仏滅に、自演を射た

 眼が覚めた。枕時計が「朝の7時50分」であることを教えてくれた。洗顔後、電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、インスタントコーヒーを淹れた。ドーナツを食べながら、熱いやつを飲んだ。

 食後、身支度を整えた。最後のカギをかけてから、アパートを離れた。数日分の衣類を担いで、近所の有料ランドリーへ向った。


 到着後、空いているマシンに担いできたものを放り込んだ。トップ(部屋干し用の粉末洗剤)を撒いてから、扉を閉めた。コイン数枚を投入し、始動ボタンを押した。所要時間は約30分。

 そう云えば、清掃担当の猛烈おばさんの姿が最近見えない。働く時間帯が変わったのか。それとも、俺の想像を超えた「何か」が起きたのか。


 帰宅後、バルコニーの物干し台に脱水衣類と脱水ジーンズを吊るした。その後、台所に行き、湯を沸かした。かりんとうを齧りつつ、ほうじ茶を飲んだ。居室に行き、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、空想活劇の続きを書き出した。

 事前に案を練っておいたのだが、なかなか、筆が進んでくれない。物語を書くということは本当に難しい。主人公が俺自身なので、余計に厄介である。ともあれ、傍観者に徹しようと思っている。ヒーローの資格(資質)は絶無だし、そういうガラでもない。スターさんの中には「監督兼主演」を平然とやる(やれる)人がいるが、絶対的自信があるからだろう。


 シャットダウン確認後、雑用退治を始めた。親玉(洗濯)はやっつけたが、他にも、今日中に潰しておきたいものが幾つかあるのだった。〔9日〕

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