先勝に、鮟鱇を射た
最後のカギをかけてから、自室を離れた。屋根付き廊下を進み、剥き出し階段を下った。歩数計の付属時計が「朝の5時50分」を示していた。まだ暗い。俺の頭上に冬の星座が展開していた。寒いが、凍えるほどではない。歩いている内に体が温まってくる。
駅に着くと、自動階段の入口付近でビラのようなものを配っている人がいた。毎朝見かけるが、曜日によって、顔と人数が変わるのだった。なんとなく受け取りたくなかったので、普通の階段を使うことにした。
扉が閉まり、電車が走り出した。同時に本を開く。笹沢左保の『宮本武蔵(三)水の巻』(文春文庫)を読み始めた。全9篇の内、6篇は昨年読んだ。残り3篇だが、おそらく、今週中に読めてしまうだろう。面白いからだ。
職場到着。売店に行き、朝食を買った。広場の卓席に陣取り、ショコラブレッドを食べた。食後、コーヒーを飲みながら、ラジオの情報番組を聴いた。今日の話題は「ミノムシの糸について」であった。電源を切り、知友のKさん宛に返信メールを送った。その後、テーブルの上を片づけた。
午前業務終了。職員食堂に足を進め、券売機でBランチを買った。今日のBは「アンコウの空揚げ」であった。空揚げにポン酢風のタレがかけられていた。窓際の席に座り、飯と魚と汁を腹中におさめた。
指南書二冊から得た知識だが、アンコウそっくりの「キアンコウ」という魚がいるらしい。どちらが美味しいかと云うと、後者だそうである。旨い分、値段も高い。キアンコウを「アンコウ」と呼ぶ場合もあるようだ。
口中の斑点で、両魚を見分けることができる。白ならば、アンコウ。黒ならば、キアンコウだ。次回は、後者の個性を生かした料理が食べたい。〔7日〕
[Quinもわさんのコメント]
アンコウと言えば吊るし切り。一度はやってみたいものですな。
[闇塚の返信]
もわさんならやれそうじゃない。是非、挑戦してください。しかしあれは、たとえば、包丁なんかも専用品なのかねえ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます