第23話タコヨンイケイケ
三人が目の前に来た辺りでベイスがバッと立ち上がる
コウキ(相変わらずデッケーなー…俺らの一.五倍近いんじゃねえか?)
ベイス「この前は悪かったな…」しおらしく謝るベイス
コウキ「…え?」戸惑うコウキ
トラウ「気にすんな、いいって事よ!」
コウキ(よくこの状況を受け入れられるな…!)
フランドル「こいつは酒癖が悪いだけで悪い奴じゃないんだよ」
コウキ「そ、そうなのか、見た目によらねえな…」
フランドル「こっちだ」
コウキ「お?おう」フランドルに連れられギルド内の、左の通路を進むと、右手に受付があり左に数人、体格の良い男衆が魔物や動物などを解体している広い作業場がある
トラウ「すげー!肉がガンガン出来てるぞ!」
コウキ「広いんだな…あれ?あんま臭くねえな」
フランドル「至る所に植えてあるフンニオイマキが匂いを取り込んでいるからだろう」フンニオイマキの一つを指差す
フンニオイマキ…匂いを取り込み、体液と混ぜる習性を持つ外敵に攻撃されると臭い体液を吹きかけ撃退する。匂いを取り除いても美味しくない為、食用には向かない
コウキ「上手いことなってんなー」
トラウ「デカイ奴獲って来た時はどうやって入んだ?ここ通れねえだろ」
コウキ(…確かにこの通路じゃな)
フランドル「作業場の奥に大きい両扉があるだろう、あそこから運び込むんだよ」
コウキ「なるほどなー」
トラウ「あっちから入ってみたかったー!」
コウキ「俺らはあっちから入る事はねぇな」
トラウ「コウキのせいだな」コウキを睨むトラウ
コウキ「俺のお陰で荷物持たなくてすむんだろ!」
フランドル「コマジ依頼報告なんだが」右手の受付の男性に話しかけ、依頼の紙を渡す
コマジ「フラやん昼にD受けてったてのにずいぶん早いジャーン!」チャラついた黒と緑の長髪で細身白肌の男が依頼の紙を見て処理しながら言う
トラウ「なんだこのムカつく奴は」
フランドル「向こうの受付でも依頼報告、出来るがこっちなら依頼の報告と素材の買取なんかを両方できるんだよ」
コウキ「なるほどね…あれ?トラウは?」
コマジ「連れ向こう行ったジャーンッ!」コマジが通って来た通路を妙な姿勢で両手で指差す
コウキ「なんだその動き…」
コウキ(変な奴はどこにでも一定数いるもんだな…)訝しげな顔でコマジを見るコウキ
コウキ「どうせ我慢出来なくて飯食いに行ったんだろ」
コマジ「デキカンヨォ!タコバシオモチージャーン?」
コウキ「?」
フランドル「依頼報告の書類できた完璧、オカダコの嘴は持ってるか?だそうだ」
コウキ「わかるかぁ!普通に言え!」
フランドル「慣れれば気にならんよ」
コウキ「ホントかよ…」
コウキ(これから、ここ来る時、毎回こいついるのか…?)未来に不安を覚えながらオカダコ四匹を引き摺り出す
コウキ「クッサ!」
コウキ(後で亜空間の庭掃除しとかねえとこいつらの体液で臭くなりそうだな…)
コマジ「ワン!ツー!スリー!フォー!
コウキ「普通に数えらんないのかよ…」呆れるコウキ
コマジ「…あれ?多いジャン…?」
フランドル「四匹居たみたいで、さっきここに居たトラウが二匹狩って来たんだ」
コマジ「アイツイチジャン?」
フランドル「二人とも位階に見合わない強さだよ」
コマジ「ウーマジ?!…テカイマタコヨジャン?」
コウキ「なんだって?」
フランドルに通訳を頼むコウキ
フランドル「嘘?本当?!ていうか今からオカダコ四匹の処理か?だそうだ」
コウキ「フランドルすげーな…」
コマジ「タイチョーー!」コマジが作業場の一番年配の白髪短髪の大柄で厳つい男性に叫ぶ
白髪の男性「親方だっつってんだろ!誰だタイチョーって!」野太い声で叫びながら近づいてくる
白髪の男性「おお!フランドル!」フランドルに声をかける白髪の男性
フランドル「やあダフ、作業場の親方ダフドウズ、通称親方だ、解体五十年以上の職人だよ」近づいてくるダフドウズに挨拶しコウキに紹介する
コウキ「コウキだ、よろしく」
ダフドウズ「おうボウズ!よろしくな!」
コマジ「タイチョー!タコヨンイケイケ?」
ダフドウズ「ニホンゴで喋れ!分かるか!」
フランドル「今からオカダコ四匹解体出来るか?だそうだ」
コウキ(なんでお前がわかんだよ…)
ダフドウズ「オカダコ四匹…?」オカダコを見て露骨に面倒臭い顔をするダフドウズ
ダフドウズ「おいコマジやっとけ」
コマジ「フェー?!そりゃねよタイチョー!」
ダフドウズ「文句言うんじゃねえ!解体の資格取るための練習だろう馬鹿野郎!」
コウキ「人の獲物で練習て…」
フランドル「心配するなオカダコは食用として使えるところしか、ほとんど無いからな切り分けるだけだから大丈夫だ」
コウキ「あーそれで練習に」
ダフドウズ「俺は飯を食ってくる」
フランドル「じゃあなコマジ頼んだぞ」
コマジ「フェー?!ウー!マジーー?!」
フランドル「今のは嘘!本当―?!…だそうだ」
コウキ「いや…今のは何となく分かるよ…」
コマジの悲痛な叫びが聞こえる中、来た通路を通って戻る
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