第28話青い結晶を纏う蛇

五日目

起床後、魔照虫鍛錬をした後に二人は中腹から少し下りた木々が生い茂り草の背が高い樹海を探索している

トラウ「お、なんだあれ!」木の上部にいくつか生えている桃色のデコボコした実を見つけ、木を登る 

コウキ「ザイウの実だな、こっちにいくつか投げてくれ!」トラウに頼むコウキ 

トラウ「ほらよ」五個もいでコウキに投げる 

コウキ「あんがとよ」亜空間に入れていくコウキ


ザイウの実…直径十五cm薄い桃色でデコボコした果実。森等に生えており動物や魔物に実を食べさせ排泄した先で糞から発芽する。すぐに取って食べるよりも、もいで二〜三日熟成させた方が甘くなる


トラウ「なんだコウキ食わねえのか?」果実を齧りながら木を降りてくる 

コウキ「二日くらい置いといた方がうまいんだよ」

トラウ「へー」

コウキ「にしてもザイウの実がついてるのにこの辺り生き物が全然いねえな…」

トラウ「寝てんだろ」

コウキ「みんな一斉に寝てないだろ」


コウキ「…っ!いやっ!待て!」

トラウ「どしたんだよ」

コウキ「何かいる…!」魔力の流れで茂みの中に何かいるのを察するコウキ

魔物「ガオッ!」隠れている事を感づかれた魔物が近い方のトラウへ襲いかかる 

トラウ「うおっ!」魔物が噛みつこうとするが咄嗟に頭や首を押さえる 

コウキ(リュリンモウコか…ザイウの実、目当ての奴を襲って食ってたんだな…)


リュウリンモウコ…強位39全長4m虎の様な動きで狩りをするトカゲの魔物、頭の脇から四本の角が生えており、角は周りの気温や空気の流れを察知する器官。体全体が柔軟な鱗と胴体と頭が剛毛に覆われている。四肢の部分の肉は硬いが胴体部分の肉は柔らかく脂が乗っている、角や骨は滋養強壮の効果がある。


トラウに噛みつこうとするモウコ目掛けコウキが斬りかかるが後ろに飛びかわされる 

コウキ「はえーな…」

トラウ「うおら!」近くにあった岩を引っこ抜きモウコへ投げつける、モウコが避けようと横に跳びモウコが跳んだと同時にトラウがモウコへの顔を殴打する トラウ「逃さねー!…おら!もう一発!」怯んだ所をすかさず回し蹴りを喰らわせる、ぶっ飛んだモウコが木にぶつかり怯んむ 

コウキ「はあっ!」すかさずコウキが双剣で斬りつける

モウコ「ガァッ!」斬られてコウキに前脚で引っ掻くが、コウキにかわされる 

コウキ「フッ!」コウキが再度トドメに斬りつける 

モウコ「グオオォ…」リュリンモウコが力尽き崩れる

トラウ「でひゃー!旨めぇな!」コウキ「結構、美味いな…」


六日目

二人が起床し冷蔵庫に残しておいたリュリンモウコの肉を食べる 

コウキ「おいトラウこれ…」枷の様な重りをトラウに四つ渡す 

トラウ「何すんだ?」

コウキ「重りだよ修行になる」そう言って手足に重く魔力の流れを若干阻害する重りをつける

トラウ「あ、なるほどね」トラウも枷をつける

この日は中腹の山の岩肌が目立つ岩石地帯を散策し、争っていたムナホシワシ雄二羽を狩り食事をした後に日課の魔力鍛錬を終えて就寝する


七日目

探索へは出ず魔力鍛錬とコウキは太い鉄棒の素振り、トラウは能力を使わず岩を持って走り込みをしていた。残っていた肉とザイウの実で食事をとり魔力鍛錬と筋力鍛錬に励む


八日目

山の中にあった沢で水を補給し亜空間に入れていく トラウ「あと一つか?」大きな瓶に水を入れる

コウキ「これで最後」

トラウ「あいよ…」

トラウ「…?なんかジャラジャラいってねえか…?」

コウキ「…いや?…水の音だろ?」

トラウ「…いやちげえ…」

二人が最後の瓶に水を汲み終え、トラウが音がしたという方へ行ってみる


コウキ「洞窟だな…」洞窟の入口前に立つ二人

トラウ「おーい!」唐突に洞窟へ向かって叫ぶ 

コウキ「おい!やめろバカ!」トラウのおーいという声が繰り返し洞窟にこだまする


こだまが鳴り止むと奥からジャラジャラという音が徐々に大きくなり近づいてくる 

トラウ「おおー!かっちょいいー!」

コウキ「デカいな!オショウヘビだ!」


オショウヘビ…強位45 全長二十五m 青晶蛇、薄く青い結晶が幾重にも重なった硬度な鱗を纏っており、皮の下の脂肪で衝撃を和らげる蛇。強靭な鱗と脂肪で身を守る。肉は外側に近づくほど旨味が強く脂が乗っており、内側に近い肉が淡白であっさりしている。皮下の脂肪の塊は食べられない為、火をつけるなどに利用される。結晶の鱗を纏った皮は目立ちすぎる為防具には好まれないが富豪の婦人にはかなりの需要。


青晶蛇「シュルル…」青晶蛇が頭を上げ二人を見据える 

コウキ「しゃ!」コウキが先手を打ち青晶蛇を斬るがギャリンと音がし鱗が切れ皮が軽く傷つく

青晶蛇がコウキに噛みつこうとするがコウキが退く

トラウ「砕いてやらー!」下がった青晶蛇の頭をトラウが渾身の力で蹴る、顎に命中しフラッとなった青晶蛇が頭を振っている 

コウキ「流石!」コウキがその隙に頭を切り裂き左目を潰す、青晶蛇が仰け反り怯む 

トラウ「見えてねならこっちのもん!」青晶蛇から見て左へ回り込むトラウ 


トラウ「グヘッ!」尻尾で叩かれ吹き飛ぶ 

トラウ「イッテェ〜…!なんでだよ…!」

コウキ「蛇は温度を感知する器官を備えてるからな」

トラウ「クッソー…」

コウキ「おいトラウこいつの頭から六、七m辺りの胴の鱗を壊せるか?」

トラウ「やってやるよ!」

コウキ「俺があいつを引き付ける」コウキが青晶蛇の頭へ走り近づく 

トラウ「おっしゃー!」トラウも胴体へ詰め寄る 

コウキ「はぁ!」頭に軽い斬撃を喰らわせる、鱗が傷つく程度だがコウキを警戒する青晶蛇 


トラウ「オラララ!」青晶蛇の胴体に連続で殴打し、鱗が砕けていく、青晶蛇がトラウを尻尾で叩く 

トラウ「がっ…!」叩かれ胴と尾に挟まれる

トラウ「ぐっ…!まだまだー…!ウオラァ!」トラウが力一杯、一発殴打し鱗が砕け散る

青晶蛇がトラウを尻尾で叩こうと横薙ぎに振る 

コウキ「ぐぅっ!…いっつー!」コウキがかばう 

トラウ「大丈夫か!」

コウキ「大丈夫だ…!」そう言って立て直し鱗が壊れた胴に向かい構えるコウキ 


青晶蛇が二人まとめて食らいつくがトラウが青晶蛇の頭を受け止める 

コウキ「はぁーっ!」胴体を双剣で深く切り裂き鮮血が飛ぶ 

トラウ「ヤリー!」斬られた青晶蛇がのたうち回り二人が吹き飛ばされる

一頻り暴れた後、青晶蛇が地面を揺らし倒れる

トラウ「ダメだ動けね…」

コウキ「俺も、もう無理…休憩してからにしよう」干し肉を取り出しトラウと食べ休憩してからオショウヘビを解体し食事にする 

トラウ「旨いー!がんばったかいってやつだな!」

コウキ「美味いな…内側に近い方が俺は好きだな

」トラウ「俺は外だな」

コウキ「デカイから肉かなりあるな…」

トラウ「レイー…なんとか買っといて良かったな」

コウキ「冷蔵庫な、全部は入らないけどな」

コウキ(入らねえ分は燻すか…)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る