先負に、死地を射た

 午後の仕事が終わった。更衣室に行き、私服に着替えた。職場を出て、坂道を下った。住宅街を抜けて、**の**に辿り着いた。

 中に入ると、店内はグリーンスライムの天下と化していた。客も従業員も皆殺しにされていた。床一面に広がる血の海に、破砕された肉体が浮いたり沈んだりしていた。無論ウソである。これは現実だ。そのようなことが起こるはずがない。

 カウンター席の隅っこに座り、回鍋肉定食を注文した。食前にレモンサワー。呑みながら、信長対論集の続きを読んだ。食後、レジに行き、代金を払った。その際、スタンプカードにスタンプを捺してもらった。


 店を出て、2キロほど歩いた。途中、空想活劇の舞台になっている歩道橋がある。取材(?)を兼ねて、実際に渡ってみることにした。あるいはこの橋が「闇塚、討ち死にの場」になるかも知れない。いや、死ぬ。池波(正太郎)流小説作法に従うのならば、当然死ななくてはならない。

 虚構の中とは云え、死ぬ(殺される)のはイヤだ。又、命を弄ぶつもりもない。しかし、助かる方法が考えつかないのである。


 帰宅後、浴室に行き、シャワーを浴びた。体を拭き、服を着た。居室にブラックニッカとミネラル水を持ち込んだ。呑みながら、特撮映画の本を読んだ。洗面所に行き、歯を磨いた。居室に戻り、布団に潜り込んだ。寝る前に『世界樹Ⅲ』の説明書を再読した。

 読後、電気スタンドの灯りを消し、眼を閉じた。それを待っていたかのように、睡魔が出現した。魔物は俺の足首を掴みざまに、眠りの滝壺に引き摺り込んだ。抵抗を許さぬ凄いパワーだった。


♞以上は20日の日記です。昨日書けなかったので、今日書きました。


[Quinもわさんのコメント]

それは魔物ではなく、あなたの家のもわ大明神です。


[闇塚の返信]

当家に大明神がおられるとは!今日まで、まったく気づかなかったですね。十数年も住んでいるのに……。

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