第3話 八十mの魚とチョコレート

毒蜘蛛の団員とのやり取りから数時間

ミトア「う…えっ?!」バッと起き上がる

ミトア「イッタ…!」動いた痛みで怯む

起き上がると先ほど乗った毒蜘蛛の一団の竜車の中にいる、だが団員の姿はない、自分の荷物だけが置いてある

ミトア「死んだ…?」傷が痛みフラフラしながら外へ出ると焚き火があり、焚き火の上で巨大な肉を焼いている人物がいる

歩いて行って少し離れた隣の石へ座る

アグニ「この実を飲むと明日には怪我が治るってよ」一粒の実を渡される

ミトア「この焼き方じゃ中は焼けないですよ」落ち着いて話すミトア

アグニ「俺らにこんなことが出来る訳ねえだろ」

ミトア「さっきの団員はどうしたんですか?」

アグニ「ぶん殴ってお前がいたとこ捨てといた」

ミトア「もっと早く来てほしかったです…」

アグニ「俺のせえじゃねえよ!リョリを自分らでやってみようとか言い出したバカのせいだ!」

ミトア「今日はもう寝ます」ミトアが竜車に入り休む

ミトア「う〜んっよく寝た〜…え?!ここどこ?!」竜車の中で一人驚く

ミトア(あ、そうか毒蜘蛛の団員の竜車で寝たんだ…コワッ…あれ?もう怪我治ってる…)自分の荷物を持って竜車を降りる

アグニ「おい飯だ!」竜車を下りて来たミトアに食事の催促をする

ミトア「ビ、ビックリした〜やめてくださいよ急に声かけるの」

アグニ「今日はこいつだ!早く飯!」既に全長八十mの長いシイラの様な海の魔物オオシオナガシを獲ってきていた

ミトア「はいはい…」

ミトア(いや、デカ過ぎない…?一人でやるの?これを…)

前身ほど肉のような肉質で尾に近いほど魚っぽくなる、背身は脂が少なく腹部は脂が乗っている

ミトア「最近本で読んだカルパッチョも付けて…」

アグニ「全然足んねーな?いつもはもっとあんのに…もう一匹いるな!」完成した料理を見て首を傾げる

ミトア(忘れてた〜!こんな至近距離じゃ流石にバレそうだしなぁ、う〜ん…)

ミトア「アグニさん後ろのそれ取っていただけませんか?」

アグニ「どれだ?」アグニが後ろを見る

アグニが後ろを見て、視線を戻す

アグニ「うおっ!?なんか飯でかくなってねえか?!」料理が山の様になっている

ミトア「そんなはずないでしょう!冷めないうちに食べましょう!」

アグニ「それもそうだな!ガツガツ!ウメー!」

ミトア(こんなに大胆にやっても気づかないなんて…)

ミトア「これって深海に泳いでる魔物ですよね?」

アグニ「深海ってなんだ?」

ミトア「海の深い所です」

アグニ「久々に食いたいなんて言いやがってよー」

ミトア「そうなんですか…?」言葉の違和感が気になる、それと同時に視線も強くなった気がして背筋がゾッとする

特に移動もせず今後をどうするか考えるミトア

考えている内に飯の催促が来て用意に追われ、自分の秘密がバレないのとわかり、面倒臭くなってきたせいで大胆に行動する

ミトア「…」ミトア(今日一日アグニさんが居てわかった事がある…それは視線の正体!特に私がアグニさんの視線をわざと逸らしている時なんかはガン見してくる恐ろしいくらいに!見て来てるのはそう!あの枝!最初は気のせいかと思ったけど気のせいではない!私の秘密がバレてたりしやしないだろうか!ああ怖よ〜!…ふぅ〜落ち着け私、そもそも枝にバレたところでアグニさんにバレてないんだから問題なしだろう、所詮枝そう所詮枝…こんな時はチョコレートでも食べて落ち着こう…)チョコレートを取り出す

チョコレートをアグニがチラッと見るが興味なさげにすぐに視線を逸らすが腕の枝が凝視している

ミトア(み、見てる…腕の枝見てる…けど無視無視)アグニが歩いて来る

アグニ「おい、それくれだってよ」

ミトア「ゴホゴホこれは薬で凄く苦いくて」

アグニ「ちょっと寄越せだってよ」

ミトア「で、でもですね…ヒャアッ?!」ミトアがオロオロしていると枝がチョコレートに噛みつき一欠片ほど齧っていく

アグニ「…」アグニが枝の反応を見る

ミトア「…あ」枝の反応を見たアグニも一欠片ほど割って食べてみる

アグニ「アメー!なんだこれ!お前嘘ついてやがったな!ウメぇじゃねえか!」

ミトア「い…いや、病気を患っている私には…」

アグニ「嘘ついたんだ、全部寄越せ」アグニにチョコレートを取り上げられる

ミトア「そんな殺生な〜!それが最後なんです〜!」アグニに許しを乞う

アグニ「うるせえ!これは嘘ついた代わりに貰っておく」

ミトア「そ、そんな〜!」

アグニ「な!お前にもやらねえよ!ふざけんな!」チョコレートに噛みつこうとする枝に抵抗するアグニ

ミトア(また枝と喧嘩してる…)

アグニ「あ?何?デカくする?」

ミトア「ギクッ!」

アグニ「バカお前そんな事が出来るかよ、そんな事出来たらウマいもん食い放題じゃねえか、なあお前好きなモン、デカくしたりできんのか?」

ミトア「そ、そんな事出来る訳なななな無いでしょうデデデ出来たらとっくにやってますのよん!」動揺し目をあちらこちらに行き来させしどろもどろ説明する

アグニ「だよな」

ミトア「そうですよ!」

謎の声「いや、儂は増大させる所を何度も見たぞ」

ミトア「いいいいや、アグニさん私がそんな増やすとこをみみ見ただなんてそんな」更に動揺するミトア

アグニ「俺じゃねえぞ?」

ミトア「へ?」

謎の声「儂だ儂」

ミトア「だ、だれ?!」辺りを頻りに見回す

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