの様な事はせん」

ミトア「もういいですよ」

枝「詫びとして、もし!不遜な輩が来たとしても、儂がその命守ると誓おう!ただ…たまーに美味な物をそのー…な!」

ミトア「分かってますよ、もうバレちゃった以上しょうがないですし…」

アグニ「よっしゃー!」

枝「これで生きる楽しみが一つ増えたわ!」

ミトア「そのかわり一つ聞いてもいいですか?」

枝「なんでも答えよう」

ミトア「アグニさんと枝さんは」

枝「儂は枝では無い!」

ミトア「じゃあなんなんですか」

枝「知らん」

ミトア「ではなんと呼べば?」

枝「知らん」

ミトア「なんでも聞けって言ったのに…!」

アグニ「俺はボロって呼んでるぞ」

ボロ「そうだな」

ミトア「ボロさん?なんでボロさんなんですか?」

アグニ「そういやなんでだ?」

ボロ「儂が知る訳ないだろう」

アグニ「ボロボロの枝だからだな」

ボロ「なんだとー!」

アグニ「やんのかー!」

ミトア「やめてください!なんですぐ喧嘩するんですか!」

ボロ「まあよい、で聞きたい事とは?」

ミトア「…」

アグニ「…?」ボロ「…?」

ミトア「…忘れました」

アグニ「何の為に本読んでんだよ」

ボロ「脳が小さいのかもしれんな」

ミトア「本は関係ないですし!お二人のせいでしょう!」一頻り騒いだ後に就寝する

ミトア「おはようございまーす」

アグニ「おう飯獲って来るからちょっと待ってろ」

ミトア(そこまで獲って来て欲しくは無いんですけどね、調理大変だし)アグニとボロが飛んで行く

ミトア「どうせ、すぐ帰ってくるんでしょうね〜」ミトアの後ろでズゥゥンと地面が微かに揺れる

ミトア「ほらね…ぎゃああ〜!」振り向くとそこには十五mを超えるシロスジカサカケゾウが佇んでいる

ミトア「ぎゃやーー!助けて下さーい!」ズゥゥンズゥゥンという地鳴りと共に追いかけられ必死の形相で逃げる、五分程走り回った後にアグニとボロが帰ってくる

ミトア「本当に死ぬかと…ハァハァ…」息も絶え絶え、呼吸を整える

アグニ「こんな雑魚い奴、自分でなんとかしろよ」

ボロ「情け無い」

ミトア「守ってくれるんじゃないんですか!」

ボロ「守ったであろう」

ミトア「あ〜言えばこ〜言うし…ホント…」項垂れるミトア

アグニ「おい飯」

ミトア「はい…」二人が獲って来た全長十mの体が青く輝くリュウセイザメと、全長十六mの茶色体に白い線が目立ち頭に笠を乗せた様な、いで立ちをしている象を調理する

ミトア(なんでこんな調理が大変な物ばかり、持って来るんですか!私は好きで調理してる訳じゃ無いのに!代わりに誰か…はっ!そうだ!)

ミトア「良い事思いつきましたよ…グフフフ…!」

アグニ「何、気持ち悪い顔してんだ」

ボロ「手が止まっとる早よ作れ」調理を終え、三人で食事を取り、終える

アグニ「アメーやつくれ」

ボロ「うむ、同じく」

ミトア「チョコレートはもう無いですよ」

アグニ「は?!」

ボロ「何故、補充しておかないのだ!馬鹿モノ!」

ミトア「馬鹿…今から買いに行こうかと思いましたがやっぱりやめます」

ボロ「うおー!そんな殺生な!儂の楽しみは食だけだー!」ボロが小さい手を二本生やし、手を合わせ頼む

ミトア「じゃあこれを町まで運ぶのを手伝って下さい」肉を取り除いた魔物の皮や残骸を指差す

アグニ「お前こんなモン食うのか?」

ボロ「皮や骨等、美味では無い」

アグニ「変な奴」

ボロ「変わっておる」

ミトア「食べないですよ!いいから持って来て下さいよ」二人が魔物の素材を持ち、先日のパラズの町へ

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