友引に、午睡を射た

 寝る前に『孤狼』を観る。拷問や遺体発掘など、ハードな場面が連続する。凄惨ではあるが、滑稽な要素も含み込まれている。このあたりは、深作映画を研究した成果だと云えるだろう。

 おまえみたいな子供では話にならん!と、松坂刑事がギャングの屋敷から叩き出されたところで再生機の電源を切った。続きは明晩。


 職場到着。売店に行き、朝食を買った。休憩広場に行き、窓際の卓席に座った。今日の菓子パンはひどかった。まるで「空気を食べている…」かのような味気無さであった。空気では腹は膨れぬ。

 その後、コーヒーを飲みながら、ラジオの情報番組を聴いた。今日の話題は「充電機能付き自動販売機について」であった。電源を切り、田中光二の『失われたものの伝説』(ハルキ文庫)を読み始めた。


 午前の仕事が終わった。職員食堂に行き、券売機でBランチを買った。いつもの席に座り、飯と煮魚と汁を機械的に流し込んだ。これは作業だ。感動はない。食後、空の食器を載せたトレイを返却棚におさめた。


 休憩室に行き、伝説の続きを読んだ。読後、仮眠に突入。この眠りは深い。熟睡状態と云っていい。体が随分楽になる。約十分の昼寝が、活力を与えてくれる。裏を返せば、昼寝なしでは動けないということだ。

 眼を覚ますと、昼寝屋が三人になっていた。皆、疲れ切っている。睡眠不足を少しでも埋めようと、必死なのだ。現代人は眠りが足りない。遊びの数と遊びの種類が多過ぎるのも、要因のひとつであろう。〔13日〕

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