第15話怒りと肉串

虹色竜車の老人と別れ王都へ向かい歩いてしばらく

トラウ「うおー!なんじゃこりゃー!」広がる石畳みの広場とその広場で行き交う人や物にトラウが驚愕興奮する

コウキ「昔、来た時こんな石畳みなかったよな?」

トラウ「…」少し考える

トラウ「覚えてねえ」

コウキ「…」沈黙するコウキ

コウキ「…とりあえず中入って宿探すぞ」

トラウ「え?!飯か依頼じゃねえのか!」

コウキ「ガビテまであとちょっとで、人が集まるんだから宿取っとかねえと、埋まっちまうかもしんねえだろ」

トラウ「??」

コウキ「…もういい、早く来い」

コウキ(コイツ脳みそちゃんと入ってんのか…?)

トラウ「しャーねーなぁ…」渋々後ろをついていくトラウ

コウキ「しっかし色んな物売ってんな」石畳みの上に屋台を出し食べ物を焼いている者や風呂敷を広げて装飾品や小物を売る者に大道芸を披露する者まで多種多様な人と物、数え切れない程の商人と客が入り乱れる

コウキ「こんなとこで絶対逸れんなよ王都の中も広いんだからな見つけらんねーぞ」そう言いながら後ろを振り返る

コウキ「え?!おいっ?!もういねえ!」焦るコウキ

コウキ「あいつマジでどこ行ったんだよ…!」辺りを見渡し探し回るコウキ

トラウ「おっさん十本くれ!」コウキの気も知らず、肉を串で刺し焼いてる屋台で十串頼むトラウ

屋台のオヤジ「あいよ!兄ちゃん一人で食うのか?」

トラウ「おうもちろん!早く焼いてくれ!」漂う肉の脂の弾ける匂いに期待大の顔で催促するトラウ

屋台のオヤジ「待ってなウチのはすぐ焼けるから!いいね〜…!育ち盛りってやつか…!」気合を入れて焼き始める店主

コウキ「あ!いた!」見つけたトラウへ向かって猛進するコウキ

トラウ「おう!コウキ!金…」

コウキ「おい…!チョロチョロすんじゃねえよ…!迷子になったら誰が探すんだ…?あ?」

トラウの胸ぐらを掴み何かが爆発しそうな形相で詰め寄るコウキ

トラウ「わ、悪かったコウキこれから気をつけるよ…」久しぶりの本気のコウキに焦るトラウ

コウキ「気をつけるんじゃなくて今後はないよな?!な?!」更にトラウに詰め寄る

トラウ「は、はい無いです、すいませんでした…」

屋台のオヤジ「ほれ焼けたぞ!」肉串十本が入った紙袋を差し出す店主

トラウ「ほ、ほら焼けたってよ、コウキも食うだろ…?…な?」オロオロしながら促す

コウキ「…」トラウと串焼きを交互にみるコウキ

コウキ「次はないよな…?」

トラウ「…は、はい無いです」

コウキ「ホントにわかってんだろうな…!」

トラウを離し、紙袋に入った串を受け取りトラウに渡す

トラウ「旨そー!」

コウキ「おっちゃんいくら?」

屋台のオヤジ「八百Gだ!」

コウキ「はい」千G硬貨を渡すコウキ

屋台のオヤジ「千Gで…はい!二百Gのお返し!まいどぉ!」お釣りを渡す屋台の店主

コウキ「ああ、ありがとう、俺にも一本くれ」先に食べているトラウに言う

トラウ「ん…」串を咥えたまま、紙袋から一本抜き取りコウキに渡す

コウキ「…うん、美味えな…」

トラウ「だろ?」

コウキ「…」串を食べながら外門へ向かう二人

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る